「言わない」上尾市教委事務局 と「聞かない」教育委員たち

1月27日、上尾市教育委員会1月定例会を傍聴しました。
すでに公表されている会議結果の概要のとおり、会議の所要時間はわずか45分間で、相変わらず、事務局の提案に差し障りのない範囲でひと言ふた言コメントを述べ、教育委員相互の議論は皆無の定例会でした。

定例会の席上、「言うべきことを言わない」市教委事務局と「聞くべきことを聞かない」教育委員たちの姿勢が目につきました。
今記事ではこのことに関連する「教育委員会の不都合な真実」をお伝えします。
なお、今記事はスキャンした画像を貼り付けたのが4箇所あります。スマホやタブレットで画面が見にくい方は、PC画面で見ていただくことをおすすめします。

No.204

🔶いつのまにか変更された報告資料の名称
定例会の中身は「報告」が主であり、その中でも「民間スイミングスクールを活用した水泳授業の視察結果について」という「報告」を池田教育総務課長が「語って」いました。
実は、同じような内容なのに、先月と1月とでは資料の名称が変更されています。

2021年12月 水泳授業民間委託の他市調査結果について
2022年1月 民間スイミングスクールを活用した水泳授業の視察結果について

配布された資料を見て、私はすぐに資料の名称が「水泳授業民間委託の…」が「民間スイミングスクールを活用した…」に変更されていることに気がつきました。

これはおそらく、12月市議会(1月17日)の池田達生議員の質問での、

…12月の定例教育委員会で配布された他市の調査結果概要では「水泳授業の民間委託化」としています。授業を民間に委託するということですが、授業を民間に委託することはありえないと考えます。

と指摘する発言を受けたので変更したのか、

さもなくば当ブログ記事(No.197):【「水泳授業民間委託」って何なの ?! 「前のめり」の事務局 & 賛成する教育委員も】(青字下線部をクリックするとNo.197記事に飛びます)を読んで変更したのではないかと推測されます。

🔶発言は教育総務課長のみの「なぜ?」
この「水泳授業の視察結果」については、事務局の池田教育総務課長のみが語るだけで、教育内容(水泳授業)について、指導課の職員からはひと言も発言がありませんでした。
他市への視察は、以下の文書のとおり、2名の指導課職員も出向いています(PC画面で見ていただくことを推奨いたします。下部にズーム機能あり)。

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「報告」をした教育総務課長は、以前から何かというと「しゃしゃり出る」のが目立ちますが、 教育内容にかかわることは、指導課職員が報告すべきでしょう。それとも、「指導課職員=指導主事」の存在を否定するのであれば、話は別の展開になりますが。

🔶教育総務課長が語らなかった「不都合な真実」
定例会で示された「民間スイミングスクールを活用した水泳授業の視察結果報告(概要)」は、以下のようににまとめられています(原本はA3版。PC画面での閲覧推奨)。

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しかしながら、教育委員会事務局が保有する資料は、これがすべてではありません

私が情報公開請求で入手した資料の中には、「各市における校長の話」と「民間スイミングスクール担当者の話」がありますが、池田教育総務課長はそのすべてについて教育委員に伝えているわけではありません。志木市と北本市の例を見てみましょう。

(志木市立宗岡小学校の校長の意見)
*週3時限あった際に、2時限で水泳授業を行った場合、1時限のみ体育のコマ数が残るため、どのようにするかきちんと決めておかないといけない。小学校は担任制なので、時間割の融通が利きやすいが、中学校になると教科担任制のためカリキュラム調整を綿密に行う必要がある。

志木市教委は将来的に全校に民間委託を進める考えであるが、そうなると自校の水泳授業の日程がどうなるのか不透明になり、不安がある
(北本市立宮内中学校の校長の意見)
送迎バスの教員配置が難しい。現状では体育教員が2名、校長1名、当番教員1名でやっているが、校長が外れ、当番教員が2名になるとかなり厳しい。

当番教員も自身の担当の仕事(成績評価など)があると厳しいと感じている様子である。

(コナミスポーツ担当者、志木市教育委員会担当者の意見)
※開示資料では、両者の意見は混在しており、区別はつきません。
基本的に水泳授業は休館日での対応が良い(北上尾は水曜日休館日)。

*プールサイドで見学をさせるか、見学席で見学をさせるかは学校によって異なる。

*宗岡小はプールサイドで見学(タブレットで何かをしていた)。

新座のコナミは、フィットネス利用が少なく、午後からの水泳スクールが主な事業であることから、稼働日数を上げるのにも、学校プールでの利用は良い。現状は、週1日の休館日を学校プールとしており、年間で3校が受入れのMAX。

*バス利用料金は1日単位になっていることが多いので、1学校の授業をAM利用でこまめに輸送するよりも、1日にまとめて授業を行うようにするほうがコスト面で有利

北上尾のコナミは、フィットネス会員のプール利用率が高いため、学校プールは休館日の利用になると考える

これらは、水泳の授業を民間委託しようとして「前のめり」になっている市教育委員会事務局(とりわけ教育総務課)が教育委員会定例会で出さなかった意見です。
読めばお分かりのように、 基本的に授業は民間施設の休館日にやることになっています。
そうすることによって、「コスト面で有利」との判断があることが見て取れます。
また、送迎や教員の配置で不安があることも意見として出されています。

こうした意見の数々は、まさに上尾市教育委員会が、教育委員にも市民にも出したくない(知らせたくない)教育委員会事務局にとっての「不都合な真実」であると言えるでしょう。ですが、情報公開請求がされ、公開せざるを得なかったのです。

🔶「アクティブな社長の社外活動」の教育委員は欠席
1月の教育委員会定例会を傍聴していて、教育委員の席が空いていると思ったら、大塚教育委員が欠席していました(欠席の理由は最後まで傍聴者には明かされませんでした)。
上尾市のHP(トップページ下欄)で、大塚委員が社長を務める会社のバナー広告をクリックすると、「アクティブな社長の社外活動」というメニューがあり、「平成28年10月より上尾市教育委員に就任させて頂き、大変に重責ではありますが、上尾市の教育行政に対してご協力することが出来ることに感謝致すところであります。」と書かれています。
教育委員が「大変に重責」であるなら、月に1度の教育委員会定例会に出席するのは当然の責務ではないでしょうか(そのため、月額報酬 64,000円 が支払われています)。
今後の大塚委員の教育委員会への出欠状況も見ていく必要があります。

それにしても、出席していた教育委員からは、誰ひとりとして「学校での現在のコロナ感染(オミクロン株)の状況は?」という質問もありませんでしたし、学校給食費無料化についての進捗状況、あるいは教職員の働き方改革がどうなっているのか、等々を尋ねる教育委員もいませんでした。もちろん、今までと同じように、当面する教育問題についての教育委員相互の議論など、まったくありませんでした。
だから、わずか45分で終わってしまうのだと思います。

まさに、これが「聞くべきことを聞かない上尾市の教育委員たち」の実態です。

🔶大事な報告はサラッと言うだけ
会議の席上、「上尾市学校施設更新計画基本計画調査特別委員会」からの提言書がプリントで示されましたが、教育総務課長が「提言書が出されました」と言っただけでした。
提言書は以下のとおりです。

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「提言書」は、4点にわたって「学校更新計画」についての重要な指摘をしています。
とりわけ、2点目に書かれている「教育的観点からの議論を尊重すること」は極めて大事な視点です。
教育委員会の会議(定例会・臨時会)も、この点が最重要視されるべきです。今後も教育委員会事務局の動きと教育委員の姿勢に関心を持って見ていきたいと考えています。