上尾市の学校の先生が足りない!
文科省も指摘せざるを得なくなった「教員不足」。
上尾でも例外ではありません。深刻な問題となっています。
今記事では、「上尾市の学校の先生が足りない」現状についてお伝えします。
No.308
🔸上尾市の教員不足は22名(1/1現在)
情報公開請求を通じて、市教委事務局(学務課)の担当者の方と話す機会が多いのですが、今回開示してもらったのは次の資料です。
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この表は「臨時的任用教職員等の未配置・未補充件数について」とあります。
本務者(本採用者)が足りなかったり、休んでいる場合に配置される教職員は、原則として臨時的採用であり、採用される臨時的任用教職員は、短期間を除き「県費採用」(=埼玉県から給与が支給される教職員)となります。
上尾市では1/1現在、小学校で15名・中学校で7名の先生が足りません。
とりわけ、中学校の理科の先生が不足しています。
以下は、上の表の見方について、略語や用語等の簡単な説明です。
「特支」……特別支援学級の略。
「欠補」……欠員補充の略。本来配置されるべき教職員が配置されていない。
「加配」……後述の表を参照。学校の必要に応じて教職員をプラスする。
「産代」……教職員の産休の際、代わりに配置される。
「育代」……育児休業を取った教職員の代わりに配置される。。
「病・介代」…病休や介護休暇を取得している教職員の代わりの教職員。
「休代」……休職している教職員の代わりの教職員。
🔸教員不足についての市教委の対応は
では、深刻な教員不足について、上尾市の教育委員会はどのように対応しているのでしょうか。その状況についても学務課に資料を開示してもらいました(PCでごらんの方は、最下部にズーム機能があります)。
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略語で示した上述の「加配」の理由は様々ですが、「教員の数を増やせる枠のようなもの」と学務課では説明しており、現在未配置の教員は6名となっています。
また、この表を見ると、「現在の対応」のほとんどが「教育委員会及び小(中)学校の校長等が臨任を探しているが、目途が立っていない状況」となっています。
「誰か代わりの先生がいないか探しているが、大変そう」というのは伝わってきますが、「校長等が臨任を探している」というのはどうなのでしょうか。
もっと別の探し方があるのではないか?と考えてしまいます。
🔸「臨任教職員 説明会」には27名の参加者があったが…
昨年末(12/23)、上尾市教育委員会は、「子どもの力になりたい!」と銘打って、「上尾市 臨時的任用教職員 説明会」を開催しました。この説明会は上尾市としては初めてということで、いかに先生が不足しているかの証左ともなっています。
この説明会の当日の参加者は27名。時間設定としては1時間となっています。
教育委員会からの[教員の職務内容と勤務時間の説明]としては、
*職務内容=教科指導、学級担任等、校務分掌、生徒指導、進路指導、クラブ、部活動指導等。
*勤務時間=上尾市では8時15分から16時45分 他
これらについては口頭で説明したとのことです。
[当日の質疑応答から]
以下は、説明会当日の質疑応答の様子です(開示資料より)。
Q.自分の子供が在学している学校で働くことは可能ですか。 |
A.お子さんが在学している学校への配置はしておりません。例えば、同じ職場の同僚がお子さんの担任になると、公務員や教職員という仕事の特質上、他の方から疑念を持たれる可能性があるため、配置を避けております。 |
Q.授業の研修について知りたいです。 |
A.初任者が受けるような法定研修はございません。県が主催する臨時的任用の方を対象にした研修は、年に1回程度ございます。その他、各学校では、学校課題研修に取り組んでおりますので、学校の先生方と一緒に学んでいただくことができます。 |
Q.年齢の制限や経験の有無は問われますか。 |
A.年齢の制限はございません。60歳、70歳の方もお仕事していただいております。また、経験の有無も問われません。 |
質疑応答では「退勤時刻に帰れるか」については質問が出なかったようです。
最も気になるのではないかと思われますが、「教師の働き方改革」について社会的な問題となっているため、「聞いても仕方ない」ということかもしれません。
🔸来るべき先生が来ないと、他の教職員の負担に
当然のことですが、先生が一人でもいなければ、そしてその状態が長く続けば、同じ学校の教職員の負担が増えることは目に見えています。
また、本務者が安心して休むことができるようにするためにも、代替教職員の確保はとても重要なことです。
開示された資料では、
*上尾市では「個別相談」を随時受け付けていること。
*新座市では保護者に周知したことで、4名の任用につなげることができたこと。
ということも明らかになっています。
◎臨任者採用に関心のある方は、市教委担当者に連絡してみてはいかがでしょうか。
(以下、公表されている資料より)
上尾市教育委員会学務課 電話 048-775-9604(直通)
担当者(宮田・澤邉・山田・酒井)
🔸実効性のある「働き方改革」も必要
今記事では、上尾市の学校の先生が不足していることや、それについて市教委委がどう対応しているかについてお伝えしました。
臨時的任用者説明会では質問は出なかったものの、勤務時間がどうなっているかについては、大変重要な勤務条件です。「上尾市は(実質的な)勤務時間が長い」という話が拡がり、教員を希望する方から「上尾で教員になるのは…」と避けられては、上尾市の教員不足が続いてしまいます。
<上尾市では、どこの学校でも「定時出勤・定時退勤」が出来ています>ということになれれば、教員不足解消につながるのではないかと考えられます。
そのためにも「絵に描いた餅」ではない、実効性のある「働き方改革」が必要です。
当ブログでは、情報公開請求により、教職員の「働き方改革」をめぐる新たな資料を入手しましたので、今後の記事でお伝えしていきます。
上尾市の小中学生数は約1万6000人(小学生1万1千人、中学生5千人)で、その保護者
が約3万人います。
つまり上尾市の小中学校の教員不足は、約5万人に影響を及ぼす大きな問題です。
また、埼玉県全体の小中学校の教員不足は、戸野部県会議員より提供していただいたデータ(昨年9月1日現在)で151人で、上尾市が18人であることがわかりました。
埼玉県全体の不足数の1割以上が上尾市で、人口比で考えると明らかに多くなっています。
このような現状を上尾市教育委員会が真剣に受け止め、改善しようとしているのか極めて疑問です。
コメント、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、影響は大ですね。
学務課が言うには、昨年秋の時点から、教員不足はさらに増えてしまい、今記事の人数(22人)になったそうです。
上尾が県内でも教員不足が多いのは事実であり、その理由も調べていく必要があるかもしれません。
(私は「上尾は委嘱研究などで忙しい」との評判が教員を目指す方たちにも伝わっているのではないかと推測しています)