市民が知る由もない「中学生海外派遣研修事業」に関する「不都合な真実」とは
今年もまた、例年と同様、「市内の中学生のごくごく一部」の中学生(22名)と、5人の「引率者」のために、2400万円を超える市税が投入されようとしています。
「中学生海外派遣研修」と称するこの高額事業については、数々の問題があることを当ブログでも取り上げてきましたが、今記事では、この事業についての「予算額」の実態と「参加者負担金」についてお伝えします。
No.396
🔶年々増える「中学生海外派遣研修事業」の予算額
まず、「中学生海外派遣研修事業」の最近3年間の予算額を見ていきましょう。
(公表されている上尾市の各年度予算額より引用)
*2024(R6)年度 (※単位=千円)
*2025(R7)年度 ※前年度より 1,977(千円)の予算増

*2026(R8)年度 ※前年度より 649(千円)の予算増

2026(R8)年度の「中学生海外派遣研修事業」は2400万円を超えています。
(今年 7/21~7/31 まで、オーストラリア・ロッキャーバレー市に行く予定)
しかも、予算額は毎年増額されているのです。
では、教育委員会はどのような見通しを立てていたのでしょうか。
2024(R6)年度の「行財政3か年実施計画」を見てみましょう。


担当である教育委員会指導課の見通しは、21,403(千円)で「向こう3年間同額の予算」でしたが、甘い見通しであったと言わざるを得ません。もっとも、担当課(指導課)が見通しの甘さについて直接責任を取るわけではありませんが。
🔶参加者一人当たりの単価は?
次の表は、公表されている2026年5月1日現在の市内の生徒数です。
(左から、1年、2年、3年の順。右端は各学校の計。最下部は総計です)

このとおり、市内の中学校3年生の生徒数は 1,750人、「中学生海外派遣研修事業」の参加者は22人ですから、参加生徒数は生徒全体のわずか 1.26% です。
また、引率者を含まない場合、生徒一人あたりの予算額は
24,029,000円 ÷ 22人 = 1,092,227円 となります。
🔶情報公開請求で入手した資料を検証
参加する生徒の費用負担は無料ではありません。
私(当ブログ館主)が情報公開請求で入手した資料を見てみましょう。
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これは、上尾市の「中学生海外派遣研修事業」を考える際に貴重な資料です。
なぜなら、この資料から様々な問題点が浮かび上がってくるからです。
🔶保護者負担額の増額とその根拠への疑問
資料のとおり、参加生徒(保護者)の負担額は、2年前の8万円から、今年度は12万円に増額されています(50%アップです)。
R8年度保護者負担額の根拠として、市教委は[航空運賃]・[バス代]・[食費]の合計255,268円の50%としており、R8年度(R7年度実績)=255,268円とされています。
ここで疑問です。
上で見たとおり、 生徒一人あたりの予算額は 1,092,227円 です。
ここから[航空運賃]・[バス代]・[食費]の合計 255,268円 を差し引いた 836,959円 は、いったい何に使われているのでしょうか?
情報公開請求で入手した、委託業者との契約書を確認してみます。
ここでも疑問です。
委託料は 約1,800万円 となっています。
上述の今年度の予算額の中の「委託料」23,527,000円とでは、500万円以上違います。
同時に開示請求した「特記仕様書」を見ても、この差はわかりません。
どうやら、もう少し細かく情報公開請求していく必要があるようです。
上の開示文書の最後に記載されている説明
・円安及び海外渡航費の急激な増加により、渡航費が高騰している。 については、
→それでもこの事業を継続するのですか? と聞きたくなります。
🔶生活保護・就学援助世帯の負担金は?
「負担額の考え方」の次の記述
(3)生活保護・就学援助受給世帯については、保護者負担額の50%とする。
→このことについての教育委員会の説明も疑問です。
令和5・6年度の生活保護・就学援助受給世帯負担額は 37,000円 となっています。
この額は 80,000円 の 46.25% であり、50%ではありません。
昨年度から、いきなり負担率を 50% とするのは、説明として一貫性がありません。
しかも、次のような実態があります。
令和6年度の「中学生海外派遣研修事業」の保護者支払額の内訳です。
2024(R6)年度の保護者負担額は 80,000円 でした。

開示されたこの表から、参加者全員が 80,000円 を支払っていることがわかります。
つまり、生活保護・就学援助世帯は誰も参加していないのが実態です。
引き続き当ブログでは、昨年度と今年度の状況も情報公開請求していきます。
また、上の資料の最後には次の記述があります。

・渡航費の増額にあわせて、生活保護・就学線所(←明らかな誤字。正しくは援助)受給世帯の生徒の負担額も増額することが望ましい。
↑ 誤字だけでなく、教育委員会によるこの説明は、経済的に困窮している世帯に対して、あまりにも冷たい対応ではないでしょうか?
2024(R6)年度の参加者の実態から考えても、教育委員会は「経済的に余裕のある世帯」に向けてこの事業をおこなっていると捉えられてもしかたがないでしょう。
今記事では、「中学生海外派遣研修事業」の「予算」と「保護者負担額」についてお伝えしましたが、この事業については非常に問題が多く、議会でも取り上げられています(当ブログNo.357記事を参照)。
さらに、高額な予算を伴うこの事業については、「引率者」の問題や、事業終了後の研修結果の還流の問題など、教育委員会にとっては「不都合な真実」について、まだまだ深掘りしていく必要があります。
当ブログでは、引き続きこれらの問題について、実態に基づき検証を深めていきます。


