保護者への教室カーテン洗濯依頼、なぜ市予算で支出しないのですか？

今記事では、本来であれば学校が公費（市の予算）で支出するべきところ、「保護者に依拠している」と思われる実態についてお伝えします。
具体的には、「教室のカーテンの洗濯」です。この件を取り上げる契機となったのは、公表されたばかりの市内のある小学校の『学校だより』と、ＰＴＡの保護者の負担を特集した新聞記事でした。

No.337

🔸ある学校の『学校だより（校長投稿）』に注目
当ブログでは、公表されている市内Ｗ小学校の今月の『学校だより』の校長投稿から、「学校のカーテンの洗濯」についての文章に注目しました。

このように、Ｗ小の校長は、「夏休み中、（中略）カーテンの洗濯等にご協力をいただきましたＰＴＡ会員の皆様（には感謝を申し上げます）」と述べています。
しかしながら、私（当ブログ館主）は、
「保護者が学校のカーテンの洗濯をするのは、負担が生じるのではないか？」
「カーテン洗濯の費用は、市の予算で出せるのではないか？」
と考え、情報公開請求をおこなった結果、現状を把握することができました。

🔸学校から保護者への「お願い」とは
以下は、「教室カーテン洗いについて（お願い）」という、Ｗ小のＰＴＡ会長と校長の連名による保護者への「お願い」の文書と、学校のどのカーテンの洗濯を依頼しているかについての資料です。

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以上のとおり、この学校では、「教室カーテン洗い協力担当の保護者」に対して約１か月の間に「フックを取り外して洗濯し、再度つけて戻す」ように「お願い」していることがわかりました。

🔸カーテンの洗濯代は市の予算（役務費）で支出できるのに…
情報公開請求の結果、上尾市内では、カーテンの洗濯を市の予算（役務費※）で支出している学校もあることがわかりました。※えきむひ、と読みます。手間代のことです。
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このとおり、市の予算で支出することが可能です。そこで、なぜＷ小では市の予算で支出せずに、保護者に「お願い」しているのかについても情報公開請求しました。

結果は「文書不存在により非公開」とされました。では、この学校の校長は「市の予算で支出できる」ということを知らなかったのでしょうか。そうは考えられません。
なぜなら、この校長は、以前教育委員会の事務局に勤務していたこともあり、市の予算のルールについては当然知っていると考えられます。また、校長職を何年も経験しているベテランでもあり、結局は、市の予算で支出できることを知りながら、「保護者に甘えている」のではないでしょうか。

🔸「保護者の善意で成り立つ仕組みはおかしい」との新聞記事も
この『学校だより』とほぼ時期を同じくして、2024年９月６日付けの朝日新聞に「ＰＴＡ集金  ずさん使途」という全面記事が掲載されました。
その中で、私が注目したのは次の記述です（著作権の関係があるので、当ブログの記事に関連する記述のみを掲載してあります）。
なお、下の枠は、学校の経費を保護者に転嫁することを禁じた地方自治法の条文です。

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この新聞記事から、次のことがわかります。
（さいたま市のある小学校で、記事に登場する女性は）
＊保護者懇談会で「カーテン洗濯係」を決めた。
＊カーテン８枚をコインランドリーで洗ったが、その費用はどこにも請求していない。
＊さいたま市では、カーテンの洗濯代は公費の「役務費」で支出できる。
＊女性の意見「保護者の『善意』で成り立つ仕組みはおかしいのではないか」
つまり、上尾市のＷ小学校と同じような状況がさいたま市でも見られると言えます。
もしかしたら、Ｗ小学校の「カーテン洗濯担当」保護者の中にも、自宅の洗濯機では間に合わず、コインランドリーで洗濯し、その費用は「自腹」になってしまい、モヤモヤしている方もいるかもしれません。

 🔸保護者への「甘えの構造」は再考を
今記事では、市内の学校で、本来公費（市の予算）で支出するべき費用を保護者に依存している実態をお伝えしました。上記新聞記事の下部にも示しましたが、地方財政法では「住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない」とされています。現状では、ＰＴＡが集めたお金で、本来公費で支出すべき費用についても「肩代わり」している実態もあります。当ブログでは、この問題についても引き続き関心を寄せていきます。
なお、保護者の負担等について、「このような実態もあります」「これはおかしいと思います」などの情報提供があれば、当ブログのタイトルの下の「お問い合わせ＆情報提供」から、当ブログ宛てにお知らせください。秘密は厳守いたします。