中学校給食の「ウェルシュ菌による食中毒」、原因は?
先月、上尾市内中学校で発生した「ウェルシュ菌による食中毒」。
その経緯などが市の教育委員会臨時会で公表されました。
今記事では、そのことについてお伝えします。
No.146
🔷発生時からの経緯
3月4日の教育委員会臨時会で公表されたのは、以下の「上尾市立中学校生徒の体調不良者の発生について」という報告です。
月日 | 対応内容 |
2月18日 | *市内の2校の中学校において、腹痛・下痢を理由として欠席・早退のほか、登校していても同様の症状を訴える生徒・教職員が多数発生する。症状は軽症であり、入院患者や重傷者はいない。 *当該2校については、午前のみの短縮授業とした。 *原因が特定されないため、19・22日の給食は市内全校中止とした。 *当該2校の欠席者は、生徒25人・教職員2人。登校しているが体調不良者は270人いた。 |
2月18・19・22日 | *共同調理場と東側5校の中学校給食室・教室・トイレ等の消毒を実施した。 |
2月18~24日 | *保健所が共同調理場と当該2校に調査に入り、衛生管理や調理工程の確認、喫食状況の調査を行ったが、保存食からは、食中毒原因菌は検出されなかった。 *調理施設や調理工程、従業員の衛生管理などの状況等について、適正に運営されていることが確認された。 |
2月20~24日 | *調理従事者及び有症者について検便を順次実施したところ、ウェルシュ菌が検出された。 |
2月22日 | *当初事案発生の2校と同一の献立を喫食している他の学校3校に、保健所がアンケート方式による追加の疫学調査を実施したところ、新たな体調不良者が約260人 判明した。 *原因の解明までに時間が必要となることから、給食停止の期間を2月26日まで延長した。 |
2月25日 | *保健所が、給食を原因とするウェルシュ菌食中毒と断定した(原因となるメニューは特定されていない)。 *共同調理場内について、再度の消毒を実施した。 |
2月26日 | *調理業務委託事業者の調理員に対し、保健所職員を講師に食中毒防止研修会を実施した。 *共同調理場職員及び調理業務委託事業者調理員が献立や調理工程、給食設備の再点検、再考察を行うとともに衛生管理の確認を行った。 *東側中学校5校の給食室について、再度の消毒を実施した。 *保健所が消毒等の実施状況確認のため、共同調理場及び東側中学校5校の給食室に立入検査を実施し、施設の清掃・消毒がされていることを確認した。 |
3月1日 | *全校で中学校給食を再開した。 |
この時系列の表を見て、「何かおかしいな?」と思います。
そのひとつは、2月18日の段階で、他の3校でも 同様の症状が出ている生徒や教職員がいたと思われるのですが、2月22日の保健所の調査まで市教委は何をしていたのか?という点です。
もうひとつは、保健所が、給食を原因とするウェルシュ菌食中毒と断定したにもかかわらず、その原因となるメニューは特定されていない、という点です。
ウェルシュ菌食中毒と断定されたのですから、その経路もわかるのではないかと思いますが……。
※ウェルシュ菌による食中毒は、別名「給食病」とも呼ばれ、カレーや煮込み料理等、大鍋・大釜で大量に調理し、作り置かれていた食品を原因とした事故発生例の多い食中毒となります。患者数が多いことも特徴です。
出典:MHCL WORKS LABO
🔷2月17日の給食の献立は?
中学校給食は、高崎線東側と西側では、当日のメニューが異なります。
2月17日の東側は、次の献立でした。
共同調理場(セントラル)で調理 | 手作り山海しゅうまい |
各中学校給食室(サテライト)で調理 | 広東めんの汁 スイートポテト |
業者が各中学校に配送 | ホット中華めん 牛乳 |
「原因となるメニューは特定されていない」とは言うものの、この中の何かが食中毒の原因になったことは間違いなさそうです。引き続きの調査で判明すればよいのですが。
また、2月26日には公立高校の入学試験が実施されましたが、市教委事務局(学校保健課長)の話では、「入試への影響は無かった」ということです。
ただ、2月22日の時点で「新たな体調不良者が260人判明」となっていますので、本当に影響が無かったのかについては、もう少し調べる必要があると思われます。
🔷関連しての疑問点
今回の食中毒については、わからないことが幾つかあります。
◆原因究明が今後も徹底的におこなわれるのか。
◆食材は、当日の給食として配膳されるまでに、どう保管されるのか。
◆当日は、「検食」を校長がしているのではないか?
何の役にも立たないのであれば、何のための検食なのか。
◆今後、同じようなことが起きないという保証は?
これらのことについては、情報公開請求等を通じて明らかにしていきたいと考えています。
ウェルシュ菌という古典的な細菌での食中毒。委託業者が実施して保健所から処分も出ているはずなのに原因が発表されないのはおかしい。八潮市のときは業者名が公表されしっかりと社会的処分も受けた。同じ埼玉県なのに不公平。
コメント、ありがとうございます。
確かに、八潮市と比べると、上尾は甘いという印象ですね。
原因の徹底究明と同時に、責任の所在についても深掘りしてみたいと思います。