小中学校のトイレ清掃・消毒は教職員でなく外部委託に(後編)

前記事の〈前編〉では、ブログ筆者が調べた市内の公的施設の大半が清掃業務を外部委託していることを、委託先も含めて示しました。今記事はその〈後編〉として、小中学校のトイレ清掃(消毒)の実態をお伝えします。

記事No.114

■情報公開請求の結果は?
ブログ筆者がおこなった情報公開請求は以下のとおりです。誤解のないように言えば、この開示請求は、<各学校のトイレ清掃や消毒は、スキルを持った専門業者等に任せるべきである>ということを前提としておこなったものです。それには、まず小中学校の実態を把握する必要があります

<教職員および来校者が使用するトイレについて>
市内33校全ての小中学校において、「教職員および来校者が使用するトイレの清掃を誰が担当するのか」が判別できる文書・資料等(例えば、年度当初の校務分掌一覧表等)

結果、26校分が開示されました。残りの7校は「文書不存在のため非公開」でした。厳しい言い方になりますが、この7校については、校長の姿勢を含めて、問題があると言えます。
とりわけ、現在のようなコロナ禍にあって、感染防止対策が喫緊の課題となっている中にあって「教職員および来校者が使用するトイレの清掃」については、「なんとなく誰かがやってくれている」「決まっていないので、職員のボランティアかな?」などという状態で良いのでしょうか。
やむなく教職員が担当している学校も同様ですが、担当が決まっていないのであれば、校長は市教委に対して「外部委託をお願いしたい」と要望すべきなのです。

■開示された学校では
コロナ感染防止対策もあり、実に細かく清掃や消毒の方法が決められている学校が多いのに驚きます。そして、「児童のトイレ清掃は、床を掃き、流しの清掃、ゴミ捨てのみとします。便器等の清掃、消毒は教職員でおこないます」などというように、清掃・消毒を教職員に依拠している学校がほとんどです。
多くの学校で、職員用トイレ(来客用と兼ねている場合が多い)の清掃(消毒)を教職員の輪番でおこなっています。大半の学校では輪番の中に校長は含まれていないのですが、「職員用のトイレの消毒については、これまで、男子トイレを校長(不在の場合は主幹教諭)が行ってきた。…しばらくの間これを継続する」(高崎線西側の小学校)という学校も中にはあります。

また、「職員個人のゴム袋(共有はしない)=破損したら個人購入」という方針が堂々と示されている学校もあります。学校に配当されている消耗品費(市の予算)では足りないのであれば、「これは市教委が現物で配布すべきである」となぜ言わないのか、甚だ疑問です。市教委に対する遠慮なのでしょうか。あるいは職員が言っても校長がそれを市教委に伝えていないということも十分考えられます
さらに、「トイレ清掃は、当分の間教員が行う」とする学校もありますが、正しく表現するのでしたら、「トイレ清掃は、教職員が行うべき業務ではない。やむを得ず全教職員で担当せざるを得ない現状であるが、上尾市の責任で一日も早く専門業者に外部委託すべきである」としたうえで、学校としても市教委や市行政に強く要望すべきでしょう。

一方、用務員さん(上尾市シルバー人材派遣)の仕事として「男子職員の清掃」を位置付けている学校もあります。ただし、派遣元がきちんと清掃・消毒についての研修をおこなっているのか、仕様書にはどう決められているのか確かめる必要があると思います。

■保護者などの協力は本来は不必要
ある学校のHPには、[すっきりし隊]とのタイトルで、「今年度第1回目のトイレ清掃のご協力ありがとうございました」との記事が掲載されています。「今年度第1回目」となっているので、続けて2回目・3回目もありそうですが、ブログ筆者は賛成できません。
あるいは、他市の例ですが、「生命保険会社の社員による北本市立の全小中学校のトイレを消毒する奉仕活動が始まった」という記事がありました。これを〈美談〉として捉えてしまうと、ことの本質を見失うことになりかねません。トイレ清掃は毎日のことなので、保護者の協力を仰ぐのではなく、外部の専門業者に任せるべきです

■「黙働」って何?
今回、市内小中学校の職員・来客用のトイレを誰が清掃・消毒しているかの情報公開請求をしたわけですが、開示された資料の中には「清掃計画」も含まれている学校もありました。
その資料の中でブログ筆者が気になるのは、子どもたちの掃除を<無言清掃>や<黙働>という名目で位置付けている学校が多かったことです。このことについては、コロナ禍の前から増えてきていることが情報公開により判明しています。<黙働>という聞き慣れないことを教育の手段とする動きに、ブログ筆者は非常に違和感を覚えます

「黙働を徹底する」「今年のテーマ:黙働しよう」「もくもく清掃」「三点突破の一つである黙働清掃」「自問清掃」「膝つき清掃」などの<清掃についての聞き慣れない言葉>がズラッと並びますが、いずれも「とにかく黙って清掃をすること」ということです。「あそこにもゴミがある」とか「まだそこは拭いていない」とかの会話は、清掃の際にはむしろ自然だと思うのですが。
これが「黙々児童(生徒)集会」や「だんまり下校」へとエスカレートしていかないとは言えません。

黙働>などという、一部の学校現場でしか通用しない言葉や方式は「常態化」する前に考え直したほうがよいのではないでしょうか。