上尾市教育委員会の不都合な真実 ー住民監査請求ー

記事No.10

■そもそも、「住民監査請求」とは?
  前記事までで、池野教育長は昨年5月に少なくとも10時間、勤務の実態がないことが明らかになったことが実証データからおわかりいただけたと思います。
ここからは、その10時間分の返還を求めて住民監査請求に移るわけですが、あまり聞き慣れない「住民監査請求」とは何でしょう?
館の住人(このブログの筆者)は、何の後ろ盾もない、ひとりの市民として「住民監査請求」を起こしました。
実際の住民監査請求はこちら
その中でわかったことですが、
    住民監査請求=「上尾市職員措置請求」
であるということです。
つまり、池野教育長に対して「10時間勤務の実態がないことは明らかなので、その分の給与を上尾市に返還せよ」という、公金の不当支出に絡んだものが住民監査請求になるわけです。
裏を返せば、今回のケースでは、給与返還以外のことについては住民監査請求の対象にならない、ということです。
釈然としませんが、「サボっていたことについて、市長は教育長に対して戒告あるいは少なくとも文書注意をすべきである」というのは、住民監査請求の目的とは異なる、ということになります。

■「住民監査請求」の結果の種類
次の3つがあります。
ア 却下  請求要件を満たしていない場合
イ 棄却  請求に理由が無い場合。
      監査委員の意見等は公表されます。
ウ 勧告  請求に理由があると認めた場合。
      必要な措置を講ずべきと勧告されます。
 しかしながら、「勧告」となるのは全国平均(H26・27年度)で、わずか2.9%しかありません(出典:田中孝男『住民監査請求制度がよくわかる本』公人の友社,2017年)ので、それだけハードルが高いと言えます。

■教育長の給与一部返還請求の結果は? 
 監査委員の「判断」や「意見」とは? 
 今回の結果は「棄却」でした。
ただし、請求書と同時に教育長の「サボリの実態」を裏付ける27種類の証拠書類を添付したことから、監査委員(1名は「事故欠(病欠)」のため2名)の「判断」や「意見」は次のようになりました。

監査委員の判断:主なもの
「この勤務状況を整理した書類がなかったことについて、教育委員会は適切な管理を欠いていたといわざるを得ない。」
「教育長は、出張用務を終えたときは、その概要を教育委員会等に報告しなければならないと考えるが、そのような報告を行ったとする書類を確認することはできず、適切な復命が行われたとはいえない。

意見全文引用)
「 本件監査の結論としては、上記のとおりであるが、監査を実施する過程において、教育長の勤務状況や出張の復命について、関係職員の説明をそのまま肯定することができるような直接の証拠は乏しいものがあり、市民の目線に立てば、教育長が職務に従事していないとの印象を与えたものと思われる。また、教育行政の責任者として、服務規律の厳正な確保を指導する教育長の服務に係る記録の管理が不適切であったことは、大変遺憾である。
教育委員会事務局は、請求人からの行政文書公開請求等により改善の機会を得ていたにもかかわらず、事実確認や見直しを怠ったことが原因となり、今回の住民監査請求につながったと考えられ、市民にこのような疑念を生じさせないためにも適宜改善し、適切な管理に努めるべきであったと考える。
ついては、教育長の服務に係る記録について検証するとともに、今後の管理体制の構築と適切な運用を図るべく措置を講じることを強く求める」というものでした。

 監査委員3名の構成(税理士1名+新政クラブ元議員+現議員。※現議員は監査当時病欠。「新政クラブ」は当時の会派名)を考えたら、結果こそ「棄却」とされましたが、見方によればこれが精一杯と言えるかもしれません。
とりわけ、「関係職員の説明をそのまま肯定することができるような直接の証拠は乏しいものがある」や、「服務規律の厳正な確保を指導する教育長の服務に係る記録の管理が不適切であった」との「意見」は、提出された27種類に及ぶ証拠書類を認めざるを得なかったと言えます。

■池野教育長の見苦しい「言い訳」
 教職員の気持ちも考えてもらいたい。          「関係職員への事情聴取」によると、池野教育長は、5/11の13:30~17:15は翌日の地域行事出席の勤務時間に充てると職員に報告していた」そうです。
ただし、
監査委員が「関係職員の説明をそのまま肯定することができるような直接の証拠は乏しい」と述べているように、この話は全く信憑性がありません。このブログをお読みになっている方もおそらくそう思うでしょう。
今回の住民監査請求は8か月かかっていますが、その間に教育総務課職員からそのような話はただの一度も聞いたことがありませんでした。結果が出されてから担当職員に確認しましたが、その職員も「私も初めて聞いた」とのことでした。このことは何を意味するのでしょうかあとから取ってつけた言い訳」そのものではありませんか。
また、5/16は出張と称して少なくとも6時間のサボリ時間が生じていますが、言い訳として「公務として博物館に行ったことを、生涯学習課長に口頭で報告した」などと今頃言っています。
それでは、なぜ2019年1月19日付けで情報公開請求された以下のことに反駁しなかったのでしょうか。

 上記の事実や証拠書類等から、池野和己教育長の2018516日の10:0817:15までの時間は<所定の給与を受給しているにもかかわらず、池野教育長が「全国都市教育長会議」に出席すると称して、勤務の実態が無く、全く空白になっている時間>であることが露見したものであると請求人は主張いたしますが、請求人のその主張に対して反証・反駁するに十分な証拠書類・文書・資料等で、上尾市教育委員会が保有するもの(を開示請求します)。

この請求に対する「処分」は、「文書不存在」でした。そのうえ、担当の職員は「反証・反駁することはできません」と明言しています。
池野氏が公務として博物館に行って、それを口頭で報告したことが事実であれば、なぜそのことを伝えなかったでしょうか。まさに「後で考えた言い訳」そのものであり、見苦しいし、恥ずかしいことこの上ありません。
さらに、「上尾市は刀剣を文化財として収蔵していることから、刀剣を多数所蔵している一関博物館に行った」との言い訳を正当化するためか、それとも(考えにくいですが)偶然なのか、生涯学習課は「はじめての刀剣講座」を開催しました。この講座について情報公開請求したところ、案の定、住民監査請求が出されたあとで起案・決裁がされていました。
正直な感想としては、「言い訳するためにここまでやるのか!」という気持ちになります。

 教育長からの通知文で、「厳正な服務」を強いられている市内の多くの教職員は、こうした教育長の「でたらめ服務状況」を知ったら、おそらく、「ひどい話だ…そんな池野教育長にはいろいろ言われたくないよ」と率直に思うのではないでしょうか。