そして誰も何も言わなかった -上尾市教育委員会の「不都合な真実」
記事のタイトルとしてはアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のパロディ風ですが、今記事でお伝えすることは、まぎれもなく上尾市教育委員会の「不都合な真実」です。
No.111
■教育委員会定例会で公言したのに…
2020年5月の教育委員会定例会の席上、教育総務課長は次の発言をしています(会議録より引用。下線はブログ筆者)。
(池田直隆教育総務課長) 続きまして「報告事項2 令和2年度上尾市教育委員会の事務に関する点検評価基本方針について」でございます。本年度実施する点検評価につきまして、基本方針を定めましたので報告するものでございます。右側3ページをご覧いただきたいと存じます。基本的な進め方は昨年度と同様に進めてまいります。スケジュールといたしましては、下段になりますが、8月の教育委員会までに評価をまとめて、協議させていただきます。その後、学識経験者による第三者評価をいただき、10月の教育委員会において採決いただきたく予定をしております。なお、第三者評価をお願いする有識者でございますが、まだどなたにお願いするのか決定しておりませんので、今後人選を進め、別途報告させていただきます。また、昨年度の点検評価の審議の際に、委員の皆様からいくつかご意見を頂戴してございます。例えば、「今後の取り組みや改善策、方向性などが全く記載されていない」といったご指摘もいただいております。職員も「何のための評価をするのか」、この評価制度の意義を今一度考えて、進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。報告事項2の説明は以上でございます。 |
また、この発言に合わせて「点検評価報告」についての今後の日程が示されました。⇒今後のスケジュール
これによれば、8月の教育委員会定例会で「点検評価結果案に関する議案」を提出し、協議することになっています。ちなみに昨年度はこの案件が議案となって審議されています。
ところが、ブログ筆者は8月の教育委員会定例会を傍聴しましたが、議案・報告・協議いずれもこの案件は審議はおろか、提案すらされませんでした。
■誰も何も言わない「不気味さ」
ブログ筆者は5月の教育委員会定例会も傍聴しています。その時点で今後この案件がどう扱われるか聞いていたので、8月の定例会で「点検評価の件はどうなったんだろう?」と疑問が沸きました。そして、「最後まで点検評価のことについて誰も何も言わない」ことに、「いったいこの人たちは何を考えているんだ?」と、不気味にも思いました。
教育総務課長や教育総務部長はおろか、教育長も何も言いません。それどころか、5月にこの件について聞いているはずの教育委員のお歴々もからも、この件に関しひと言もないのです。まるでそのことは何もなかったことのようです。
念のため、8月教育委員会定例会の会議録は未公表のため、ブログ筆者の「勘違い(99%無いですが)」かもしれないと思い、次のような情報公開請求を現在おこなっている最中です。
請求人は「2020年8月定例会」を傍聴しましたが、「点検評価」が議題とされなかった件については、池田教育総務課長から説明がされなかったと思いますが、会議録未公開のため確信はありません。 そこで、「2020年5月定例会」で公言したにもかかわらず、「2020年8月定例会」の協議事項とならなかったことについて、「2020年8月定例会」の席上で池田教育総務課長又は他の出席者から説明がされたことが判別できる文書・資料等。 |
もしもこれが「文書不存在のため非公開」という「処分」になれば、それはすなわち、「誰も何も言わなかった」ことの証となります。
■市教委の「点検評価」には別の問題点も
さらに、教育総務課長は5月の定例会で次のように発言しています。
(池田教育総務課長) 第三者評価をお願いする有識者でございますが、まだどなたにお願いするのか決定しておりませんので、今後人選を進め、別途報告させていただきます。 |
このことに関し、文科省は次の通知を発出しています。
点検及び評価の客観性を確保する観点から、法律において、教育に関し学識経験を有する者の知見を図るものとされている趣旨に鑑み、学識経験者として、保護者や地域住民の意見を聴くことにするなど、更なる改善を図ることも考えられること。 |
つまり「学識経験者」を選出する際に、<客観性の確保>が重要視されることは前提条件なのです。【教育長+教育委員の合議体】が教育に関する事務の執行機関である以上、前年まで教育委員だった者が、自らが執行した事業の評価をする、などというのは「客観的な評価」とは言えず、当然あり得ないことなのです。
それにもかかわらず、上尾市教育委員会はそのことを無視して、前年の教育委員を自らが関わった教育事業の評価者としてしまったのです。これについては、以前の記事で取り上げていますが、簡単に言えば、次のような問題点があります。
H29年度の「上尾市教育委員会の事務に関する点検評価報告書」は、前年度(H28年度)の施策事業を対象として点検・評価するものです。しかしながら、<客観性を確保する>はずの「学識経験者」の中に、H28年度の上半期まで教育委員だった吉田るみ子氏が入っています。
もともと「教育委員会」とは教育長と教育委員の合議体であり、執行機関としてすべての自治体に置かれ、上尾市も例外ではありません。上尾市教委のHPにも「教育委員会のあらまし」としてそのことが書かれています。つまり、吉田るみ子氏は「自分が教育委員だったときに執行した対象事業を、自分で評価している」ことになります。
請求人が知る限り、現在に至るまで、吉田るみ子氏は「点検評価」の「学識経験者」として名を連ねていますが、このような経緯がありながら、またぞろ同氏を「学識経験者」として依頼することがあってはならないのです。
■「職員の倫理条例・規則」との関係
もうひとつの疑問として、以上の事実は「何らのおとがめも無い」ということになるのか?ということがあります。「上尾市職員倫理条例施行規則」には次のように定められています。
第3条 条例第2条第1項第8号の規則で定める行為は、次に掲げることを求める行為とする。 (注)条例=上尾市職員倫理条例のこと。
(1) 職務上知り得た秘密を漏らすこと。
(2) 職務の遂行の公正さに対する市民の疑惑や不信を招くようなことを行うこと。
(3) 前2号に掲げるもののほか,職員としての倫理に反することを行うこと。
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学識経験者については「まだ誰にするか決めていない」と課長は言っています。この問題を含めて「点検評価」を今度どうするのか、また教育総務課長が公言したにもかかわらず、教育長も部長も誰も何も言わないのは、「市民の疑惑や不信を招く」ものであることから、「職員倫理条例&施行規則」に抵触するのではないかと考えられます。
また、職員倫理条例第4条では次のように謳っています。
(管理監督者の責務)
第4条 職員を管理し、又は監督する地位にある職員(第13条第3項において「管理監督者」という。)は、その職務の重要性を自覚し、率先して自らを律するとともに、所属職員への適切な指導及び監督を行い、公正な職務の遂行及び厳正な服務規律の確保を図らなければならない。
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教育長は所属職員の管理監督者ですが、倫理条例で「公正な職務の遂行及び厳正な服務規律の確保を図らなければならない」とあるのには苦笑を禁じ得ません。なぜなら、つい昨年の3月まで、休暇届の提出などの必要な手続きもせずに「お休み」などと称していた池野教育長が「厳正な服務規律の確保を図る」というのですから。
しかしながら、所属職員が市民から疑惑や不信を招いていることは明白なので、当然教育長の責任も問われなければなりません。ブログ筆者はこの問題にも強い関心を寄せていきたいと考えています。
●折しも、今日は「菅内閣発足」に関する報道(それも持ち上げるような中身)ばかりで辟易しますが、いずれ「反・安倍/菅政権」というカテゴリーで記事にするつもりです。
選挙のたびにへんてこな候補者(ハタ坊他)を推薦する某代議士は、学識があるようなので
腐った教育を改革できる市長を次回の選挙で擁立して欲しいものです。
2015年4月の地教行法の一部改正施行により、首長(上尾では市長)が加わっての「総合教育会議」がスタートしました。
それだけに、首長が教育に対してどのような姿勢であるかは重要なポイントになります。
今のところ、上尾の総合教育会議の会議録を見る限り、現市長は池野教育長に「お任せ」のように思えます。