上尾市教育委員会が「決定」すべき各種《方針》の「扱いの杜撰さ」
上尾市教育委員会のHP(正確に言えば、上尾市役所HPの中の市教委のページ)には、「方針」としてまとめられているメニューがあります。ところが、これらの「方針」について見てみると、中には杜撰な決め方の「方針」があるのです。
今記事では、このことについてお伝えします。
No.281
🔶いつのまにか、市教委HPに「方針」のメニューが登場
以下は、市教委HPの画面左側にある現在のメニュー表示です。
以前は各「方針」はメニューの中にバラバラになっていました。
「方針」としてまとめられた(時期は今年度になってからだと思われます)のは、見やすくなったとも言えるものですが、深掘りすると市教委にとっての「不都合な真実」が見えてきます。
まずは、上尾市教育委員会が決定する「方針」とは何かを確認してみましょう。
🔶上尾市教育委員会が定める「方針」とは
上記と同じ頁のメニューの中に、「教育委員会のあらまし」があり、そこには、次のような記述があります(強調のための色替えあり)。
「教育委員会」のあらまし(市教委HPより) |
地方公共団体が処理する教育関係の事務については、その政治的中立を維持することが強く要請され、また行政の安定性、継続性も求められていることから、すべての都道府県、市区町村などに合議体の執行機関として教育委員会が置かれることとされています。 上尾市教育委員会は教育長と5人の委員により組織され、教育、学術および文化に関する事項について大所高所からその基本的な方針などを決定します。 |
「教育委員会」と「教育委員会事務局」とは「似て非なるもの」です。
「教育委員会」は「教育長+教育委員の合議体」であり、基本的な方針などを決定する役割を担っています。
一方、「教育委員会事務局」は、教育委員会の事務を担当する部署なのです。
上尾市教育委員会は「基本的な方針などを決定する」とされていることから、「基本的な方針」は必ず教育委員会の会議(例月の定例会や臨時会)を経る必要があることは明らかです。
🔶深掘りすると、杜撰さが見えてきます
では、メニューとしてまとめられた「方針」は、現在どうなっているのでしょうか。
以下は、本日(7/4)現在の「方針」の画面です。
以上のとおり、現在は8つの「方針」が掲載されています。しかし、タイトルに「主な方針」とありますが、「基本的な方針」は教育委員会の会議を経るはずなのに、「主な」「主でない」などの差異があるのでしょうか。
🔶各「方針」への疑問
これらの方針の扱いについて、私(当ブログ館主)は先日情報公開請求しました。
そこで得た情報等に基づき、上記「方針」それぞれについて見ていきます。
※表の中で「定例会」とあるのは、例月の教育委員会定例会のことです。
また、「議事」とは「議案審議」または「報告事項」を指します。
「方針」の名称 | 各「方針」にまつわる情報や疑問 |
上尾市いじめの防止等のための基本的な方針 | 5年にわたり2つの「方針」を掲載。 後述の「疑問点その1」参照。 |
上尾市特別支援教育基本方針 | 定例会の議事となっていません。 |
上尾市立中学校に係る部活動の方針 | 定例会の議事となっていません。 |
上尾市学校給食食物アレルギー対応方針 | 定例会の議事となっていません。 |
上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針 | 後述の「疑問点その2」参照。 |
上尾市小中一貫教育基本方針 | 2023年3月定例会で議案審議。 |
上尾市不登校対策基本方針 | 2023年3月定例会で議案審議。 |
上尾市学校給食基本方針 | 2023年3月定例会で議案審議。 |
このとおり、「方針」によって、月例の教育委員会定例会の議事となる場合とならない場合があるのです。それ自体おかしな話ですが、事務局によるこの対応は、上述の「上尾市教育委員会は教育長と5人の委員により組織され、教育、学術および文化に関する事項について大所高所からその基本的な方針などを決定します」との市教委HPでの記述とは明らかに整合性に欠けるものです。
[疑問点その1]
『上尾市いじめの防止等のための基本的な方針』は、当初の策定の際には「定例会」の議案とされたものの、2回目の策定(注:改定ではなく)の際には「定例会」の議事とはなりませんでした。実に杜撰な対応です。
しかも、「方針」が2つ存在している画面は5年間放置されてきました。
(5年間放置されてきた画面)
※情報公開請求の結果、現在は平成26年2月策定の方針は削除されました。
[疑問点その2]
「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」は、当初は定例会の議事とはなりませんでしたが、その理由について私が開示を求めた結果、改定版は定例会の議案となったという経緯があります。
さらにひどいのは、昨年3月議会における学校教育部長の答弁です(このことについては、当ブログ記事No.212をお読みください)。以下、記事の該当箇所を再掲してみます。
池田達生議員の質問 |
令和2年9月の「上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」は、上尾市教育委員会が発行となっています。ところが、調べたところ、どの教育委員会(定例会・臨時会)の議題にも上がっていない。 すなわち、教育委員会の会議ではいっさい論議されていないで発行されていますが、その理由は。 |
瀧沢学校教育部長による答弁 |
教育に関する基本的な計画すべてを必ずしも教育委員会の議案とはしていないためです。なお、策定にあたっては、県の基本方針に基づき、学校の意見を聴取して作成しています。 |
瀧沢学校教育部長(当時。現在は大石北小の校長)による答弁「教育に関する基本的な計画すべてを教育委員会の議案とはしていない」については、「上尾市議会史における最悪な答弁」と言ってもよいくらいひどいものです。明らかに市教委HPに掲載されている「教育委員会のあらまし」での説明とは違うからです。
🔶メニューに掲載されていない「方針」もある
たとえば、「上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針」は、メニューの「方針」には掲載されていません。同方針自体は短いものですが、付随する「上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方検討報告書」と併せて掲載すべき内容です。
なぜなら、現在、市内の4校(上平北小、原市小、平方東小、瓦葺中)が「民間スイミングスクールを利用した水泳授業のモデル事業」の実施校となっており、保護者はもちろん、市民の関心も高いからです。
また、『埼玉県スポーツ科学拠点施設整備事業基本計画(令和5年3月)』に、[上尾市から「屋内25mプールが設置された場合は、市内の小中学校の水泳授業等の利用について業務委託を行う」とのとの申し出があった]との記述がありますが、その経緯についても市民には知らされていません(これについては情報公開請求をおこなっています)。
そうした経緯もあることから、「上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針」と付随資料はHPに掲載すべきです。
◎今記事では、上尾市教育委員会が「決定」すべき各種《方針》の「扱いの杜撰さ」について取り上げました。現在の上尾市教育委員会は、事務局も含めて問題点が多い状況となっています。当ブログでは、引き続き情報公開請求で入手した資料等を市民や読者の方たちと共有する姿勢で臨んでいきたいと考えています。