市議会・文教経済常任委員会での《参考人発言》は市民の切実な声 

市民の切実な要望が、地道な努力によって大きく前進したと言えるでしょう。
先週の上尾市議会文教経済常任委員会で、上尾市内の小中学校の特別教室や給食調理室へのエアコン設置を求める趣旨の請願が出席委員の全員一致で採択されました。
この請願に合わせて、7月下旬から、上尾市教職員組合が中心になって、市民に向けた署名活動が同時にすすめられており、新聞にも取り上げられています。
今記事では、同委員会で採択された請願についての《参考人の趣旨説明》に関連してお伝えします(少し長いですので、ゆっくりと、何回かに分けてお読みください)。

No.239

🔷教育委員のみなさん、学校現場の切実な声を聴いてください
9月6日の市議会文教経済常任委員会の席上、全員一致で採択された「小中学校における特別教室及び給食調理室へのエアコン設置に関する請願」については、参考人による趣旨説明がおこなわれました。
なお、同委員会では、もうひとつの請願である「教育機会確保法の附帯決議に基づく不登校児童生徒への多様な学習機会への経済的支援を求める請願書」も全員一致で採択され、同様に参考人による趣旨説明がおこなわれています。

いずれも、多くの市民の方に知らせたい学校現場の声ですが、教育委員のみなさんも聴いていますか?

この時の録画は、《9月6日 文教経済常任委員会》をご覧ください(同委員会の画像・音声に関する権利は上尾市に帰属しており、「無断転載を禁じます」とあることから、ここではリンク先のみを示してあります。青字下線部をクリックすれば市議会HPに飛びます)
※佐々木孝夫参考人の発言は、録画 07:20~18:20 の時間帯です。

当ブログでは、佐々木参考人による趣旨説明について、そのまま文字起こししました(市議会の会議録公開までには、まだしばらく間がありますので)。
少し長い文になりますが、読んでいくと、まさに「現場の声」であることがわかります。
読みやすくするために、適宜改行してあります(趣旨説明部分は約4200字です)。

2022.09.06 上尾市議会文教経済常任委員会での佐々木孝夫参考人による請願趣旨説明
私は上尾市教職員組合の委員長をしています佐々木孝夫と申します。市内の中学校で社会科の教員として働き、37年目を迎えました。
私たちは、思いを同じくする市民のみなさまと、「上尾市の小中学校の特別教室と給食調理室にエアコンを設置してください」という請願書を8月23日、上尾市議会に提出いたしました。本日は上尾市議会の文教経済常任委員会のみなさまに請願書の趣旨説明の機会を設けていただき、大変感謝しております。
市民の声を市政に反映させる上尾市議会のこのような取組は、まさに「地方自治は民主主義の学校」の考えを体現していると思います。これから私が述べます請願書の趣旨を、みなさまにはどうぞご理解いただき、ぜひともこの請願を採択し、その実現にお力を貸していただきたいとお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
上尾市の小中学校は、2012年度にすべての普通教室にエアコンが設置されました。それに伴い、2013年より夏休みが短縮され、2学期の始まりが8月25日となりました。
9月に入っても残暑が厳しい毎日です。今年は6月から猛暑でした。
6月19日から30日までの12日間、上尾市で30℃を超えた真夏日は9日、35℃以上の猛暑日は5日もありました。今では6月のエアコン使用は当たり前で、暑い時は5月から使用せざるを得なくなっています。児童・生徒に学習に適した環境を提供するには、今やエアコンは必須条件です。
学校での授業は、普通教室ばかりではありません。理科室、家庭科室、美術室、音楽室、図工室、木工室でも毎日のように授業はおこなわれています。
しかし、これら特別教室には、音楽室を除いて、エアコンが設置されていません。教科の特性上、扇風機の使用が難しい特別教室もあり、ここでの授業は子供たちや担当する教員にとって極めて過酷な状況となっております。
市内の教員から寄せられて声を紹介します。
*(小学校の先生から)理科室での学習中に、子供の腕から出る汗でプリントが手にくっついてしまう。また、「プリントの上に汗がポタポタ垂れて困ります」と訴える子供たちがいます。

*(教務の先生から)2学期が始まりましたが、図工室は相変わらずの蒸し暑さで、子供たちから「先生、何で図工室にエアコンが無いんですか?」と何回も聞かれました。子供たちは図工を楽しみにしてくれているようですが、図工室の環境には不満があります。「体育館にはエアコンがあるから、夏休みの合唱練習は良くできた」という声を聞きました。今後も特別教室のエアコン設置(の取組を)、応援しています、ということでした。
*(中学校の理科の先生から)暑い中での理科の授業は、子供たちの集中力が大きく落ち、学習の成果が低くなります。また、実験で火気を使う場合は特に暑くなり大変です。
*(技術科の先生から)刃物を使う場合、けがをしないように長袖のジャージを着用させることもあります。そうするとますます暑いので、授業がとてもやりにくいです。はんだごてなどを使う授業だと、熱を発し、暑さで集中力が落ちてけがをしないか心配です。
*(別の理科の先生から)「一日中実験のため理科室で授業をおこない、夕方にはボーっとなって、家に帰ると夜には熱中症のような症状に襲われ、苦しかったです」という声さえ聞かれました。
今の時代にエアコンの無い特別教室での学習は、学習能率が下がり、けがや事故、場合によっては命の危険さえ伴う可能性があることがお分かりいただけたでしょうか。このような不適切な教育環境を、私たちは一刻も早く改善していきたいと考えています。
また、子供たちの健やかな成長・発達になくてはならない食育を担っている給食調理員さんたちの働く環境も、人権が最も大切にされるべき学校という同じ職場にあって、とても許容することができない過酷なものとなっています。
富士見小を除くすべての給食調理室にエアコンが設置されていません。
(給食調理員さんの声を紹介します)
*スポットクーラーが配置されましたが、クーラーから出る風がすごいので、調理場としては衛生上の観点から使いにくいです。また、部屋全体が冷えるわけではありません。
*大型扇風機がありますが、調理場は狭いため、職員が動くのに邪魔で、ほとんど使用していません。今年は暑さが厳しく、仕事中に気分が悪くなった職員も出て、休憩室で休ませるという事態が起きました。とにかく暑くて厳しい環境です。一刻も早くエアコンの設置をお願いします。また、窓を閉め切った各階の配膳室にもエアコンが無いので、食材が悪くならないか、特に牛乳が心配です。
*「私たちは暑くて大変です」と会社に愚痴を言うことがありますが
(注:中学校の「サテライト給食」は、民間委託だが調理室は市の設備)、その声は行政に届いていないのだと思います。私たちではどうすることもできないので、議会に請願をしていただき、本当にうれしいです。
私自身も、給食調理室の件は、実は初めて知りました。
調理のために、大型の火器を使う給食調理室にエアコンが設置されていないなどとは、夢にも想像しませんでした。申し訳ない気持ちで一杯です。

上尾市でおこなっている小学校の「給食自校方式」や、中学校のセンターと(各校の)調理室を組み合わせた「サテライト方式」は、手作りの細やかさがあって、とても美味しく、そして温かい給食を食べられる本当に素晴らしいものだと思います。その給食調理を担っている調理員さんたちの職場環境が、命にかかわる劣悪なものでよいはずがありません。一刻も早いエアコンの設置を心からお願いいたします。
法令でも、労働安全衛生規則第606条に、「事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない」とあります。職場環境が法令違反となっていないか、検証する必要があるのではないでしょうか。
さらに、この件について、栄養職員の方からアドバイスをいただきました。
狭山市のセンターには、エアコンは設置されています。一昨年、文科省交渉でエアコン設置を訴えた際、今までは新設の給食室とセンターを設置する時しか国の補助が無かったものを、新設でなくとも国の補助がつくようになりました。それを多くの自治体に十分周知されていないのではないでしょうか。この制度を知らせて活用してください。いかがでしょうか。また、越谷市では、配送された給食を保管しておく配膳室にも、市内全校でエアコンが設置されています。
特別教室のエアコン設置状況は、私たち教職員組合の調査によれば、今お配りしました別紙プリントに示すとおりです。もちろん全県で設置されているわけではありませんが、多くの自治体で特別教室にもエアコンが設置できているのではないでしょうか。上尾市で出来ない理由は無いと思います。
もし、一度白紙に戻したはずの、小中一貫校の設置を柱とする《学校の統廃合》を念頭に置き、不必要と考える「経費の節約」をしたいなどという思惑があるのであるとすれば、言語道断だと思います。最優先にするべきは、目の前の子供たちにとって必要な教育環境整備です。
この請願が採択され、一刻も早く実現できるように、私たちはエアコン設置のための署名を集めています。7月末から今日までの1か月間、2000筆の署名が集まりました。署名に添えられた保護者からの手紙を紹介します。
(保護者からの手紙より)
いつも娘がお世話になっております。私は市内の保育園の給食室で、給食やおやつの調理をしています。この保育園にはエアコンは設置されておりますが、真夏の厨房はガス台、コンベクション、ガス釜を使うと40℃を超えます。体調が悪くなるのを覚悟して仕事をしています。エアコンの設置は、特別教室や給食室で働く先生方のために必ずやっていただきたいです。命にかかわることです。給食室に限っては、職員の体調はもちろんですが、食材の傷みにもつながります。食中毒を回避するためにも、子供たちの命を守るためにも、ぜひエアコンの設置を求めたく、微力ながら協力させていただきました。働きやすい職場環境の充実をぜひ実現できますよう、願っております。
私は涙が出そうでした。このお母さんが、子供たちの教育環境や、学校で働く教職員の労働環境に心を寄せて、集めた50筆の署名と一緒にこのような手紙を渡してくれたからです。
自らも働いている保護者の方々にとって、働きやすい職場環境の充実は、すべての人の願いです。この請願に賛同していただける保護者や市民は、これからもどんどん増えると確信しています。私たちは12月までに1万筆の署名・賛同者を集める覚悟です。
最後に、小学校高学年の子供たちの声を紹介します。
*音楽室にはエアコンがあるのに、図工室や理科室、家庭科室にはどうしてエアコンが無いんですか。
*のこぎりや金づち、ペンチなどを使うと暑くなるから、エアコンが無い図工室だと汗だくです。
*家庭科室で調理実習をしていると、火を使って暑いのでエアコンがあるといいです。
*家庭科室でミシンを使ってうまくいかないと汗をかくから、部屋が涼しいほうがいいです。
*家庭科室でアイロンを使う時も暑いから、涼しい部屋で勉強したいです。
子供たちの素直な希望の声です。
かつて上尾市は、「子育てするなら上尾で」と言われました。保育所や学童保育を充実させ、大型団地を建設し、高校の増設もおこないました。日本の人口が減少を続ける中、上尾市は微増を続けています。子供や学校、教育活動の充実やそれを支援する態勢を地域社会発展の中心と捉え、上尾市も持続可能な社会を目指しているのだと思います。そうであるならば、子供たちや保護者、教育に関わる人々の声を聴き、関係するすべての人にとって学びやすい、働きやすい環境を整えていくことが行政の大きな役割ではないでしょうか。
今日はこのような貴重な機会を設けていただき、本当にありがとうございました。どうぞ、すべての小中学校の特別教室と給食調理室にエアコンを設置してください。そういう私たちの切なる希望が実現できますよう、みなさまには大きな力をお借りしたく、再度お願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。以上です。

 🔷東京新聞埼玉版でも取り上げられました
この署名活動に関しては、東京新聞にも取り上げられました。
 東京新聞web版「特別教室にエアコンを 上尾市教職員組合など署名活動」

同新聞では記事の中で、上尾市教職員組合の佐々木委員長が「当たり前の教育を受けられる環境を整えてほしい。北本市や川口市など近隣自治体では特別教室にエアコンがあるのだから、上尾でもできるはず」と訴えたこと、また、「今後は定例会本会議で採決される前に、集めた署名を市に提出する予定」であることを紹介しています。

🔷費用積算も準備していない教育総務課
録画を見る際には、執行部側で出席している教育総務部長・次長・課長3人の「参考人の発言を聞く時の様子」や「委員からの質問への回答や態度」がどうなのか、合わせて見ていただくことをおすすめします。
委員からの「概算として費用はどのくらいになるのか」という
質問にも、教育総務課長は「用意がないのでわからない」などと答えています。現場の声に耳を傾け、早急な対応が求められます。

また、埼玉県の入札情報によれば、昨年、教育長室の空調設備を更新しています。

教育長は、自分の涼しさを確保するだけでなく、ぜひ学校現場の切実な声に耳を傾けるべきです。

今記事は以上ですが、あらためて、文教経済常任委員会での佐々木参考人の「最優先にするべきは、目の前の子供たちにとって必要な教育環境整備です」という発言の重要性が増してくるのではないでしょうか。

“市議会・文教経済常任委員会での《参考人発言》は市民の切実な声 ” への2件の返信

  1. 文教経済常任委員会では、全会一致で採択されました。事前に会派周りをしたこともありますが、今時エアコンが入っていない特別教室があるなんて、私も150筆位の署名を集めましたが、誰もが「え~上尾でまだ入っていないの⁉」という反応がありました。市教委は学校統廃合の話を進めていますが、市教委交渉をしても金がないの一点張りでした。市教組は怒って、この1点での署名を集めることを決意して進めました。駅頭宣伝行動でも1時間で78筆も集まりました。集約は2000筆を超えています。市教組は12月議会までに1万筆集めようということで頑張っています。どうぞ、応援して下さい。

    1. いつもコメントをありがとうございます。

      上尾市教職員組合の地道な活動には頭が下がります。
      それぞれの活動の仕方があると思いますので、私は私のやり方で応援をしていくつもりです。
      たとえば、この請願が市議会本会議を通ったあと、その進捗状況について情報公開請求する、あるいは教育委員会の議題にならなければ、教育委員に向けて手紙を出すなどの方法を考えています。
      学校統廃合の動きも、市教委のやり方は解せないことばかりですので、私なりに真実を明らかにさせていくつもりです。
      ともに頑張りましょう。

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