『請願』が採択されたあとの扱いはどうなっているのでしょうか?

HPで公表されている教育委員会8月定例会の『報告事項』の中(P8)に、「請願の処理経過及び結果の報告について」という報告がありました。ですが、私(当ブログ館主)は今までこのような報告は見たことも聞いたこともありません。
そこで、情報公開請求を通じて、この「報告」が出された経緯などを
調べてみました。
すると、議会事務局の対応を含め、事実関係がわかってきました。
今記事では、このことに関連してお伝えします。

No.339

🔸教育委員会定例会での「報告事項」の内容とは
教育委員会8月定例会で初めて報告されたという「報告事項」とは、どのような内容だったのか、あらためて見てみましょう。


「6月議会で採択された請願について、処理経過及び結果を報告します」との記述から、「上尾市の不登校対策に関する請願」に関しての教育委員(会)への報告だと思われますが、実はそれだけではないようです。
この報告に至る決裁文書等」を情報公開請求した結果、示されたのが次の文書です。


この文書は、8月定例会に報告することについての教育委員会事務局内部の決裁文書であり、教育長や部長等が決裁しているのが分かります。
ここで注目すべきは最下部の枠内の記述です。大きくしてみましょう。


なお、請願の処理の経過及び結果の報告について、市長政策室長に回答済みであることを申し添える」とあります。
つまり、この採択された請願がどう処理されたのかについて、市長サイドから問い合わせがあったということが推測されます。そうした経緯から、担当課である市教育センターが教育委員会定例会に「報告」したと思われます。

🔸他の『請願』の扱いは?
では、今までに採択された、他の教育関連の『請願』はどのように扱われているのでしょうか。この点について、私は9月4日付けで情報公開請求しました。

(情報公開請求の内容)
上尾市議会令和4年9月定例会で採択された「小中学校における特別教室及び給食調理室へのエアコン設置に関する請願」については、なぜ上記令和6年8月定例会と同様に、後日の教育委員会定例会において「採択された請願」として特化した報告事項としなかったのか,その理由が判別できる文書・資料等。
※上記と同じ文言で、以下の『請願』についても開示請求しました。
*(R4.9月採択)「教育機会確保法の附帯決議に基づく不登校児童生徒への多様な学習機会への経済的支援を求める請願
*(R4.12月採択)「学校給食における低アレルゲン献立の取り組みを求める請願
*(R5.3月採択)「市内教育機関等においてマスク着脱を強制しないことおよび黙食指導の見直しを求める請願

これらの情報公開請求については、担当課(教育総務課・学校保健課・市教育センター)から、それぞれ「文書不存在により非公開」とされました。
なにか変ですね。
そこで私は、関連しそうな条例や規則を見てみました。

🔸答は『上尾市議会基本条例』にありました
調べていくと、『上尾市議会基本条例』に次の記述がありました。


このとおり、第10条3項に、「議会は、採択した請願のうち市長等において措置することが適当と認めるものについては、市長等に送付した後、その処理の経過及び結果の報告を求めるものとする」とあります。
(市民参加の促進)としてこの条文があることから、教育委員会8月定例会では「6月議会で採択された請願について、処理経過及び結果を報告します」とされたのです。
せめて担当課はそのことの説明を備考欄に記入すべきだったのではないでしょうか。

🔸再度、情報公開請求しました
以上のことから、私は、次の内容であらためて情報公開請求をおこないました。

(再度情報公開請求した内容)
「上尾市の不登校対策に関する請願」についての「処理経過及び結果」が、令和6年教育委員会8月定例会において報告されたのは、『上尾市議会基本条例』第10条によるものなのか否かが判別できる文書・資料等。なお、議会が教育委員会に対して請願採択後の「処理の経過及び結果」を求めたのであれば、そのことが判別できる文書・資料等であること。

この回答はまだ私の手元に届いていませんが、市議会のHPで、情報公開請求への回答の代わりともいうべき、従来無かった次のような動きがありました。

🔸情報公開請求を契機に、市議会HPに「更新情報」を掲載
私が情報公開請求をおこなった後の市議会のHPの新たな動きとは、9/30更新の「採択された請願と処理経過・結果報告」です。
掲載された『請願』の扱いについては、次のとおりです(令和5年12月分まで)。

このとおり、採択された請願の扱いがどうなっているのか、一目瞭然になりました!
冒頭の「上尾市の不登校対策に関する請願」の処理結果を見てみましょう。


文書の内容から、市長が議長に回答していることがわかります。今記事の最初で、「この請願がどうなっているのかについて、市長サイドから問い合わせがあった」ということを述べましたが、これで説明がつきます。

このような新たな動きがあったのは、明らかに私が情報公開請求した(つまり、市民が市政に参画した)ことを反映して、市議会のHPで掲載することにしたと言えます。

(一方では、議会事務局には問題点も)
上述のとおり、議会事務局が『請願』の扱いについてHPに掲載するようになったことは評価出来ますが、別の件になりますが、議会での質問の動画配信に対して、上尾市議会事務局が「削除要請」することなどの問題点も指摘されています。
このことについては、経緯や動画配信の基準の有無についてなど、当ブログでも情報公開請求していきます。

🔸『請願』提出や情報公開請求は「市民による市政の参画」です
今記事では、教育委員会8月定例会で報告された「採択された請願の処理経過及び経過」の「出され方」が唐突であることに疑問が生じたこと、そして、情報公開請求をおこなったことにより市議会のHPに『請願』の扱いが掲載されたことについてお伝えしました。

『請願』を提出し、採択されることは「市民の願い」を具体化していく、すなわち「市民による市政の参画」ですが、『請願』が採択されることが即「ゴール」ではありません。採択されたあと、どのように扱われるかが重要だと私は考えます。

また、「上尾市情報公開条例」は、その目的を次のように定めています。

(目的)
第1条 この条例は、市民の知る権利を尊重し、行政文書の公開を請求する権利につき定めること等により、市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市政に対する市民の理解と信頼を深め、及び市民による市政の参加の充実を推進し、公正で開かれた市政の発展に寄与することを目的とする。

ここに謳われているとおり、情報公開制度は、「市民による市政の参加の充実を推進し、公正で開かれた市政の発展に寄与する」ことを目的としているのです。
当ブログでは、引き続き情報公開請求をおこない、市民的視座から市政&教育行政を考えていきます。

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