市教委が定例会での審議無しで『中学校における部活動の方針』を公表

上尾市教育委員会(事務局)による、またもや疑念を生じさせるおかしな動きです。

上尾市立中学校に係る部活動の方針(令和5年3月改定)』が上尾市のHP:トップページの〖新着情報〗で公表されています(2023.05.16    5:15 a.m 現在。なお、市教委HPの新着更新情報には掲載されていません)。しかしながら、この『部活動の方針』は教育委員会定例会の審議を経ていないのです。
上尾市教育委員会のHPのメニューには各種の「方針」が掲載されています(この中には『上尾市立中学校に係る部活動の方針』平成30年版もあります)。
これらの『方針』は、本来であれば教育委員会定例会での審議・採択を経て決定すべきですが、『部活動の方針』は全くそうした経緯(手続き)がされていないのです。

なお、当ブログ記事を投稿した後、この『部活動の方針』は市のHPから削除される可能性があります。

【追記】
*やはり、この『部活動の方針』は、5月12日付けの市HP[新着情報]から削除されました。当ブログで予想したとおりの展開になっています。さらに、情報公開請求をしたことを受け、5月18日付けで市教委のページに『部活動の方針』が掲載されています。

そこで、当ブログでは、現時点で公表されている『部活動の方針』をPDFファイルで示したうえで、このことの問題点についてお伝えします。

No.274

🔶『部活動の方針』を市のHP〖新着情報〗で公表
以下は上尾市HP〖新着情報〗です(2023.05.16    5:30a.m現在)。
(新着情報内印 はブログ館主によります)

上尾市立中学校に係る部活動の方針(令和5年3月改定)』の中身は以下のとおり。
(PDFファイル。表紙・目次を含めて全10頁。改頁機能がありますので、カーソルで最下部の矢印  をクリックすれば最後まで目を通せます)

上尾市立中学校に係る部活動の方針

このとおり、表紙には「令和5年3月改定 上尾市教育委員会」と記載されています。
それにもかかわらず、私(当ブログ館主)も傍聴した上尾市教育委員会3月定例会の会議録や資料を見ても、『上尾市立中学校に係る部活動の方針(令和5年3月改定)』なるものは影も形も無いのです。

そうなると、当然次の疑問が生じます。
Q.この『方針』は、誰が「改定」したのか?
Q.教育委員会定例会の審議を経ずに公表しているにもかかわらず、なぜ発行者が「上尾市教育委員会」となっているのか?

🔶『上尾市立中学校に係る部活動の方針』の中身とは
今回の方針改定の背景として、次の説明があります(『方針』1頁より抜粋)。

*少子化が進展する中、学校部活動を従前と同様の体制で運営することは難しくなってきており、学校や地域によっては存続が厳しい状況にある。
また、専門性や意思に関わらず教師が顧問を務めるこれまでの指導体制を継続することは、学校の働き方改革が進む中、より一層厳しくなる。

この説明は、何か違和感を覚えると思ったら、昨年11月の室伏スポーツ庁長官による記者との懇談(テキスト版)ほとんど写しでした。

室伏スポーツ庁長官による記者との懇談(2022.11.29)テキスト版より(該当部分を引用)
… 少子化が進む中で学校単位での運営が厳しくなっていること、また必ずしも専門性や意思に関わらず教師が顧問を務める指導体制の継続は学校の働き方改革が進む中に困難な状況にあると…(以下略)

『方針』の前段では、室伏長官の発言「学校単位での」を省略しているので、非常にわかりにくい文章となっています。
後段に「専門性や意思に関わらず教師が顧問を務めてきたこれまでの指導体制」とあり、これも室伏長官の発言をそのままパクっていますが、上尾市でも「今までの顧問の決め方は、専門性や本人の意思を考慮しないものだった」ということが明らかになるものです。

『方針』の3頁には、「部活動の方針の策定等」として次の記述があります。

ア 校長は、市方針(注:この『部活動の方針』を指す)に則り、毎年度、「学校の部活動に係る活動方針」を策定する。部活動顧問は、年間の活動計画(活動日、休養日及び参加予定大会日程等)並びに毎月の活動計画及び活動実績(活動日時・場所、休養日及び大会参加日等)を作成し、校長に提出する。
イ 校長は、前記アの活動方針及び活動計画並びに活動実績を学校のホームページへの掲載等により公表する。また、毎月の活動計画は、各部の保護者へ配布等により周知する。

ア では、顧問は部活の計画やら活動実績やらを校長に提出することになっています。時期は「毎年度」とだけ決められていますが、毎月の活動計画を出すということは、年間計画は年度当初に提出することになるでしょう。これは明らかに働き方改革(提出書類の精選)に逆行するものです。
イ では、「毎月の活動計画を保護者に配布する」のは誰なのか、校長なのか顧問なのかが明示されていません。

🔶教育委員会定例会での審議状況
今年3月の教育委員会定例会では、以下の議案が審議されています。

『上尾市学校施設更新計画基本計画の改定について』が議案となっています。
このように、通常は『方針』を策定したり「改定」する際には教育委員会定例会で審議するのです。

また、昨年8月教育委員会定例会では次の議案が審議されています。

以上のとおり、例示した教育委員会定例会では、「ある方針についての改定案」については議案として審議されています。

補足すると、2番目の例として挙げた『上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針の改定について』は、当ブログのNo.235記事でもお伝えしたとおり、元となる「基本方針」が2年前に議案にならなかったにもかかわらず、「改定案」がいきなり議案になった、という経緯があります。

🔶教育委員と定例会を軽んじた動き
今回の動き=「改定案」を教育委員会定例会に議案としてかけていないにもかかわらず、「令和5年3月改定」として上尾市のHPに公表していることは、今まで以上に悪質であり、結局は教育委員と定例教育委員会を軽んじた動きであると言わざるを得ません。

こうした動きは、定例の教育委員会での審議が《20年間異議無し・全員一致》であることや、教育委員の質問や意見が結局は「当たり障りのない」ものであることに起因しているのは間違いないでしょう。同時に、上尾市教育委員会事務局の本質が露呈した結果であると言えます。

5月の教育委員会定例会は5月25日です。議案や報告事項の項目は5月19日に市教委のHPに掲載されるでしょうから、5月定例会での議案の内容にも要注目です。

🔶教育委員会事務局の見解を確認する必要があります
以上のとおり、『上尾市立中学校に係る部活動の方針(令和5年3月改定)』が教育委員会3月定例会の審議を経ずに市のHP〖新着情報〗で公表されたこと、また、同方針の中身についての作成までの経緯や市教委事務局としての見解については確認する必要があります。

これらの問題点等については情報公開請求を通じて、できるだけ明らかにさせ、その結果については、後日当ブログの記事としてお伝えします。