教育委員が5人は県内で9市のみ。7割の市では女性教育委員が複数。

当ブログでは、以前から「現在の定例会の様子を見ると、上尾市の教育委員は5人も必要無いのではないか」という観点での記事を投稿してきました。
私(当ブログ館主)があらためて埼玉県内の40市の「教育委員」について調べてみたところ、「いかに上尾市が遅れているか」が明らかになりました。
今記事では、このことに関連してお伝えします。

No.298

🔸「教育委員」の法律・条例上の位置づけは
教育委員」については、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(略称は「地教行法」)で次のように定められています。

「地教行法」第3条 ※条文の中の「市」に関する文言を記載。漢数字は算用数字にしました。
 教育委員会は、教育長及び4人の委員をもつて組織する
ただし、条例で定めるところにより、市の教育委員会にあっては教育長及び5人以上の委員をもつて組織することができる。
「地教行法」第4条第2項 & 第5項  ※条文中の「文言の説明」を省略してあります。
2 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
5 地方公共団体の長は、第2項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるようにしなければならない。

 以上のとおり、法律では「教育委員」について、次のことが謳われているのです。
教育委員会は、教育長及び4人の委員をもつて組織することが原則
*教育委員は、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するものであること。
*任命の際、教育委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮する
保護者である者が含まれるようにする。

上尾の教育委員の定数が5名とされている根拠は、「上尾市教育委員会の委員の定数を定める条例」によります(=4名に減員あるいは6名以上に増員することは可能)。

🔸埼玉県内の状況と、上尾市の現状は?
埼玉県市町村便覧」の中で、県内の自治体の教育委員会の状況が公開されています。
当ブログでは、その内、40市(さいたま市を含む)の状況をまとめてみました。
なお、埼玉県市町村便覧は今年5月1日現在の資料なので、内容に一部変更があります。
そのため、不明な点は各市のHP等を参考にする他、電話で確認をしたうえで訂正してあります。

教育委員数

いかがでしょうか。
県内の31市が、地教行法のとおり教育委員の人数を4人としています
また、上尾市より人口が多い川口市・川越市・春日部市も4人です

注目すべきは、教育委員の女性の数です。
28市(埼玉県内の市の7割)で、2名ないし3名の女性の教育委員が置かれています
一方、上尾市では、5名中女性の教育委員は1名しかいません

さらに、教育委員会の定例会を傍聴すると一目瞭然ですが、地教行法で謳われている「教育委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮する」についても、法律の趣旨からはかけ離れていると言えるでしょう。

[上尾の教育委員の資質=4年間「教育委員の学校訪問」なし]
市教委HPに「教育委員の学校訪問」というメニューがあります。
それをクリックすると、出てくるのは以下の記事です。

この記事によれば、教育委員が上平中を訪問したのは2019年11月。
なんと4年前なのです。
これ以降、「教育委員の学校訪問」はおこなわれていません。
何のためにこの記事が残っているのか、甚だ疑問です。

[教育委員に手紙を出しても返事なし]
私はすでに5回、上尾の教育をめぐる問題についてどう考えるか、切手を貼った返信用封筒を同封のうえ教育委員に手紙を出しています。
しかしながら、教育委員は「全員一致」で無視を続けています
市民からの教育問題についての疑問や質問に対して、まともに答えようとしない(答えられない)教育委員が、果たして「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの(上述の地教行法第4条)」と言えるでしょうか。

🔸やはり上尾市教委の教育委員の定数は変えるべき
以前「なぜ上尾市の教育委員の数を5名としたのか」の理由が分かる文書・資料等についての情報公開請求をしたことがありますが、結果は「文書不存在により非公開」でした。
つまり、教育委員定数を5名にした正当な理由は分からないのです。
教育委員会定例会や臨時会において、教育委員同士の活発な議論があれば、結果的に議案についての賛否が分かれるというのが本来の会議のあり方だと考えられます。

私は毎回教育委員会の定例会を傍聴していますが、残念ながら毎回教育委員が市教委事務局に対して「当たり障りの無い質問」ばかりしているように思われてなりません。
資料や議案等は事前に配布されているのですから、教育委員のほうで質問があれば、事前に集約し、定例会の最初に事務局が一括して文書回答すればよいのです。

以上の事実関係を考えると、上述の県内31市のように、教育委員を4人にすることが必要であると言えます。具体的には、次のようにすすめていくことが可能です。

教育長と教育委員の任期(市教委HPより)

① 2024(令和6)年6月議会までに上述の「上尾市教育委員会の委員の定数を定める条例」を改正し、教育委員の定数を現行の5人から4人に変更する。

② 最も早く任期満了を迎えた委員の補充はしない(これで4人となる)

③ 次に任期満了となる委員の代わりに女性の委員を任命する(これで女性が2人となる)

条例改正をすれば、以上のスケジュールが可能となります。
あとは、上尾市教育委員会と市長の「やる気」しだいですが、当ブログでは、12月の市議会議員選挙で新しく議員になられた方にも、この問題を働きかけていくつもりです。

[現状打開のためのもうひとつの方法]
今記事では、現在5人いる教育委員は4人でも全く問題ないという観点で述べてきましたが、現状を打開するためのもうひとつの方法もあります。
それは教育委員会定例会等での教育委員同士の議論を活発にするために、教育委員を8人にするという方法です(報酬は現状の額を頭割りするので総額は変わりません)。
この方法について、私は2年前に市議会に陳情しました。
以下、その一部を転記します。

教育長および教育委員選出の透明性を確保し、会議活性化のために教育委員の定数増員を求める陳情
(2021年9月議会に提出した陳情書より)
会議活性化のために教育委員の増員を求める」ことについて
1 地教行法の規定

「地教行法」第3条では、その前段で「教育委員会は、教育長及び四人の委員をもつて組織する。」と定められていますが、上尾市においては、同条但し書きを援用し、「上尾市教育委員会の委員の定数を定める条例」で教育委員を5名としています。

2 上尾市教育委員会の現状

この5名を含む教育委員会の会議について、陳情人は毎回傍聴をしていますが、残念ながら、事務局提案の議案や報告事項について、教育委員から一言二言「当たり障りのない」コメントがされ、議案については、毎回「全員一致・異議なし」で可決されている実態があります。なお、陳情人が情報公開請求して得た情報では、少なくともここ20年間「全員一致・異議なし」の状況が続いていることが判明しています。

6月24日の市議会全員協議会において、教育総務部長は、“「学校更新計画」については教育委員による「議論」が必要です”と述べています。この場合の「議論」とは、教育委員相互の議論であることは自明です。しかしながら、現状では、上述のように事務局の提案に教育委員がコメントするだけという実態があります。また、喫緊の課題として、現在検討の俎上にある「学校施設更新計画」に関連して、小中一貫教育についての方向性を議論する必要も生じていますが、現在までのところ教育委員相互の議論はされていません。

3 現状打開の方策と文科省の通知文書

こうした現状を打開するためには、教育委員会の会議を活性化する必要があります。

そのための方策として、教育委員を増員して、新たな考えや意見を相互に述べ合う場面を設定することを求めるものです。陳情人は増員幅を3名と考えています。

 このことに関して、文部科学省は、2014(平成26)年7月17日付けで「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の 一部を改正する法律について(通知)」を発出しています。その中で、教育委員について次のような記述があります(下線は陳情人によります)。

   “各地方公共団体の条例で定めるところにより、委員を5名以上とすることも可能であり、委員数の上限は法律上定められていないことから、教育委員会が行う施策について多様な民意を幅広く反映させる等のため、委員の数を5名以上とすることも積極的に考慮されるべきこと。”

すなわち、上尾市の教育委員を3名増員して8名にすることは、文科省も通知で推奨しているという事実があり、全国的には奈良県生駒市での実例もあります。

4 増員後の教育委員の報酬等について

最後に、教育委員が8名に増員された際の報酬の扱いと、就任に当たっての配慮事項について述べます。

現行では「上尾市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」により、教育長職務代理者は月額75,000円、教育委員は月額64,000円、月額総計331,000円が支払われています。教育委員を8名とした場合には、定員と報酬についての条例改正が必要になります。教育長職務代理者は月額42,000円、教育委員については月額40,000円、月額総計322,000円に減額とすること、および増員の際には、任期満了日が同一になることを避ける配慮(就任年月日をずらす等)も合わせて求めるものです。

今記事で述べてきたことと、2年前に私が市議会に提出した「陳情書」は、「現状の教育委員のあり方を根本的に問う」という意味で共通しています。
当ブログでは、引き続き上尾市教育委員会のあり方や問題点について高い関心を寄せていきます。