情報公開請求により「いじめ問題調査委員」の杜撰な任命の状況が露見

当ブログで関心を寄せている問題のひとつに、「いじめ問題調査委員会」があります。
上尾市の「いじめ調査委員」とは誰で、どうやって選出されたのか会議の開催の状況については、当事者や関係者の氏名や「重大事態の詳細」を除き、公開されるべきです。
さらに言えば、「この人がいじめ調査委員として本当にふさわしいのか?」ということについて検証できるようにすべきではないでしょうか。
今回おこなった情報公開請求により、上尾市教育委員会の杜撰な「いじめ調査委員」の任命の状況が明らかになりました。今記事ではこのことについてお伝えします。

No.266

🔶教育委員会定例会で触れられない「いじめ問題調査委員会」
3月23日に「教育委員会3月定例会」が開かれ、私(当ブログ館主)も傍聴しました。
今回は議案・報告事項ともに件数が多かったものの、例によって5名の教育委員による「全員一致・異議無し」により全て採択されました(結果概要参照)。

この中に、報告事項として「令和5年2月 いじめに関する状況について」があり、「いじめの件数・解消した件数」について報告されました(担当:指導課)。
しかしながら、「いじめ問題調査委員会で現在調査中の事案があります」といった報告がされたことはありません
また、教育委員からも、調査についての進捗状況などの確認がされることもありません
おそらく、「いじめ問題調査委員会」が今年度5回開催されていることや、新年度になってすぐに「令和5年度 第1回 いじめ問題調査委員会(前年度からの通算回数は6回目)」が開かれることも教育委員の誰も知らない(あるいは関心が無い)のではないでしょうか(知っていたら、さすがに確認くらいはするでしょうから)。
その「いじめ問題調査委員会」は「会議開催のお知らせ」として市教委HPでも告知されています(ただし、傍聴は不可で、開催結果はHP等で公表されません)。

🔶上尾市の「いじめ問題調査委員」の状況
当ブログ記事No.260でもお伝えしましたが、まず、上尾市の「いじめ問題調査委員」の今年度の状況を整理しておきます(〇号委員の区分は上尾市いじめ問題対策連絡協議会等の設置に関する条例」によります)。

1号委員(弁護士)= 大澤一司 氏(今年度で5期目=委員として10年継続)
2号委員(医師) = 平山優美 氏(今年度で5期目)
3号委員(心理・福祉等に関し専門的知識を有する者)= 相川章子 氏(今年度で5期目)
4号委員(識見を有する者)= 森田直樹 氏(今年度初めて委員に就任)
5号委員(教育委員会が必要と求める者)= 和氣昭祐 氏 ※4号委員から変更
(今年度で5期目)

森田委員を除き、あとの4名の委員は今年度で5期目。委員としては10年連続です
このことについての弊害があるのかについても検証する必要があります。

以下は委員会への出欠状況です(情報公開請求にて入手)。

今年度の「いじめ問題調査委員会」への出欠状況(全5回中)
第1回 2022.06.09    第2回 11.17    第3回 11.30    第4回 2023.01.11    第5回 02.02
大澤一司 委員   第1回(✖) 第2回(✖) 第3回(〇) 第4回(〇) 第5回(〇)
平山優美 委員     第1回(✖) 第2回(✖) 第3回(✖)  第4回(✖)第5回(〇)
相川章子 委員     第1回(〇) 第2回(〇) 第3回(〇) 第4回(〇) 第5回(〇)
森田直樹 委員     第1回(〇) 第2回(〇) 第3回(〇) 第4回(〇) 第5回(〇)
和氣昭祐 委員     第1回(〇) 第2回(〇) 第3回(✖) 第4回(〇) 第5回(〇)

第1回は、具体的事案を調査するものではなく、基本的な方針を確認するものです。その回も含め、平山委員の欠席が多いのが目立ちます。この状況で本当に調査が可能なのか非常に気になるところです。
10年連続で同じメンバーで顔を合わせていれば、「なあなあ」「まあまあ」になり、欠席が許される「ゆるい」状況が生じていたとしたら、とんでもないことです。

以下、「いじめ問題調査委員」に関して情報公開請求した内容と結果について示します。

🔶不可解な人選について情報公開請求

(情報公開請求の内容)
1号委員~5号委員について、2022(令和4)年度の就任にあたり、各種団体・機関等に推薦依頼を発出したことが判別できる文書・資料等。
(結果)
「文書不存在により非公開とする」

まさか「文書不存在により非公開(処分)」とされるとは考えませんでした。
いじめ問題調査委員の任期は2年ですので、2年ごとに所属する機関や勤務先等に推薦の依頼をしているものとばかり考えていました。
なぜなら、4期目には次のような推薦依頼をしているからです。
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つまり、1号委員であれば、従来の流れは

弁護士会に推薦依頼 → 大澤氏が推薦される → 委員に就任

しかしながら、今回の情報公開請求により、

上尾市教育委員会は弁護士会に推薦依頼をしていなかった!

ということが露見しました(他の委員についても同様)。
これは上尾市教育委員会による明らかな「サボリ」であると言えます。

また、和氣委員は4号委員から5号委員に変更になっていますが、それは、和氣氏が人権擁護委員を辞めていたことが分かり、後から委員の区分を変更したという、何ともお粗末な対応であったということも明らかになりました。

🔶こんな状況で、きちんとした調査ができるのでしょうか?
「いじめ問題」は、当事者・関係者にとっては非常に深刻な問題であり、場合によっては今後の人生を左右しかねない問題です。
それが「大人たちの都合」での「いい加減な対応」「欠席ばかりの委員による調査」でお茶を濁されたら、たまったものではありません。

今後の予定も含めての対応については、個人名等を除き次のとおり公開されています。
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🔶川口市では調査委が報告書提出
折しも、川口市 いじめ訴え生徒が自殺した問題で調査委が報告書提出」(クリックでNHK 首都圏 NEWS WEB に飛びます)ということで、次のことが報道されています。

《いじめを受けたと訴えていた埼玉県川口市の当時15歳の男子生徒が「教育委員会は、大ウソつき」などと書き残して4年前に自殺した問題について、調査委員会が報告書をまとめ、市の教育委員会に提出しました。》

上尾市教育委員会も、「いいかげんな教育委員会」と言われないように、当事者・関係者にとって誠意ある対応をしてもらいたいものです。