1枚の写真から上尾市の不当な支出が露見。住民監査請求受理へ。

2月3日付けで、私がひとりの市民として提出した住民監査請求(=上尾市職員措置請求書)が受理されました。

きっかけは1枚の写真でした。
昨年の8月、まさにコロナ禍で緊急事態宣言が出されている最中に、〈五輪〉出場の競歩選手が市長や教育長たちと「懇談」した際に撮ったものだそうです。
私はこの写真に強烈な違和感を覚え、関連する情報の開示を求めました。
その結果、地方自治法に謳われる「不当な公金の支出」であることが露見しました。

今記事では、私が請求を起こし、受理された「住民監査請求」についてお伝えします。
(書き足りない内容については、
次回以降続編も考えています)

なお、「住民監査の請求人の陳述(青字クリックで監査委員会HPに飛びます)」が、
2月14日(月)午前10時から開かれます(傍聴定員10人)。

(今記事の最後にも再掲)

No.205

🔶住民監査請求のきっかけとなった写真と記事
その記事と写真は、上尾市のHPの「トピックス」に掲載されました。⇒「東京2020オリンピック陸上女子20km競歩に出場した岡田久美子選手が上尾市を訪問しました
(青字をクリックすると、上尾市HPの「トピックス」記事に飛びます)

緊急事態宣言の最中、岡田氏と市長&教育長たちとの記念撮影

そもそも、この写真が撮られた昨年の8月19日とは、どのような日だったでしょうか。

コロナ感染を受けて、8月2日~31日に緊急事態宣言が発令され、その後9月12日まで延長、さらに9月30日まで再延長された、まさにその真っ只中でした。

上尾市のHPでもこのような市民への注意喚起がされていました。そこには、
不要不急の外出、県境を越える移動などリスクの高い行動を徹底的に避けましょう
と書かれていました。

上尾市HPの「トピックス」にこの写真が掲載されたのは、2021.08.25です。
市民には「リスクの高い行動を徹底的に避けましょう」と注意喚起をしていながら、まるで市民を無視するように市長&教育長らが記念撮影していることに、私は強い違和感を覚えました

🔶イベント中止なのに「出演料」が支払われていることが露見
それだけではありません。岡田久美子氏が上尾市を訪問した日(8月19日)は、市民体育館で岡田氏を講師の一員として「パラスポーツ体験イベント」が開催される予定でしたが、緊急事態宣言発令を受け、体験イベント自体が中止となっています。
ところが、中止されたイベントへの「出演料」として、岡田久美子氏側(所属のビックカメラ)に10万円が支払われていることが、情報公開請求により露見したのです。

つまり、上尾市は、一方では市民に「徹底的にリスクを避ける」ように注意喚起をしておきながら、一方では市長や教育長たちは、全く必然性のない岡田氏との懇談や記念撮影をしていました。
そればかりか、中止されたイベントへの出演料を支払っていたという、二重の意味で市民に対して「全く理解できない行為」に及んだというのが、ことの本質なのです。

🔶住民監査請求について(地方自治法)
このような事実が露見した際、市民としてどのようなことができるのでしょうか。
住民監査請求は、法的には次のように定められています。

地方自治法 第242条(住民監査請求)
普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる

すなわち、今回の場合、不当な公金の支出は明確なので、上尾市民として措置を求めることができる相手は、市長、教育委員会、職員ということになり、作成・提出すべき書類は「上尾市職員措置請求書」となります。

また、昨年11月に出された「上尾市西貝塚環境センターの入札に関する第三者調査委員会 調査報告書【再発防止策実施状況報告書】の中でも、次のように指摘されています。

提言9 市民による監視の強化
◆提言内容(要旨)

市民の市政に対する牽制機能の向上をもたらすことが、再発防止に不可欠である。市民は、市政により関心を高めるとともに、地方自治法にある監査の請求や市議会の傍聴などを通じて、不祥事の再発防止に努めていただきたい。
市もまた、市議会の日程をメールマガジンで配信することや市議会がネット中継されていることを積極的にPRすることに努める。
1.市民の市政に対する牽制機能の向上
2.積極的な情報発信

このように、提言は「市民の市政に対する牽制機能の向上をもたらすことが、再発防止に不可欠である」としたうえで、「地方自治法にある監査の請求」を奨励しています。
これは西貝塚環境センターの入札問題だけでなく、市政(教育行政を含む)一般を対象にしているのは論を待ちません。つまり、市の不当な支出の歯止めとして、住民監査請求が奨励されているのです。

🔶提出した住民監査請求=「上尾市職員措置請求書」の中身
私が2022.01.27付けで提出した「上尾市職員措置請求書」は、以下のとおりです。
(請求書本文はA4版で4ページあります。下部に改ページ機能がありますが、PC画面での閲覧を推奨します)

上尾市職員措置請求書

この他に、「事実証明書」すなわち「証拠書類」を添付しました。私の提出した証拠書類は18種類に及んでいます。

🔶今回の住民監査請求のポイント

① 岡田久美子氏の所属する(株)ビックカメラからの2021.08.25付け請求書により、「岡田久美子パラリンピック出演料(8月19日)」として100,000円が支払われていること。
②当初岡田氏が出演する予定だった8月19日の「パラスポーツ体験イベント」は緊急事態宣言を受けて中止になっていること。
③岡田氏が市長・教育長らと「懇談」した8月19日は、緊急事態宣言発令中であり、上尾市民に対しては「不要不急の外出、県境を越える移動などリスクの高い行動を徹底的に避けましょう」と注意喚起していること。すなわち、岡田氏と市長・教育長らの「懇談」は全く必然性が無いこと。
④岡田氏の当日の動きは、上尾市役所に滞在した時間は12:30~14:30。ほとんどの時間は市長・教育長らとの「懇談」であること。当日上尾市役所で「聖火」展示がおこなわれており、岡田氏は13:30から約20分足を運んでいるが、この「聖火展示」は「パラスポーツ体験イベント」とは全く異なるものであること。
⑤したがって、このような不当な支出行為をおこなった教育委員会、および支出に責任を有する決裁者に対し、不当な公金の支出額である100,000円の返還措置を求めるものです。

住民監査請求の概略は以上のとおりです。また、事実証明を集める過程で、出納室の果たす役割が明らかになりました。

🔶「出納室」の果たす役割とは?
市役所各課(教育委員会を含む)から提出された「支出負担行為票」の中身を出納室がもっとよく確認すれば、今回のような支出は避けられた可能性があります。
しかしながら、情報公開請求の過程で、出納室の役割は「計算が合っているか」「予算の範囲内であるか」「費目は合っているか(今回で言えば、出演料は「報償費」として支出されているか)」を見るだけである、ということが明らかになりました。
もしも出納室が「緊急事態宣言の中でのイベント出演料の支出とは、いったいどういうことですか?」と教育委員会事務局(担当:スポーツ振興課)に問い合わせれば、今回のように住民監査請求には発展しなかった可能性もあります。
それだけに、出納室の果たす役割も問われなければなりません。

🔶請求人の「口頭陳述」は2月14日(再掲)
今記事の冒頭でも触れましたが、今回の住民監査請求において、請求人の口頭陳述が許可されました。
2月14日(月)午前10時から、約30分間の予定。
会場:上尾市役所7階 大会議室
傍聴定員:10人

◎興味のある方は、傍聴してはいかがでしょうか。
※口頭陳述等の結果(経過)については、随時当ブログでお伝えしていきます。