「手続の不備があったことは請求人の指摘するとおり」なのに棄却?

当ブログでお伝えしてきた「上尾市いじめ問題調査委員会委員の報酬及び費用弁償の返還に関する監査請求」(ネーミングは監査委員事務局によります)。
その『監査結果』が3月29日に私(当ブログ館主)に文書で伝えられました。
今回の住民監査請求は、上尾市教育委員会の何ともお粗末な実態を浮かび上がらせ、監査委員にインパクトを与えたことは間違いありません。ですが結果は「棄却」でした。
今記事では、このことについてお伝えします。

No.318

🔸監査委員の意見とは
今回の監査結果は、市HPの新着情報で『住民監査請求の結果』として公表されています(青字クリックで監査委員事務局のページに飛びます)。
まず、公表された《結論》《監査委員の意見》を見ていきましょう。

「住民監査請求に係る監査結果について(通知)」より


このように、結果としては棄却でしたが、「委員の委嘱において手続きの不備があったことは請求人の指摘するとおりである」との《監査委員の意見》が記載されています。
さらに、「安易な前例踏襲」や「所属内の情報共有や連携の不十分さ」についても指摘されており、請求人である私の主張が取り入れられていると言えるでしょう。
しかしながら、市教委事務局の担当課である指導課の言い分が、監査委員の判断に影響を及ぼしたと考えられる点があるのです。
以下、そのことについて検証していきます。

🔸指導課の[言い訳]と[虚偽の説明]
『監査結果』の中で、請求人として見逃すことができないのは、[教育委員会決裁の有無]と[職能団体等からの推薦]における以下の記述です。

このとおり、監査委員は「(いじめ問題調査)委員の任免については、教育委員会の決裁によらなければならない」と述べています。
これは前記事で私がお伝えしたことと同じ内容ですが、実際には、上記「教育委員会決裁の有無」のとおり、少なくともH30・R2・R4年度の任命の際に教育委員会決裁を受けていないのです。

[指導課の言い訳]
朱書き下線部の「指導課職員は行政の事務に不慣れであり、前例踏襲で事務手続きを行っていたため、教育委員会決裁という認識がなかった」というのは、明らかに指導課の言い訳ですが、それで許されるものなのでしょうか? 甚だ疑問です。
例月の教育委員会定例会には指導課長や学校教育部長が出席しているのですから、教育委員会の附属機関である他の審議会委員の任免について議案となるのに、「いじめ問題調査委員」と「いじめ問題対策協議会委員」の任免については議案とならないこと自体、疑問に思わなかったのでしょうか
また、教育長&5人の教育委員たちは、いくら何でも「いじめ問題調査委員会」や「いじめ問題対策連絡協議会」の存在は知っていたでしょうから、「委員の任免について議案としないのですか?」など、ひと言も言わないというのも大変疑問です。

[指導課による虚偽の説明]
さらに、R4・R5の各委員について、「電話で職能団体等に推薦依頼をしていた」というのは、明らかに虚偽の説明です。なぜならば、私が「推薦依頼の有無」について情報公開請求した際に、文書不存在であったことは、住民監査請求の事実証明書[9](下記)で明らかにしているからです。
IMG_20240330_0003

情報公開請求の過程で、指導課職員から「電話で職能団体等に推薦依頼をした」という話は私は全く聞いていません。そもそも、職能団体(弁護士会や医療法人など)に「委員を出してほしい」と教育委員会として依頼するのに、依頼文書も無しに電話だけで済ませるものでしょうか? 少し考えればわかることです。

[監査委員の判断に影響を与えた指導課の虚偽の説明]
『監査の結果』には、次の記述があります。


このとおり、「職能団体等からの推薦」について、今回の住民監査請求で監査委員が重きを置いているのが読み取れます。つまり、「指導課による虚偽の説明」が、監査委員の判断に影響を与えた可能性が極めて高いと言えます。
請求人の私がその場にいれば、「その説明は違います」と言えますが、残念ながら現行の住民監査請求の制度では、監査の現場に請求人が立ち会えないようになっており、請求人には反論・反証の機会が与えられていません。
この点については、住民監査請求の制度そのものを見直す必要があると考えられます。

🔸「手続の不備があったことは請求人の指摘するとおり」の意味
今記事では、住民監査請求の結果が公表されたことに関連して、事実関係についてお伝えしてきました。『監査の結果』を読むと、「手続きの不備はあったことは請求人の指摘するとおりだが、報酬等の支出負担行為等が違法・不当なものであるとはいえない」とされました。監査委員も「お咎めなし」と結論付けるのに相当苦心したことが分かります。

今回の住民監査請求に関する経緯については、「監査委員と指導課職員との間でどのようなやり取りがされたのか」について情報公開請求します。
従前の例から考えれば、監査委員事務局はきっちりと記録を残しているはずですので、経緯等が明らかになった際には、当ブログの記事でお伝えしていきます。

“「手続の不備があったことは請求人の指摘するとおり」なのに棄却?” への2件の返信

  1. 『指導課職員は行政の事務に不慣れで』

    正規の手続きを踏まなかったという指摘に対し、不慣れを持ち出せばオトガメ無し?

    行政の継続性はどこへ行ってしまったのでしょうか。

    『電話で職能団体等に推薦依頼をした』

    何月何日に電話をしましたか?
    電話に出た先方の氏名、役職名は?
    文書で依頼をと言われませんでしたか?
    どのような回答でしたか?

    監査委員はこのような基本的な質問をしたのでしょうか。

    残念ながら『住民監査請求は棄却する』という結論ありきの監査であったのでは・・・

    1. コメント、ありがとうございます。

      ご指摘のとおりで、市教委指導課の「言い訳」は、「これでも教育委員会なの?」という疑問が生じます。
      電話での推薦依頼については、明らかにウソですね。平然とこうした虚偽の発言をするのが今の教育委員会事務局です。
      ご指摘の2つの『 』内の件は、情報公開請求して、真相を明らかにしていきます。
      住民監査の様子についても情報公開請求しますので、監査委員と指導課職員とでどのようなやり取りがされたのかも明らかになると思います。

現在コメントは受け付けていません。