上尾市教育総務課長の発言や姿勢から「不都合な真実」を検証する

今記事では、山ほどある上尾市教育委員会の「不都合な真実」の中から、とりわけ池田教育総務課長の発言や教育行政への姿勢について検証します。

No.242

🔷「教育委員会事務の点検評価報告」の人選の「不都合な真実」
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」により、報告と公表の義務が定められている「教育委員会事務の点検評価報告書」について、上尾市では、池田教育総務課長が5月の定例会で「8月に協議する」と明言しました。
それにもかかわらず、8月の定例会には議事とならなかったばかりか、その理由についてひと言の説明もないまま「教育委員会事務の点検評価」の協議はいつの間にか9月に延びてしまいました。
9月定例会で示された点検評価報告書(案)の冒頭には、次の記載があります(色替えは強調のため)。

1   はじめに
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条第1項には、「教育委員会は、毎年、その権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない」と規定され、また、同条第2項には「教育委員会は、前項の点検及び評価を行うに当たっては、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図るものとする」と規定されております。
この報告書は、これらの規定に基づき、効果的な教育行政の推進に資するとともに、市民への説明責任を果たしていくことを目的にして、令和3(2021)年度において上尾市教育委員会が実施した施策について推進状況をまとめたものです。

ここに書かれているとおり、上尾市教育委員会は、市民への説明責任を果たしていくことを目的として、前年度に実施した教育行政施策についての点検評価報告書を議会に報告し、公表する義務があります。
また、「学識経験者の知見を活用」する際には、客観的視座からの第三者評価であることが求められるのは当然のことです。
では、過去6年間の「学識経験者」が誰であったかを見てみましょう(市教委HPより)。

発行年度と対象事業年度 「知見の活用」をする学識経験者名
R 3(2020事業の評価) 井上兼生(聖学院大)堀越洋子(元校長) 井上肇(生涯学習)
R 2(2019事業の評価) 井上兼生(聖学院大)堀越洋子(元校長) 赤石光資(生涯学習)
H31(2018事業の評価) 井上兼生(聖学院大)吉田るみ子(元校長) 赤石光資(生涯学習)
H30(2017事業の評価) 井上兼生(聖学院大)吉田るみ子(元校長) 赤石光資(生涯学習)
H29(2016事業の評価) 井上兼生(聖学院大)吉田るみ子(元校長) 荒井幹夫(生涯学習)
H28(2015事業の評価) 井上兼生(聖学院大)河原塚貴美代(元校長) 高見澤妙子(生涯学習)

上尾市教委が評価を依頼する「学識経験者」とは、大学の研究者・市内の「元校長」(上記色替え部分)・市や県の生涯学習担当者 となっています。
強調しておきたいことは、毎年度必ず入っている「元校長」は、上尾市教育委員会とは極めて親和的であるため、決して市教委に対して批判的な評価はしない、ということです。
そればかりか、H29~H31年度発行の報告書にかかわった「元校長」である吉田るみ子氏は、2012年10月~2016年9月まで教育委員でした。つまり、当ブログ記事No.5 で指摘したように、吉田るみ子氏は自分が教育委員であった期間の事業について「自分で自分を評価している」ことになります。

🔷「身内の、身内のための、身内による評価」
以上のことに加えて、今回、新たに判明した事実があります。
直近の2年間、堀越洋子氏が「学識経験者」として選ばれていますが、当ブログでは、このことに関連して、情報公開請求で以下の資料を入手しました。
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この資料から、堀越洋子氏と池田直隆氏(現教育総務課長)は、同じ学校の学校運営協議会の会長&副会長であったことがわかります。
池田直隆氏が教育総務課長となったのはR2(2020)年度からです。したがって、これらの事実により、次のように整理することができます。

 R2年度およびR3年度に上尾市教育委員会が発行した「教育委員会の事務に関する点検評価報告書」を評価する「学識経験者」である堀越洋子氏と、R2年度から教育総務課長の職にある池田直隆氏とは、H31(R1)年度とR2年度に芝川小学校運営協議会の会長・副会長の関係にあった。

さらに、9月の教育委員会定例会で示された、今年度発行(=昨年度の事業について)の「点検評価報告書(案)」の「学識経験者」としての評価者に、またしても堀越洋子氏の名前が載っているのです。果たしてこれで客観的な「点検評価報告」と言えるのか、市民としては疑問どころか、疑念が生じます。

「教育委員会事務の点検評価報告書」が「市民への説明責任を果たしていくことを目的に」作成されるのであれば、上記のような《市民からの疑問や疑念》については、市教委の責任で説明すべきであると考えます。
当ブログでは、上述の事実を示したうえで、堀越洋子氏が評価者として適任であるかについて、さらに、「点検評価報告書」が、「身内の、身内による、身内のための評価」ではないかということについても情報公開請求していく予定です。

🔷市議会「調査特別委員会」での教育総務課長の発言
上尾市議会での「学校施設更新計画基本計画調査特別委員会」は、すでに今年になってから6回にわたって開催されていますが、その席上での池田教育総務課長の発言や態度には疑問符がつきます。
6月23日の「調査特別委員会」の会議録はすでに公開されていますので、市民アンケート実施についての議員からの質問に対する池田教育総務課長の回答を見てみましょう。
※学校統廃合にかかる市民アンケート問題は当ブログNo.232記事を参照してください。

Q. (津田委員)市民アンケート問2-1は今から修正することは可能か。
A. (池田教育総務課長)印刷してしまったので、修正することは難しい。

市民アンケートの《問2-1》については、「調査特別委員会」でも次のような指摘がされています。

*「まるでひっかけ問題みたいな印象を受ける」(津田委員)
*「行政の人が書くとこうなってしまうのかと思う」(荒川委員)
*「非常に曖昧な聞き方の設問から得られた結果というものには、疑義が生じる」(海老原委員)
*「このアンケートの制作過程が、きちっと議論しているとは思えない」
「(アンケートの)全てが誘導」(以上 井上委員)
*「誘導的な、こういう形で進めていきたいというような書き方である」
「信用できないアンケート結果になるのではないか」(以上 平田委員)

こうした意見に対して、池田教育総務課長は次のように「釈明」しています。

(池田教育総務課長)アンケートの設問の決定までのプロセスは、5月下旬に教育委員会事務局のほうで素案を作成、庁内検討委員会と教育委員に配布、メール等で意見を聞き、修正した結果である。

また、アンケート回収率の見込みについて問われ、次のように回答しています。

(池田教育総務課長)H30年度に実施した3000人抽出での市民意識調査の回収率は56%ぐらいであったので、その程度くらいの回収は見込んでいる。

池田教育総務課長はこのように答えていますが、実際の結果は以下のとおりでした。
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この資料のとおり、市民アンケートについては、池田教育総務課長が見込んだ回収率56%には遠く及ばない、34.7%という回収率でした。
これでは、いくら庁内の検討委員会や教育委員の意見を聞いても、それだけのアンケートであったということになります。

🔷引き続き市教委の動きを注意深く見ていく必要があります
今記事では、池田教育総務課長の発言や姿勢から見えてくる「上尾市教育委員会の不都合な真実」を検証しました。この他にも、9月27日の「調査特別委員会」(現時点では中継録画のみ公開されており、会議録は後日)では、教育委員会事務局からの説明や資料が不足している点について、池田教育総務課長は委員長から厳しく注意を受けています。

当ブログでは、引き続き市民アンケート等の結果やワークショップ、講演会等について深い関心を寄せていくつもりです。