市内33校の[学校運営協議会/コミュニティスクール]の現在地は?

今から7年前に、まさに「鳴り物入り」で始まった上尾市の学校運営協議会/コミュニティスクール。
情報公開請求の結果、驚きの事実が明らかになりました。
「学校や教育委員会に対して意見を述べることができる」はずの学校運営協議会ですが、何と、昨年度(令和7年度)に教育委員会に意見を述べた件数は、上尾市内の小・中学校33校の内、ゼロ件(つまり、1校も無い)という実態が明らかになりました。
今記事では、上尾市内の「学校運営協議会(コミュニティスクール)」の「現在地」についてお伝えします。

No.394

🔸「学校運営協議会」についての法的背景
学校運営協議会については、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)」第47条の5で「教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その所管に属する学校ごとに、当該学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くように努めなければならない」とされています。
この地教行法に基づき、「上尾市学校運営協議会規則」が定められています。
この規則の中で、私(当ブログ館主)が関心を寄せているのは次の条文です。

このように、市の規則では、学校運営協議会は、学校運営全般について、教育委員会または校長に対して意見を述べることができることになっています。
むしろ、そのためにこそ学校運営協議会の存在価値はあると言えます。

🔸注目すべき畠山市長のコメントとは?
上尾市で「学校運営協議会」の制度が開始されたのは、2018(平成30)年度の当初3校での「様子見」を経て、2019年4月から市内全校で始まりました。その時の状況について、『広報あげお』2018年(平成30)7月号での畠山市長のコメントを見てみましょう。

この中で、畠山市長の注目すべきコメントを拡大してみます。

このとおり、畠山市長は、コミュニティ・スクール(=学校運営協議会を設置した学校)について、「学校運営について、教育委員会や校長に意見を述べる役割を担っています」と明言しています。

では、学校運営協議会の制度開始から7年経った今、畠山市長の言ったことは本当だったのでしょうか?

🔸情報公開請求の「驚きの結果」とは?
私は次の内容で情報公開請求しました。

「上尾市学校運営協議会規則」第4条に基づき,令和7年度中に、上尾市内全小中学校の学校運営協議会から上尾市教育委員会に対して意見が述べられたことが判別できる文書・資料等(該当する全ての意見であること)。

この請求についての教育委員会の通知文は次のとおりです。

この通知文の最後(備考)には次のように記述されています。

「各学校に確認しましたが、上尾市教育委員会に対しての意見はありませんでした」

つまり、市長の言ったことは「絵空事」であり、これこそがまさに[学校運営協議会/コミュニティスクール]の「現在地」であると言えます。

🔸教育委員会による「自画自賛の評価」
前年度の教育行政についての教育委員会の自己評価と「識者の第三者評価」が掲載されている『点検評価報告書』。
公表されている直近の『R7 上尾市教育委員会の事務に関する点検評価報告書(R6年度の事業が対象)』で、上尾市教育委員会は[学校運営協議会/コミュニティスクール]をどのように評価しているのでしょうか。
上尾市内小・中学校での学校運営協議会の開催件数は、例年170回前後であり、令和7年度の目標値は175回となっています。
教育委員会は「成果」として「学校・家庭・地域が一体となって、よりよい教育活動の実現に向けて、地域に見られる課題や教育的ニーズを、的確に学校運営に反映させるよう保護者や地域の方々が、学校運営協議会を通して学校運営に参加する仕組みを推進できました」と述べています。
しかしながら、昨年度、市内で教育委員会に意見を述べた学校はゼロ件であることを考えれば、この自己評価は「自画自賛」と言えるでしょう。

なお、この『点検評価報告書』では「第三者評価者」として3人の「識者」による学校運営協議会=コミュニティスクールへの評価はひと言もありませんでした

以上の事実から、市長が『広報あげお』で述べていることや、情報公開請求の結果と併せて考えると、次の結論が導き出されます。

昨年度は学校運営協議会を175回前後開催したにもかかわらず、市長が言う「学校運営について、教育委員会や校長に意見を述べる役割を担っています」は実現されていません。

🔸大石中で実施したアンケートに見る「学校運営協議会の本質」
「学校運営」の範疇には、「児童生徒が安心して授業を受け、学校生活を送れる」ための環境整備は不可欠です。そのためには学校の施設の現状を把握し、学校運営協議会として意見を述べるべきでしょう。

そのことがわかる資料として、現在教育委員会のページで公表されている「大石中学校校舎等更新計画」/「大石中学校校舎等更新設計に係るアンケート調査」があります。
この中の、教職員の「自由記述」には次のとおり記載されています。

大石中学校校舎等更新設計に係るアンケート調査(教職員自由記述の一部)
※教職員の回答は全部で13ページもあるため、自由記述の一部を掲載しました。
全文は上記青字クリックで見ることができます。

教職員からは次のような要望が寄せられています(ほんの一部)。
*雨漏りや水漏れなどの校舎の不備
*トイレのにおい
*生徒の荷物整理場所の狭さ
*教室ごとの環境の違い(教壇の有無・清掃ロッカーの有無など)
*廊下を広くしてほしい
*校舎には松葉杖や車いす利用の生徒等が利用できるエレベーターがあるとよい
*生徒数・教職員数に見合ったスペース、トイレ、流しの数の確保
*早急に特別教室にエアコンを設置してほしい
*美術室にエアコンの設置を。気温のため、授業が苦しいです。

一方で、学校運営協議会からの回答は次のとおり掲載されています。

このとおり、学校運営協議会用には、自由記述の設問がありません。
なぜこのようなアンケートになっているのでしょうか?
その答は、「大石中学校校舎更新設計にあたっての意見聴取」にありました(青字クリックで、アンケート全文を見ることができます)。

生徒用アンケート ➡全部で11問
教職員用アンケート➡全部で36問
これに対し、
学校運営協議会用アンケート➡全部で3問 となっています。

以下は学校運営協議会用の実際のアンケート用紙です。

このようなアンケートの中身では、学校運営協議会委員から「廊下がせまい」「トイレが少ない」「早急に特別教室にエアコンを」などの要求などは出てこないでしょう。

学校運営協議会の本質とは、校長を補完する「お飾り」ではないか?」と言われないようにするためには、地教行法や市の規則に基づき、施設・設備・安全面などを含めて教育委員会に意見を提出することが必要です。

※当ブログでは、今後も[学校運営協議会/コミュニティスクール]について情報公開請求等をおこない、深掘りしていきます。

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