5名の教育委員に向けた「3つの質問」の書簡を渡してもらいました
7月4日の教育委員会臨時会(「非公開の会議」とされました)に合わせて、上尾市教育委員のみなさん(5名)に教育総務課経由で書簡を渡してもらいました(内、当日欠席の1名については7月15日に渡していただいたとのことです)。
教育委員に書簡を出すのは、2年前に続き今回が2回目です。
今記事では、提出した書簡の内容についてお伝えします。
No.230
🔶提出した書簡の中身(冒頭部分)
以下、私が提出した書簡の中身と、それについての理由や背景について述べていきます(当ブログ内での強調のため、一部色替えがあります)。
上尾市教育委員会 教育委員 〇〇〇〇 様 2022年7月4日 | |
前略 市内 〇〇 町在住の 〇〇〇〇 と申します。 私はひとりの市民として上尾市の教育行政に関して深い関心を寄せております。 2年ほど前にも、教育委員のみなさまに今回のような書簡を差し上げたことがありますので、覚えておられる教育委員の方もいらっしゃるかと思います。 前回の私からの質問に対しては、全員の方から次のような回答を寄せていただきました。
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ほぼ毎回、教育委員会定例会を傍聴している私から教育委員のみなさまにお聞きしたいことは多々あるのですが、前回のご回答を考慮し、「議事の中で教育委員のみなさまが自らの意見を示していない事項」に絞り、後述の3点の質問をさせていただきます。したがって、ご返事(質問へのご回答)が上述の枠内のような文言になることは無いと考えております。 | |
念のため申し上げますが、今回のご返事(ご回答)につきましては、教育委員のみなさまの間で相談したうえでの「全員一致」などではなく、地教行法で定められた「識見を有する」教育委員として、個々人のご意見やご見解を率直にお答えいただきたく存じます。 なお、私が教育委員のみなさまに今回書簡を差し上げていること、また、教育委員のみなさまからいただくご返事(ご回答)につきましては,市民(読者)の関心も高いことから、拙ブログ(=上尾オンブズマンの館 URL: https://ageoombuds.com )にみなさまからのご回答を掲載していく予定でおりますので、お含みおきください。 |
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以下、回答の送付方法等 & 送付先(略) |
(書簡提出の理由と背景)
私は、2年前にも教育委員へ書簡を出したことがあります。
そのときの当ブログの記事は
⇒【「返事」の文言は、教育委員お得意の〈全員一致〉でした】。
このときは、大変残念ながら「教育委員としての意見は、議事の中で示してまいりたい」という、言わば「逃げ」の回答が全員から届きました。
私は、上尾市の教育行政に責任を持つ立場の教育委員には、自らが決定・判断した教育施策についての説明責任が生じるのは当然であり、市民から質問を受けた場合は、誠実に回答する責務があると考えています。
そこで今回は、上記文言にあるとおり、教育委員に聞きたい質問として数ある中で、「議事の中で教育委員が自らの意見を示していない事項」3点に絞り、質問をしました。その3点の質問とは、以下のとおりです。
🔶教育委員への質問【その1】
上尾市議会2022年3月の本会議で、池田達生議員の一般質問「令和2年9月発行の『上尾市立小・中学校における働き方基本方針』は、上尾市教育委員会発行であるにもかかわらず、教育委員会月例会の議題にあがっていないのではないか」について、瀧沢学校教育部長は「教育に関する基本的な計画全てを必ずしも教育委員会の議案とはしないためです」と答弁しています。
一方、上尾市教育委員会のHPには、「教育委員会」の説明として「上尾市教育委員会は教育長と5人の委員により組織され、教育,学術および文化に関する事項について大所高所からその基本的な方針などを決定します」とあります。 すなわち、市教委HPにある「合議体である教育委員会は、教育、学術および文化に関する基本的な方針を決定する」ことと、市議会での学校教育部長答弁「教育に関する基本的な計画全てを必ずしも教育委員会の議案とはしない」とは、明らかに齟齬が生じています。 そこで〇〇教育委員に伺います。 |
【質問 その1】 「教育に関する基本的な事項の一つである 『上尾市立小・中学校における働き方基本方針』 が、いずれの教育委員会定例会でも議事として取り上げられなかったことについてどうお考えですか」 |
(質問の理由と背景)
上記のとおり、市議会における学校教育部長の答弁は「基本方針のすべてを教育委員会(定例会・臨時会)の議案とするわけではない」というものです。
私はこの答弁に強い違和感を覚えました。なぜなら、「基本方針などを決める」教育委員会(すなわち、教育長 + 5名の教育委員)の会議において「基本方針のすべてを議案とするわけではない」と言い切っているのですから。
私の知る限り、『上尾市立小・中学校における働き方基本方針』については、議案はおろか報告事項としても議題として取り上げられたことはありません。
言わば明らかに教育委員は事務局に軽んじられていることになりますが、私のこの質問に対してはどのような回答が届くでしょうか。
🔶教育委員への質問【その2】
教育委員会定例会・臨時会を傍聴していても、あるいは「非公開の会議」とされた場合に後日公開される会議録に目を通しても、教育委員のみなさま同士の教育的な議論は皆無です。 また、私が情報公開請求で知り得た事実として、上尾市教育委員会における採決は、ここ20年間<全員一致・異議なし>という事態が続いています。 そこで〇〇教育委員に伺います。 |
【質問 その2】 「教育委員会定例会・臨時会において、教育委員相互の議論は皆無であり、採決については20年間にわたり<全員一致・異議なし>となっている事態についてどうお考えですか。また、教育委員相互の議論を活発にするためにはどうしたらよいとお考えですか」 |
(質問の理由と背景)
「上尾市教育委員会の会議では、教育委員同士の議論が全く無い」との指摘は、当ブログだけでなく、一度でも教育委員会を傍聴をした市民からの感想としてよく聞かれる話です。
すなわち、「事務局が議案や報告事項について説明する」→「教育委員が当たり障りのない質問や意見を少しだけ述べる」→「(議案であれば)全員一致・異議なし」or 「(報告事項であれば)わかりました。あとはよろしく」というのが教育委員会の定例会や臨時会の「ルーティン」になっている実態があるのです。
本来であれば、「〇〇委員の意見とは異なるのですが、私はこう思います」「今の〇〇委員のご意見に反論させてください」「この問題は、きちっと時間を取って話し合いましょう」など、教育問題を語る際には、当然様々な角度からの意見が出てきて当然なのですが、教育委員会の定例会ではそうではありません。
だから先月(6月)の定例会のように、わずか37分で終わってしまうのです。
今回私が投げかけた「教育委員相互の議論を活発化させるにはどうしたらよいか」という質問について、教育委員のみなさんは何と答えるのでしょうか。
私はこの問題について、「現在支払われている報酬の総額は変えずに、教育委員を8名にすればよい。そうすれば、時間は今より長くなるが、活性化する」と考えています(他の自治体での先例もあります)。
🔶教育委員への質問【その3】
上尾市教育委員会として、ジェンダー教育を含む「人権男女共同参画」に取り組むことは極めて重要であることは論を待ちません。 上尾市では、人権男女共同参画課が中心となり、「第3次上尾市人権男女共同参画計画 ~デュエットプラン21~ 」が策定され,男女共同参画についての市内中学生向け講座などが実施されています。 そうした取組の中で、上尾市では、「男女共同参画が進んだか否か」の指標として、「審議会等における女性の登用状況」(注:左記青字をクリックするとPDF資料に飛びます)が毎年公表されています。 公表された「審議会等名称」はNo.1~No.65まであり、その冒頭のNo.1の項目に上尾市教育委員会の委員の男女比が掲載されています。それによれば,昨年度(令和3年度)は女性の教育委員が2名だったことから、「女性の委員比率40%(目標達成)」との記述があります。 そこで〇〇教育委員に伺います。 |
【質問 その3】 「上尾市(担当:人権男女共同参画課)が上記のような資料を公表していることをご存じでしたか。 また、昨年度よりも今年度は教育委員の女性比率が後退した(つまり,目標達成が遠ざかってしまった)ことについてどうお考えですか」 |
この質問は、今年度から教育委員になった矢野誠二氏を意識した質問であると同時に、5人の教育委員のみなさんの資質を確認するものと言えます。
なぜならば、市長が「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもの」として矢野氏を議会の同意を得て任命したのは事実ですが、もし矢野氏が上述のような状況(人権男女共同参画課のとりくみ)や、法律(地教行法)の趣旨を理解していたとしたら、次のような姿勢を明らかにしたことでしょう。すなわち、
「地教行法の趣旨や上尾市で進めている男女共同参画の観点から、今回、私(=矢野氏)は教育委員にならないほうがよいと考えます」
同時に、今回の私の質問は、「教育委員の資質」を確認するものとなっています。
*教育委員としてどの程度地教行法の趣旨を理解しているか。
*男女共同参加について市内中学生向け講座が実施されていることなど、人権男女共同参画課のとりくみを知っているか。
【参考】「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」 第4条第2項 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。 第4条第5項 地方公共団体の長は、第二項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者(親権を行う者及び未成年後見人をいう)である者が含まれるようにしなければならない。 |
◎今回の教育委員のみなさんへの質問については、書簡にも「期限は特に設けておりませんので、ごゆっくりお考えになってご返送ください」と書きました。
どのような返事(質問への回答)が届くのか、あるいは「なしのつぶて」となるのか、状況については当ブログでお伝えしていきます。