上尾市図書館を「市民の学びの拠点」にするための「リクエスト」(追記あり)
「朗報」と言ってよいでしょう。
山本由美氏による『学校統廃合を超えて』(平岡和久氏との編著)が上尾市図書館の蔵書に加えられる見込みになりました。
これは、上尾市図書館に「リクエスト」したことによります。
今記事では、市立図書館を「市民の学びの拠点」とするための手段としての「リクエスト」に関連してお伝えします。
【追記】9月2日、上尾市図書館から連絡があり、『学校統廃合を超えて 持続可能な学校と地域づくり』の貸出を受けました。
N.236
🔷予約状況の画面では
以下は、私の上尾市図書館の「利用照会」の中の「予約中一覧」の画面です。
「予約中一覧」に掲載された資料(本やCDなど)は、「順位」にしたがって貸出可能となります。一番上に掲載されている資料『学校統廃合を超えて』は、順位も1番であることから、近日中(時期は不明)に「予約確保」の連絡があるはずです。
また、『Q&A 宗教トラブル 110番』は、右側の「取消・変更」が空欄になっていることから、数日中に「予約確保」の連絡が届きます。
最後の行の、『マインド・コントロール』の前に(借受)とあるのは、上尾市図書館では蔵書が無いため、県立図書館や他の自治体の図書館から借り受ける、という意味です。この場合、貸出期間は最大で2週間となります。
※なお、『マインド・コントロール』という本は、上記で示したのは長年にわたって統一教会の被害者救済の活動をしている紀藤正樹氏の著作です。他にも岡田尊司氏による同名の本もあり、こちらは上尾市図書館の蔵書となっています。
上記の『学校統廃合を超えて』のように「予約中一覧」に掲載され、資料の頭に(借受)が表示されないのは、上尾市図書館の蔵書ということであり、「リクエスト」をした結果、購入された(見込みを含む)ということになります。
山本由美氏の著作(共著を含む)は今まで上尾市図書館には1冊も無かった(下記参照)ので、画期的とも言えるのではないでしょうか。
上尾市図書館に置かれている「学校統廃合」関連資料(書籍) ※いずれも、学校統廃合には肯定的または追認の立場から著された資料 |
*南学編著『ポストコロナ社会の公共施設マネジメント』学陽書房,2021 |
*嶋津隆文編著『学校統廃合と廃校活用』東京法令出版,2016 |
上尾市図書館に置かれていない「学校統廃合」関連資料 ※学校統廃合には否定的・懐疑的な立場から著された資料 |
*田中孝彦・山本由美・東久留米の教育を考える会編著『地域が子どもを守る』ケイ・アイ・メディア,2007 |
*安達智則・山本由美編『学校が消える!公共施設の縮小に立ち向かう』旬報社,2018 |
*山本由美編著『小中一貫・学校統廃合を止める-市民が学校を守った』新日本出版社,2019 |
*月刊『住民と自治 2022年2月号』※特集「学校が消えると地域はどうなる?」 |
🔷「リクエストカード」の書き方の例
では、実際に上尾市図書館にリクエストするにはどうしたらよいのでしょうか。
「蔵書検索」や「館内利用端末」で探しても、読みたい本や資料が見つからない場合、貸出カウンターに置いてある「リクエストカード」に記入します。
以下は、「リクエストカード」の記入例(実際に提出した例)です。
【左側(提出例 その1)】
私が提出したリクエストカードの内容を転記したものです。
気を付けなければならない点は、上尾市図書館尾HPをよく読むと、
「発刊前の本は、リクエストを受けられません」
との注意書きがあるので、その本の発刊日を確認することです。
※ただし、今回、出版元のHPには「発行年月日=2022年7月20日」とあるのですが、7月26日にリクエストカードを出したところ、「発売日は7月27日」との理由で「まだ受けられない」と言われました。
図書館で使用する「発刊年月日」の一覧?と出版元の情報とが違っているのではないかと思われます。
【右側(提出例 その2)】
これも私が8月9日に提出したリクエストカードです。
この提出例について、以下、簡単に説明します。
*[ISBN] について
ISBNとは、International Standard Book Number の略で、世界共通で書籍を特定するための番号です。本を購入するサイトでは、書誌情報として示されます。
リクエストした『逐条 学校教育法〈第9次改定版〉』については、次のようになります。
978 → 最初の3ケタは978か979と決まっています。
4 → 言語圏を表す数値 日本語は 4
313 → 出版社記号 日本図書コード管理センター 登録出版社の検索
07609 → 書名記号
9 → チェックデジット(バーコード確認番号)
※ISBNの記入により、図書館側の書名検索が容易になりますが、リクエストカードについては、通常、(提出例1)の書き方で大丈夫です。
*[逐条(解説)について]
「逐条(解説)」とは、法律を条文ごとに解説した資料です。
上尾市図書館の蔵書検索で「逐条」と入力すると、51件表示されます。
以下は「出版年順・降順」での検索結果(4番目以下は略)です。
上記の上尾市図書館の蔵書の中に、「学校教育法」や「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」は1冊もありません(驚くことに、議会図書室にも蔵書が無いのです)。
他の法律については上記の資料も含め、全部で51冊の逐条(解説)の蔵書があるのですから、「学校教育法」についても購入すべきではないかと考え、現在リクエストをしている最中です。
🔷図書館を市民の「学びの拠点」として利用するために
今記事では、「リクエストカード」を出したことにより、上尾市図書館が山本由美氏の著作を購入する見込みになったことをお伝えしました。
もともと、上尾市図書館は次のような「資料収集方針」を掲げています。
(以下、上尾市図書館『令和4年度 図書館要覧』P.46 より)
ここには、目的として、「上尾市図書館は、図書館が本と人とが出会う魅力的な空間、知識の宝庫、地域における情報の拠点となるよう、社会の動向や潜在的要求、将来予測されるものも含めた市民の要望を反映させた資料を収集する」とあります。
そのうえで、「多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する」と謳っているのです。
この考え方は、上尾市図書館本館で言えば、貸出カウンターの後ろに貼ってある「図書館の自由に関する宣言」に基づいたものであり、素晴らしい目的であると言えます。
上尾市図書館は社会教育施設であり、市民が学ぶ拠点ともなるべき施設です。
現在、上尾市では、教育委員会の主導により、強引とも言える手法で「学校統廃合」に向けての施策がすすめられようとしています。
市民として「学校統廃合について学びたい」「そのため、この本を読みたい」という際に、図書館に積極的にリクエストしたり、レファレンスサービス(図書館に資料や文献を探す手伝いをしてもらうサービス)を受けて、図書館を「情報の拠点」・「学びの拠点」としていきたいものです。
いつもながら、貴重な情報ありがとうございます。
「遂条」などと言う方法があるのは知りませんでした。誠にありがたい情報です。
因みに私もブログ館主さんに勧められ「学校統廃合を超えて」をリクエストしていますが、もう少しという所ですね。
話が違いますが、確か2月頃所属する「自分史の会」の年度会誌がこれまで20年に亘り本館と分館に寄贈してきたのですが、今年になってあるや否やを確かめた所、分館は全て廃棄、本館も棚からなくなっていました。
この事態に何と「市勢の動向」の一記録としても残す価値あり、と言うことで交渉をしてきました。誠に不十分ですが「今後一部だけ保存するようにしたい」と言う結果になりました。
ブログ館主さんの姿勢にも学びますが、「図書館はやはり市民と利用者の知的宝庫」として眼をひからせていく」価値と義務がありますね。
有難うございます。
コメント、ありがとうございます。
上尾市図書館には、図書館法により「郷土資料を収集する」という役目がありますので、現在上尾市で起きている問題の資料や参考文献などを収集する責務があります。
これは記事でも言及したとおり、「資料収集方針」にも明記されていることであり、対立する意見については、双方の資料を揃えておく必要があります。
山本由美氏の著作が上尾市図書館の蔵書に加えられたのは成果であり、市民が自らの学びのために気軽に上尾市図書館を利用できるようにするために、引き続き私なりにアクションを起こしていきたいと考えています。
後段で述べておられる「自分史の会」については、知りませんでした。
上尾市図書館の蔵書を「自分史」と入力して検索すると、「上尾自分史友の会会誌 第〇〇号」という検索結果が表示されますが、これらの資料のことでしょうか。
もしそうであれば、貴重な資料となると思われますので、これらについても上尾市図書館は保存を続けていく責務があると思います。