市教委「実施計画出さず」は《議案取り下げ》による「負の効果」か?

現在、上尾市教育委員会がすすめようとしている「学校施設更新計画基本計画」。
今月は市教委が示している『素案』への意見を市民から聴取するという名目の「公聴会」が市内6か所で実施されます。
この『素案』については、目を通した市民からは、「具体性に欠けている」「何が言いたいかわからない」などという声が出ています。その一因としては
、具体的な計画である「実施計画」が示されていないからであると考えられます。

当ブログでは「なぜ『素案』は具体性に欠けるのか」について、2021年6月の「実施計画議案取り下げ」が市教委にとってのトラウマ、すなわち「負の効果」として表われているのではないかと考えています。今記事では、このことについてお伝えします。

No.256

🔶市教委にとって屈辱的な《議案取り下げ》とは?
「実施計画」とは、「学校施設更新計画基本計画」を具体的にすすめていくための、向こう5年間の計画のことです。
その「実施計画」議案を教育委員会定例会当日になって取り下げたのですから、市教委にとっては
、前代未聞、まさに屈辱的と言えるものです。
この問題については、時系列で確認してみましょう(強調のため色替えあり)。

2021年5月《教育委員会定例会》 *「上尾市学校施設更新計画基本計画」を策定
(教育委員全員一致・異議なし)
*上記「実施計画」について協議
(特に異論無し)
2021年6月《教育委員会定例会》 議案35号(実施計画)を取り下げ
※この時の教育総務課長の発言は
下の枠内のとおり。
2021年6月《教育委員会定例会》での池田教育総務課長による「取り下げ理由」(会議録による)
「議案第35号 上尾市学校施設更新計画実施計画の策定について」でございます。
本件につきましては、前回の会議でご協議をいただきまして、本日議案の審議として採決
をいただく予定でございました。しかしながら本日9時30分から上尾市議会におきまして、上尾市学校施設更新計画基本計画に関する全員協議会が開催され、基本計画について説明及び質疑を行ってまいりました。全員協議会では、市議会議員の方から様々なご意見を頂戴いたしましたが、その中で、「実施計画の採決を行い、策定することを判断することは時期尚早である」、「策定すべきではない」、「慎重に審議すべきである」という旨のご発言がございました。このご指摘を踏まえまして、本日の全員協議会での協議内容を教育委員の皆様にお伝えをして、実施計画の策定の審査を行うことが適切であると判断をいたしまして、議案第35号につきましては後日提出させていただきます。

つまり、2021年5月に策定した基本計画を具体的にすすめるための「実施計画」を同年6月に策定する予定が、市議会調査特別委員会で否定されたため、取り下げたのです。

🔶「後日提出」とされた「実施計画」はその後どうなった?
この《議案取り下げ》から現在まで1年半経過していますが、いまだに「実施計画」は提出されていません。よほど2021年6月の《議案取り下げ》が尾を引いているのでしょう。
負の効果」とも言えるものです。
以上のことから、『素案』に目を通した市民から「具体性に欠けている」という声が出ている理由は「実施計画」が市民に示されていないからだと考えてよいでしょう。

🔶現在の教育委員の役割は「全員一致・異議なし」
しかし、今さらながら呆れるのは、教育委員の議決への態度です。
2021年5月の「基本計画」策定の際にも「全員一致・異議なし」、さらに6月の「議案を取り下げます」に対しても「異議なし」でした。
これらの議決への態度を含め、過去20年にわたり「全員一致・異議なし」を繰り返してきた教育委員たちの責任は重大であり、上尾市教育委員会で現在の教育委員が果たす役割は、間違いなく「全員一致・異議なし」の議決のためと言えるでしょう。

🔶『素案』をめぐっての「明らかに誤った発信」とは
上記の「議案取り下げ」が勃発したのは昨年度ですが、今年度も市教委(事務局)は「明らかに誤った発信」を繰り返しています。(以下に挙げたもの以外にもありますが、とりあえず主なものだけ)。

(1)7月に実施した市民アンケート問2-1「学校再編は必要と考えるか」の説明で「法律で定める標準程度」とあるのは明らかに間違い。法律ではありません。
行政として「法律」を根拠にするのであれば、法律名を明記すべきであり、誘導質問となっています。

(2)9月の定例教育委員会の席上、教育総務課長は「『素案』については11月に協議する」と明言しましたが、これも大ウソ。11月には協議されなかっただけでなく、教育委員の誰ひとりとして「『素案』は協議しないのか」という質問もありませんでした。

(3)11月末発行の『広報あげお 12月号』に、《「上尾市学校施設更新計画基本計画」を改訂します。このたび、その案がまとまりました》との記述があります、これは明らかに事実と異なり、実際には『広報あげお』発行後の12/22の定例会で協議されています。

(4)12/23の市議会「調査特別委員会」で、教育総務課長は今回の「公述書」について、「何百字とかそういったことではなく、少ない行数でも、箇条書きでもけっこうです」と述べています。しかしながら、実際には「意見は400字以内にまとめ云々」となっており、明らかに齟齬が生じています。

🔶「公述」が5分では短すぎる
1/14の「公聴会での公述」を申し込んだところ、以下のような通知が届きました。
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これによると、「公述の発言時間は5分以内」「地域公聴会では質問はできない」などと書かれています。このこと自体、「意見を市民から聴取する」やり方としてはどうなのか、という疑問が生じます。今までに上尾市で実施された「都市計画に関する公聴会」では、「公述はおおむね10分以内」とされてきました。今回の「公述」が5分以内というのは、市教委事務局による恣意的な判断によるものです。どう考えても、発言時間が5分というのは、短すぎます。これでは、単に「やってます感」を出すだけと言われても仕方ないでしょう。
「公聴会」の様子は、後日当ブログでお伝えします。

“市教委「実施計画出さず」は《議案取り下げ》による「負の効果」か?” への2件の返信

  1. いつもありがとうございます。
    12日のご指摘の問題は、理屈抜きで賛成です。市民センターの指摘では、今何をやっているのかわかりづらい点があり、既成事実だけが先行していきます。実に情けない思いでおります。町内会などで経過を報告するときがあるのですが、教委の進行を報告すると、市も着実に進行しているな!となってしまうのです。情けない限りです。

    1. コメント、ありがとうございます。

      市教委が何と言って、何をしたがっているのか、言いたがらないのは何なのか、これらを見抜いていくのは、正直大変だと思います。
      しかしながら、市教委のねらいは「小規模校を廃校にしていく」ことであり、それは『素案』の底流にあると考えられます。
      これから来年度にかけて、上記以外に、「小中一貫教育」に名を借りた施設一体または隣接型の小中一貫校、プール授業の民間委託のモデル校、給食提供方式の見直しなど、次から次へと出されて来ることが予想されます。
      市民の反応にガッカリすることもあるかと思いますが、めげずに、ひとつひとつの問題点を指摘し、市民に事実を知らせていくことが大切だと思います。

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