「議会報編集委員会」の会議録から見える「上尾市議会のリアル」
前記事でお伝えした上尾市議会への情報公開請求の「処分(=開示・非開示の決定)」が示されました。
今回私がおこなった情報公開請求は、次の2点。
① 請願の文言(内容)のHP等への公表について
② 「議会改革度調査」への上尾市議会の回答について
結論としては、①・②ともほぼ全面的に公開されたと言えます。
そこで見えてきたのは、今までは市民に示されなかった「上尾市議会のリアル」でした。
字数の関係もあることから、今記事では上記①についてお伝えします。
No.225
🔶情報公開請求に対する議会側からの開示文書
上記①について、私が開示請求した文書・資料等は、次のことについてです。
*提出された請願・陳情について、その文言が議会HP等で公表されていない理由。 *請願の本文の公表の是非についての議会内での検討状況。 |
これについて、議会事務局から開示された文書は次のとおりです。
*「議会報編集委員会(2021.11.18)会議結果」 *「議会運営委員会 (2021.12.22)会議結果」 |
この二つの委員会は録画(中継)もされなければ、会議録もHPで掲載されていません。
すなわち、市民が会議結果について知るためには、現状では情報公開請求しか手段が無いのです(というのも、私は「先方の都合も聞かずに市役所に行き、担当に資料を見せるよう迫る」などという手法は絶対に使わないからです)。
以上の資料の内、私の開示請求に最も近いのは、「議会報編集委員会 会議結果」でした。
つまり、市民向けの議会報に掲載される内容を検討する委員会です。
今回の情報公開請求に該当する会議結果は、次の部分です。
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次に、これらの開示資料から見えてきた「市議会のリアル」についてお伝えします。
🔶誰が(どの会派が)何と言っているのか
陳情については、大半の議員(会派)が「HPに掲載する必要はない」と述べています。これについては私は異論がありますが、今記事では請願に焦点を当てることにします。
請願の扱いについては、会議録のとおり、様々な意見が出されています(画面が見にくい方のために、請願を議会報に掲載することについての各会派の主張を整理してみます。強調のための色替えあり。会議録掲載順)。
政策・市民の声 | 請願は採択・不採択にかかわらず、載せたほうがよいという意見が多数。 |
公明党 | 請願についても現状のままでよい(という声が多い)。載せるとなれば、事務局の負担がかからない方法でやっていくことを検討してはどうか。 |
同志会 | 情報公開での対応。事務局の負担にならないようにHPには載せない。 |
彩の会 | 請願は議案で出てくるので、過去のアーカイブとしてあってもよい。議会報編集委員会の判断だけで良いのではないか。 |
共産党 | 平成24(2012)年に、情報を公開するために請願内容をHPに掲載すると提案しており、方針は変わっていない。 |
このとおり、公明党と同志会は「事務局の負担になるのではないか」ということを、市議会HPへの掲載に反対する理由に挙げていることがわかります。
では、「HPに掲載することが事務局の負担になるのか」ということについて、当の議会事務局はどのような見解をもっているのでしょうか。
議会事務局見解 |
HPの容量は気にしなくてよい。 スキャンしたデータであれば、数分で載せることはできる。 請願に対する問い合わせがあった時の市民対応の方が時間がとられる。 |
事務局の見解は明快です。
データは数分で掲載できる、つまり、さほど負担ではないということです。
議論の中で私が共感できるのは、戸口議員の「市民の目線で考えたほうがよい。出された請願は載せてほしい」という意見です。
一方、井上智則議員の「(請願を載せることの)メリット・デメリットをみて、今後の方向性を進めていく必要がある」という意見は、正直言って理解できません。請願には紹介議員が明示されています。それを掲載することのデメリットとは何なのでしょうか。
🔶事務局から提示された資料の「重み」
この「議会報編集委員会」には、以下のとおり、議会事務局による「他市の状況」についての調査結果が示されています。
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埼玉県内40市の内、請願の内容を公開しているか否かについての調査結果(再掲)
請願の内容をHPで公開していない。 | 14市(上尾市含む) |
採択となった請願のみ公開している。 | なし |
請願の内容をHPで公開している。 | 26市 |
請願の内容をHPで公開している市のほうが、公開していない市(上尾市)の約2倍となっています。
先ほどの事務局の発言と重ね合わせると、私には、「議会事務局は、請願の内容をHPに掲載してもよいと考えている」のではないかと思えます。
🔶すべての請願をHPに掲載することは「見送り」?
このような議論を経て、会議録の最後には次のようにあります。
議会編集委員会の意向としては、採択された請願のみをホームページに掲載する意向であることを議会運営委員会に諮ることになった。 |
これを受けて、2021年12月の「議会運営委員会」の会議録に次の記述があります。
採択された請願の市議会ホームページへの掲載について、「議会報編集委員会」において12月定例会以降のものを掲載することで決定した。 なお、不採択の請願および陳情は掲載しない。 議会運営委員会もその決定を尊重し、掲載することで決定。 |
🔶すべての請願についてHPで公開してほしい
今記事では、私がおこなった情報公開請求によって開示された「議会報編集委員会」の会議録から見えてきた「上尾市議会のリアル」についてお伝えしてきました。
市議会定例会の本会議での質問・答弁ももちろん重要ですが、通常おこなわれている「委員会」の場において、各議員・各会派の本音が語られていることもあらためてわかりました。
上尾市議会HPでは、「請願とは」として、次のように説明されています。
*請願は、市民の皆様が市政などについて、直接市議会に要望する制度です。請願権は日本国憲法第16条において規定され、国民の基本的人権の一つに位置付けられます。 *議員の紹介が必要です。上尾市議会の場合、請願内容を所管する委員会に所属する議員は、紹介議員にならない申し合わせがありますので、議員との調整をお願いします。 *提出された請願書は、定例会において審査した後、採決を行います。 |
ここで述べられているように、「請願権は憲法で規定され、国民の基本的人権の一つに位置付けられている」ことや、「(提出する際には)議員の紹介が必要」であることを考えても、請願の内容をHPで公開しないほうがむしろ不自然ではないでしょうか。
すべての請願の内容(文言)がHPで公開されていれば、それについての情報公開請求の必要が無くなることになります。当ブログでは「すべての請願についてHPで公開してほしい」と言い続けていくつもりです。