市民の「知る権利」への対応に歴然の差
ある事柄について知りたいと考えたとき、私の場合は、ネット検索はむろんのこと、関係機関に聞いたり、情報の開示を求めたり(情報公開請求)しています。最近、自分の知りたいことを様々な方法で調べてみたところ、興味深いことがわかりました。
今記事では、これに関連したことをお伝えします。
No.181
🔶私の疑問
私が「知りたい」と考えたのは、次の疑問です。
住民から提出された「陳情」を審議して採択・不採択を議決する埼玉県内の全ての自治体名を知りたい。 |
このような疑問が生じた理由ですが、以前の記事で述べましたが、6月市議会の際、私は[東京2020オリンピック聖火リレー実施に伴う「上尾市独自イベント」の中止を求める陳情]を市議会議長宛に提出しました。念のため、議会事務局の職員に「この陳情が出されたことを、教育委員会としても把握しますよね?」と尋ねると、返ってきた答えは、「議員に配布するだけです」というものでした。
つまり、教育問題にかかわる「陳情」であっても、教育委員にも、教育委員会事務局にも市民からの陳情の内容は伝わらないというのです。
「それはどう考えてもおかしいでしょう。市民からこうした陳情が出ていることを教育委員会は把握すべきです」という私からの要望で、結局は教育委員会事務局(スポーツ振興課)に渡されることになりました。
ただし、あくまでも「陳情人から要望があったので」教育委員会事務局に渡す、というのです。
こうして経緯もあり、<市民から提出された陳情自体が「低い扱い」を受けているのではないか>&<他の自治体ではどうなっているのか>という疑問が生じたのは自然な成り行きだったと言えます。
🔶調べてみると
まず、ネット検索で、朝日新聞デジタルの記事(有料版)[埼玉 陳情、採択・不採択するのは6市議会だけ]が見つかりました。
そこには、次の記述がありました。
(ネット検索・朝日新聞デジタル) 請願は委員会や本会議で審議され、採択または不採択という扱いがされるが、陳情は議会ごとに対応が分かれている。 埼玉県内の全40市議会を調べたところ、陳情も審議して採択・不採択を議決するのは6議会にとどまっている。 |
この記事から、埼玉県内の40市のうち、6市議会は「陳情も審議して採択・不採択を議決している」ことがわかります。朝日新聞デジタルは「6市議会しかない」との論調ですが、私は「6市議会もある」という率直な感想を持ちました。ただし、有料版のため、記事全部を読んだわけではありません。
🔶上尾市議会事務局の回答
では、私がこの記事に関して、どのように調べていったかを、時系列で書いていきます。
8月24日、前記事の「陳情書」を提出した際、手続きに間違いがないかを含め、上尾市議会事務局の職員と面談しました。
そのときに、冒頭の質問をしました。以下が議会事務局の回答です。
(上尾市議会事務局の回答)県内の自治体での「陳情」の扱いについては、全くわかりません。調べたこともありません。 |
🔶埼玉県議会事務局の回答
上尾市議会事務局の回答が前記のとおりだったので、同じ日、埼玉県の
情報公開システム経由で情報の開示を求めました。
翌日(8月25日)、県の情報公開担当から電話がありました。内容は
(埼玉県議会の回答)請求された内容については、県議会事務局では情報がありません。 |
というものでした。続けて、「このまま続けても、文書不存在で非公開になります」というので、webで取り下げの手続きをしました。
🔶埼玉県立熊谷図書館からの回答
次に、図書館の「レファレンスサービス」を利用しようと考えました。
埼玉県立図書館HPには、「あなたの調べるを応援します」という表題で、「ウエブサイトからのレファレンスお申込みについて」という案内があります。私は初めてでしたが、迷うことなく送信できました。
◎なお、申し込みの際には、「自分で調べた範囲で分かったこと」も記入する必要があるため、私は朝日新聞デジタルの記事を参考にした、と書き添えました。
送信したのは8月26日でしたが、2日後の8月28日には、県立熊谷図書館から回答が寄せられました。
それは次のような、詳細かつ丁寧な内容でした。
(県立熊谷図書館からの回答)※概要
(市について) (町・村について) 伊奈町「伊奈町議会会議規則(平成元年3月29日議会規則第1号)(https://www1.g-reiki.net/town.ina/reiki_honbun/e345RG00000013.html#e000000975 ◎以下、伊奈町と同様に、小鹿野町・小川町・越生町・神川町・上里町・川島町・杉戸町・ときがわ町・長瀞町・滑川町・鳩山町・松伏町・美里町・皆野町・宮代町・三芳町・毛呂山町・吉見町・寄居町・嵐山町・東秩父村についての丁寧な説明が記述されていました。 |
🔶上尾市立図書館からの「回答」は?
上尾市立図書館のHPには、「メールレファレンス」というページがあり、そこを経由して、県立図書館と全く同じ質問をしています。
そのページには、次のような記述があります。
※以下、上尾市立図書館HP「メールレファレンス」より引用 |
上尾市立図書館に「メールレファレンス」を申し込んだのが8月26日ですから、「1週間過ぎ」は9月2日か3日です。上述のとおり、埼玉県立図書館からは、レファレンス申込から2日目に詳細な回答の返信がありましたが、さて、どのような対応がされるでしょうか。
◎以上のとおり、今回わかったのは、「埼玉県立図書館のレファレンスサービスは、迅速で、しかも大変役に立つ」ということです。
上尾市議会事務局と県議会事務局には正直がっかりさせられました。
上尾市図書館と県立図書館の差は……やはり、「職名(職種)としての司書・司書補がいるのか、いないのかの差」ではないでしょうか。
なるほど、レファレンスサービスというのは、そういう使い方をするのですね。
コメント、ありがとうございます。
そうですね。県立図書館のすばやい対応は、さすがだと思います。
一方、上尾市図書館本館のカウンター左脇には、「いつも誰もいない」レファレンスサービスのコーナーがあります。そこには誰もいないし、メールレファレンスで送信したのに、いまだに音沙汰なし。上平のグランドゴルフの管理をするよりも、図書館利用者のサービスに力をいれてほしいと思います。