上尾市教委事務局の「いい加減さ」が際立つ[住民監査請求]の結果

当ブログNo.279No.280記事でお伝えした「住民監査請求」の続報です。
結果は残念ながら「棄却」とされましたが、監査委員の報告に目を通すと、上尾市教育委員会事務局の「いい加減さ」や「狡猾さ」ばかりが際立つものとなっています。
今記事では、私(当ブログ館主)が起こした住民監査請求の結果についてお伝えします。

No.286

🔶結果は「棄却」だが、「ツッコミどころ」満載
すでに上尾市のHP(監査委員事務局のページ)に、「住民監査請求の結果家庭教育支援員の報酬及び期末手当の一部返還に係る監査請求)が公表されています。
監査委員から示された「結論」は次のとおりです。

……家庭教育支援員を社会教育指導員よりも4号給上位に格付し、それに基づいて報酬等を支出したことは違法又は不当であったとは言えないことから、請求人の主張には理由がないものと判断する。
[結論]請求人が求める措置については理由がないことから、本件請求を棄却する。

以上のように、結果は「棄却」でしたが、今回の住民監査請求については、「ツッコミどころ」満載です。キーワードは「奇妙」「狡猾」「いい加減」です。

*監査委員の意見(後述)にあるとおり、号給の格付に係る資料が保存されていない(それなのに報酬の格付はなぜか決められた)という奇妙さ。

*情報公開請求の過程で示されなかった「事実」が、「後出しジャンケン」のように出てくる市教委事務局の狡猾さ。

*定例教育委員会での教育総務課長の発言とは全く異なる説明が、いかにも事実のようにまかり通っているといういい加減さ。

以下、キーワードとなる「奇妙」「狡猾」「いい加減」について見ていきましょう。

🔶[奇妙]監査委員の「意見」とは
住民監査請求の結果の最後に、監査委員による「意見」がつけられています。

監査委員が「監査を実施する過程において、号給の格付に係る資料が保存されていなかった」と指摘していることは大変重要です。
なぜ監査委員は関係資料や文書等が保存されていなかったにもかかわらず、「棄却」という判断に至ったのか、まことに「奇妙」と言わざるを得ません。

🔶[狡猾]市教委事務局による「後出しジャンケン」
次に、情報公開請求の過程では全く示されなかった「新たな事実」が、まるで「後出しジャンケン」のように出てくる市教委事務局の狡猾さについて事実を見ていきます。

「家庭教育支援員」が日常的にどのような業務に従事しているのか知るために、住民監査請求の前に、以下のとおり情報公開請求しました。

(請求内容の概略)「上尾市教育委員会事務局組織規則」には、「家庭教育支援員は、保護者に対する学習の機会及び社会教育団体の支援に関する業務のうち、課長の指定するものに従事する」と定められていますが、令和4年度中に家庭教育支援員に対して課長が指定した業務の内容が判別できる文書・資料等。
(上記請求に対する「処分」)
「上尾市会計年度任用職員勤務条件説明書」が公開されましたが、そこには、「家庭教育支援業務」とのみ記述されています。

このとおり、「家庭教育支援員」が従事している業務については、「家庭教育支援業務」という文言のみが示されました。
では、「家庭教育支援員」はどんな業務をおこなったのか、日誌や業務報告の類は記録していないのでしょうか。これについても情報公開請求しました。

(請求内容の概略) 令和4年度における、家庭教育支援員の「業務報告書」(または同趣旨の報告書・日誌の類)。
(上記請求に対する「処分」) 文書不存在により非公開

驚くことに、家庭教育支援員(退職校長であるO氏)は、週3回市P連の事務局員として勤務していますが、その日にどんな仕事をしたのか、全く記録を残していないのです。
さらに、情報公開請求に対する処分通知の手交の際、私が「家庭教育支援員は、実際にはどんな仕事をしているのですか?」と何度か尋ねても、生涯学習課の職員は答えられなかった(or「答えなかった」)のです。
「上尾市情報公開条例」で次のように定められていることを、市教委事務局の職員は知らないのでしょうか。

上尾市情報公開条例 第26条(情報提供の推進)
 実施機関は、情報公開を総合的に推進するため、行政文書の公開を行うほか、市政に関する正確で分かりやすい情報を市民が迅速かつ容易に得られるよう、積極的な情報提供に努めるものとする
2 実施機関は、市政に関する情報を効果的に提供するため、市民が必要とする情報を的確に把握するよう努めるものとする

以上の事実があるにもかかわらず、「家庭教育支援員の業務」について、監査委員の報告書では次のように記述されています。

ここで「家庭教育支援員の業務」として示されている
*市教育委員会と市PTA連合会との連絡調整
*同連合会事務の支援
*同連合会事業の支援
*PTAに係る相談対応
以上については、事前の情報公開請求では全く伝えられなかったものばかりです。

まさにこれは、情報公開請求の過程で示されなかった「事実」が、「後出しジャンケン」のように出てくる「市教委事務局の狡猾さ」と言ってよいでしょう。

しかも、「社会教育指導員よりも家庭教育支援員(つまり、市P連事務局員)のほうが専門性が高いので報酬は4号給高くともよい」という記述がありますが、果たしてそうでしょうか。社会教育指導員の方たちが目にしたら、どのように思うでしょうか。

🔶[いい加減さ]教育総務課長発言とは全く異なる説明
以下は 2020(令和2)年3月の教育委員会定例会での池田教育総務課長の発言です。


このとおり、池田教育総務課長は「(家庭教育支援員の設置は)新たな職というよりは、職名を変えるものでございます」と述べています。
しかし、この発言は、監査の結果では次のように変えられているのです。


これについては、次のように整理できます。
池田教育総務課長の発言は →「新たな職というよりは職名を変えるもの
監査報告では →「家庭教育支援員を新設し独立させたとのことである」
このとおり、両者には明らかな齟齬が生じています。

監査委員は「提出された書類及び事情聴取によると」と述べており、市教委事務局が情報公開請求の経緯を無視して、事情聴取の際に「いい加減なこと」を言ったと思われます。

ただし、今回の情報公開請求では、証拠書類として上記の池田教育総務課長の発言が掲載されている会議録も提出していることから、監査委員もろくに証拠書類を見ていないのではないかとの疑念も生じてきます。
なお、「上尾市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」により、3名の監査委員には月額 75,000円の報酬が支給されています(全員同額)。

🔶今後とも市政や教育行政には市民の監視の目が必要
今記事では、私が起こした住民監査請求の結果についてお伝えしました。
相変わらず上尾市も教育行政も「内には甘く、市民には厳しい」ことが明白になりましたが、唯一の「収穫」は、「監査を実施する過程において、号給の格付に係る資料が保存されていなかった」との監査委員の意見が掲載されたことです。
監査委員も意見として言及しなければならなかったこの事実関係を含めて、今回の住民監査請求に関しては、「なぜそのような記述になるのか」が判別できる理由や経緯について知りたいことから、情報公開請求をおこないました(結果は当ブログでお伝えします)。

当ブログでは、引き続き「現在の上尾市政・教育行政には市民の監視の目が必要」という姿勢で臨んでいきます。