池野教育長の市議会答弁に隠された「不都合な真実」とは
昨日(1月19日)まで、上尾市議会では一般質問がおこなわれました。
この時期に「12月議会」というのも違和感がありますが、市長選と議会日程にズレが生じたことによるものでしょう。4年に1度とは言え、何とかしてほしいものです。
今記事では、池田達生議員の市議会一般質問の中から、私がとりわけ関心を寄せた教育問題とそれに対する教育長の答弁の裏に隠された「不都合な真実」についてお伝えします。
No.202
🔷池田議員の質問と教育長答弁
今回の池田議員の質問(1月18日)は、大項目で3点でした。
1 戸崎公園パークゴルフ場北側未整備地の有効活用について
2 学校施設更新計画基本計画に関連する諸課題について
3 教員の働く環境の改善を
いずれの質問も、現在の市政&教育行政を考えるうえで重要な問題です。
多くの問題がある中で、私がとりわけ関心を寄せているのが、
①「教職員の働きかた改革についての問題」(「教員の働く環境の改善」の中で大きな位置を占める、市教委事務局(指導課)が作成した基本方針についての問題)と、
②「水泳授業を民間施設に依拠する問題」(「学校施設更新計画基本計画」に関連して、市教委事務局(教育総務課)が「水泳授業民間委託」を公然と掲げ、実施に「前のめり」になっている問題)。
今記事では、①教職員の働き方改革についての問題について取り上げ、市議会での池田議員の質問と教育長の答弁とを振り返りながら見ていきます。
🔷池田質問と池野教育長答弁(該当部分)
(池田議員による教育長への質問) コロナの前から、日本の小中学校の先生は世界一の長時間労働といわれています。 休憩時間もろくにとれない、授業の準備をする時間が足りない、仕事におわれて生活のゆとりがないなど、2020年にとられた全国での教職員へのアンケート結果も出ています。 また、市内で代員教員を探すのに苦労している状況もわかりました。 それらを解決する施策として、少人数学級の実施が必要と考えます。そのためには、教員を増やすことが必須と思います。少人数学級の早期実施や、教員を増やすこと、長時間労働を無くしていくことに対する教育長の見解を伺います。 |
(池野教育長の答弁) 教職員の定数等につきましては、令和3年4月1日、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律等が施行されました。これにより、全国的に令和7年度までに小学校の全ての学年で35人学級が実現することとなりました。そのため、教育委員会といたしましては、国及び県の基準に基づき学級編制を行ってまいりたいと存じます。 学校における働き方改革につきましては、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」に基づき、教育委員会も学校と一体となって、小・中学校の教職員の多忙化解消、負担軽減に取り組んでおります。今後も引き続き、教職員が心身ともに健康で、授業やその準備をはじめとした専門性に基づく教育活動に全力で専念できる環境を整え、「夢を育み 未来を創る 上尾の教育」の具現化を目指した教育活動の一層の充実を図ってまいります。 |
以上のとおり、「教員の長時間労働を無くしていくことに対する教育長の見解」について、池野教育長は「学校における働き方改革につきましては、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」に基づき、教育委員会も学校と一体となって…」と答弁しています。
🔷「時間外在校時間」って何?
池野教育長が答弁で言及した「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」については、上尾市教委のHPには、次のサイドメニューがあります。
この「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」(クリックすると飛びます。A4で6頁)については、次の内容が含まれています。
*目標 時間外在校等時間の上限
「原則 ①月45時間以内 ②年360時間以内」
しかし、「時間外在校等時間」とは実に奇妙な言い方だと思いませんか?
「時間外在校時間=勤務時間を除いた在校等時間」というのは、「原則として教員には時間外勤務を命じない」(根拠法:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法=給特法)ことから使用されている言葉ですが、そもそも、遅くまで授業の準備や事務仕事をしていて、それが時間外勤務ではない、ということ自体が実態とあわず、現在社会的にも大きな問題になっているわけです。
市議会での質疑では、この言葉を使い、次のようなやり取りがされています。
(池田議員) 小中学校の教員の長時間労働が依然として大きな問題になっています。市内小中学校でここ3年間における教職員の勤務時間を除いた在校等時間の月平均を伺います。 |
(瀧沢学校教育部長の答弁) 毎年行っている勤務状況調査の基準月である11月における勤務時間を除いた在校等時間の平均でございますが、小学校は令和元年48時間、令和2年42時間、令和3年45時間でございます。中学校は令和元年60時間、令和2年58時間、令和3年57時間でございます。 |
この瀧沢学校教育部長答弁も、検証してみると違った結果(=実際にはもっと時間外は多い)になると思われます。
実は、毎月の教職員の時間外勤務の管理データでは、はっきりと「時間外勤務時間一覧」と表記されています。下記一覧表をごらんください(PCでの閲覧を推奨)。
このデータは、私が各小中学校教職員分を情報公開請求し、開示された文書の一部です(なお、教職員氏名は、個人情報のため開示されません)。
🔷提案も報告も無いのに、いつの間にか市教委のHPに掲載
教育長答弁にある「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」(以下、「基本方針」)なるものは、令和2年9月1日~令和4年8月31日の2年間が対象です。
ところが、この「基本方針」は、重要であるにもかかわらず、その扱いが極めて雑です。
なぜならば、この「基本方針」は、定例・臨時の教育委員会に提案されること無く、いつのまにか市教委のHPに掲載されていたのです。また、HP掲載後も、現在に至るまで定例・臨時の教育委員会の議題になることも全くありません。
しかも、事前に教育委員にこの「基本方針」が知らされた事実も無かったことが、私がおこなった情報公開請求により明らかになっています。
したがって、池野教育長の「学校における働き方改革につきましては、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」に基づき、教育委員会も学校と一体となって…」という答弁の裏には、「基本方針」自体が、教育委員会で議題にもならないどころか、教育委員への報告も無い(=市教委事務局が勝手に作成した)、という経緯があるのです。
これでは「教育委員会も学校と一体になって」などと教育長が言っても、全く説得力がありません。
🔶今記事では、池田議員の質問に対する池野教育長の答弁と、その裏にある「不都合な真実」についてお伝えしてきました。
普通に聞けば「耳障りのよい」答弁であっても、当ブログで何度かお伝えしてきたように、池野教育長は「その場しのぎ」の発言が目立ちます。そのことを市民は忘れてはならないと思います。
🔶字数の関係もあり、冒頭で私が関心を示していると述べた「水泳授業を民間施設に依拠する問題」については今記事では触れることができませんでしたが、情報公開請求で得た文書・資料等もあることから、後日あらためて記事にしたいと考えています。
当ブログでは、引き続き上尾市の行政や教育委員会(図書館を含む)にとっての、様々な「不都合な真実」をお伝えしていくつもりですので、よろしくお願いいたします。