「上尾市総合計画審議会」を傍聴して(その2)

前記事では、「第6次上尾市総合計画(案)」について私が提出した意見と、上尾市総合計画審議会の委員の選出の仕方の「不透明さ」について言及しました。今記事はその続きです。

No.142

🔷情報の開示を求めました
前記事でも触れたように、「上尾市総合計画審議会委員」の選出の仕方には疑問符がつきます。そこで、次の情報の開示を求めました。

① 「市政の各分野」は多種多様にわたるにもかかわらず、審議委員を上記10人とした理由が判別できる文書・資料等。
② 審議会委員とされている細野宏道氏は、「いじめ問題」について、上尾市教育委員会の「いじめの兆候は見逃さない」という方針とは真逆の、「いじめやそれを傍観している子どもがいることが、幼・小では当然」という自説を、教育長職務代理者として公の会議の場で少なくとも二度にわたって披歴しています。それにもかかわらず、なぜ「優れた識見を有する者」として細野氏が審議会委員となっているのかが判別できる文書・資料等。

以上については、市長宛てに「行政文書公開請求」の電子申請しましたので、後日「処分通知」の連絡が来ると思います。結果が出ましたら、当ブログでお伝えします。

🔷私が提出した意見(続き)

(意見⑤)[52頁]
《教職員の資質向上と地域との連携》「取組の方向」
「教職員の資質・指導力を高めるため、研修の充実及び委嘱研究の推進を図ります」  を次の文言に訂正する。
🔷教職員の資質・指導力を高めるため、校内での教員相互の授業研究の充実を図ります。委嘱研究については、市教委による強制ではなく、各学校の希望制とし、従来指摘されてきたことを踏まえ、長時間労働の要因とならないように配慮します。
(意見⑤についての市の考え方)
🔶研修及び委嘱研究について、貴重なご意見として承ります。
教職員の長時間労働については、課題となっている事項であり、「取組の方向」や「主な事業・取組」には、対応した取組をすでに記載しておりますが、より教職員の負担軽減の課題を明確にするため、「現状と課題」を以下のとおり修正します。
🔶質の高い学校教育を推進するためには、常に研究・実践を重ねて指導方法の工夫・改善を図るとともに、教職員の働き方改革を進め、教職員の資質・指導力及び学校の教育力を高めることが必要です。

つまり、私が提出した意見の内、「教職員の働き方改革」という文言を挿入する形で修正がされたことは一定程度評価できますが、委嘱研究を希望制にすることや、委嘱研究発表が長時間労働の要因となっていることは認めようとはしていません。今後も情報公開請求等により、問題点を表出させていくつもりです。

(意見⑥)[52頁]
「取組の方向」ICTの…の次に〇を起こし、次の文言を加える。
日常化する教職員の長時間労働解決のため、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」に基づき取り組みます。
※「働き方改革」はICT活用だけではないため。
「主な事業・取組」スクール・サポート・スタッフの配置 の次に〇を起こし、次の文言を加える。
教職員の長時間労働解決のために、可能な限り学校に対する市教委の関与を減じていく。
最終退勤者について、校長による目視での確認をおこなう
(意見⑥についての市の考え方)
教職員の長時間労働については、課題となっている事項であり、「取組の方向」や「主な事業・取組」には、対応した取組をすでに記載しておりますが、より教職員の負担軽減の課題を明確にするため、「現状と課題」を以下のとおり修正します。
🔶質の高い学校教育を推進するためには、常に研究・実践を重ねて指導方法の工夫・改善を図るとともに、教職員の働き方改革を進め、教職員の資質・指導力及び学校の教育力を高めることが必要です。

内容が異なるにもかかわらず、上記意見⑤についての「市の考え方」と全く同一の文章が提示されました。市の原案では全く取り上げていませんが、もともと、「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」は、市教委が作成したものです。そのことを全く無視した原案であることが、はからずも露呈したことになります。

「教職員の働き方改革」で最も有効な方法としては、
◎できるだけ市教委の関与を減らしていくこと。
◎校長に教職員の勤務実態を把握させること。 が挙げられます。
しかしながら、これらについては、上尾市や市教委の側は、こうした意見を意図的に無視していると言えます。

(意見⑦)[52頁]《経済的支援》「主な事業・取組」
奨学金の貸付等  の次に〇を起こし、次の文言を加える。
〇給食費の無償化の推進
(意見⑦についての市の考え方)
🔶本市では、学校給食法の規定や受益者負担の観点から食材費は保護者の皆様から徴収させていただいておりますことから、学校給食費の無償化は考えておりません。

 上尾市は明確に「学校給食費の無償化は考えていない」と切って捨てています。その理由として、学校給食法を挙げていますが、その一方で教育としての「食育」については全く言及していません。
看過できないのは、「受益者負担」を挙げていることです。「受益者」とは誰でしょうか。「子どもであっても、食べるんだから受益者だろう」という狭い考えではなく、未来を担う子どもたちに無償で給食を保障することをなぜ施策としないのでしょうか。
このことについては、甲南大学経済学部教授の足立泰美氏の優れた論考がありますので、大変参考になります。⇒「子どもの貧困と学校給食費の無償化。将来の子どもたちも担えるサービスの提供を目指し問われる自治体の手腕
足立氏は、この論考の最後で、「サービスをどのように提供していくのか。その手腕が自治体に問われている。次の時代の子どもたちが担い続けることができる政策、その視点が今まさに求められているのではないだろうか」と問いかけています。

2回にわたってお伝えした「第6次上尾市総合計画(案)」ですが、意見を提出した方は7人(40件)だったそうです。
この計画の策定スケジュールとしては、市議会3月議会に議案としてかけるようですが、「上位計画」とのことなので、今後とも注目していきたいと考えています。