「企業版ふるさと納税」事業での教育総務課長の不可解な「専決処分」

上尾市は「地方創生の取組を更に推進するため」という目的で「企業版ふるさと納税」の制度を活用した企業からの寄附を募集しています(担当:行政経営課)。
しかしながら、市が実施する多くの事業の中から、どれを「企業版ふるさと納税」の対象とするかについて調べると、かなり怪しいことがわかってきます。
とりわけ、教育総務課が候補として挙げた事業については、
なぜこの事業を対象にしたのか?
いったい誰が決めたのか?」との疑念が生じます。
今記事では、「企業版ふるさと納税」事業をめぐる、教育総務課の不可解な対応などについてお伝えします。

No.278

🔶「企業版ふるさと納税」って何?
「企業版ふるさと納税」については、上尾市のHP(行政経営課)に、次のように説明がされています。

*地方自治体の行う地方創生の取組に対して、企業が寄附という形で応援した場合に、税制上の優遇処置が受けられる仕組みであること。
上尾市内に本社が所在する企業については、対象とならない
*企業側のメリットは、「上尾市のHPにて寄附企業を紹介」「感謝状贈呈」など。
*寄附額は1回10万円以上。

🔶寄附を募集する事業とは
上尾市のHP(行政経営課の頁)には、「令和5年度上尾市企業版ふるさと納税対象事業一覧」(①~⑭)が掲載されています。

ア.[活力にあふれたにぎわいあるまちづくり事業](一覧表の
イ.[明日を担う人が育つまちづくり事業](一覧表の ② ~ ⑦
ウ.[魅力があり安心して暮らすことができるまちづくり事業](一覧表の ⑧ ~ ⑭

企業版ふるさと納税」制度の対象となるのは、上尾市 まち・ひと・しごと創生推進計画に位置づけられる事業とされています。
では、イ.[明日を担う人が育つまちづくり事業]〖具体的な事業〗を見てみましょう。
(具体的な事業の例)
・結婚に関する情報提供等
・結婚支援及び妊活・妊娠から子育てまで切れ目ない支援の充実
・保育人材の確保及び資質向上と処遇改善
・児童生徒一人一人の確かな学力の育成  
となっています。

🔶教育総務課が「選んだ」事業とは?
次に、上記の「企業版ふるさと納税対象事業一覧」のうち、「連絡先」が教育総務課となっている事業とは何なのか見ていきます。
教育総務課が「選んだ」事業は次の2つです。

事業 事業内容 目標金額
⑥民間スイミングスクールを活用した水泳授業モデル事業 民間スイミングスクールを活用し、水泳指導を委託する水泳授業のモデル事業を実施します。 27,970,000 円
⑦中学校特別教室冷風機設置事 中学校の特別教室(理科室、美術室等)に冷風機を整備します。 2,904,000 円

なぜ、この2つの事業なのか、非常に疑問です。
[明日を担う人が育つまちづくり事業]の〖具体的な事業〗として例示されている「児童生徒一人一人の確かな学力の育成」とも直接は関係が無いように思われます。

 🔶エアコン請願が採択されたのに「冷風機」とは?
そもそも、当ブログNo.239記事でもお伝えしたように、上尾市議会で「小中学校における特別教室及び給食調理室へのエアコン設置に関する請願」が全員一致で採択されているにもかかわらず、「中学校の特別教室に冷風機を整備する」という発想自体、市民と市議会を軽視していると言えます。
しかも、この予算自体、「令和5年度予算書」には掲載されていないのです。
別の資料「予算の概要」には申し訳程度に載っていますが、肝心の予算書への記載はありません。つまり、市民が予算書を見ても、分からないのです。

🔶「誰が」「なぜ」この2つの事業を選んだのか?
〖誰が〗
「スイミングと冷風機をふるさと納税対象事業としたのはなぜか」&「なぜ冷風機の予算を令和5年度予算書(「中学校費」は P.142) に掲載しないのか」ということについて、教育総務課に質問をしました。
明確な回答はありませんでしたが、わかったのは、次の点です。
教育総務課長が「専決」事項として(=教育総務課長の判断で)スイミングと冷風機を「ふるさと納税対象事業」として選んだ

〖なぜ〗
教育総務課長が「専決事項」として「スイミングと冷風機」を、なぜ「ふるさと納税対象事業」に選んだのかについては、現在までのところ明確になっていません
それほど不可解な動きであると言えます。
そこで、私(当ブログ館主)は、市長と教育委員会に対して、次のとおり情報公開請求をおこないました。

(市長あて)
上尾市HPの行政経営課のページに、2023年5月29日更新として「上尾市企業版ふるさと納税について」という記事が掲載されています。このことに関連して、以下の情報の開示を求めます。
「令和5年度上尾市企業版ふるさと納税対象事業一覧」には①~⑭までの事業が掲載されていますが、「なぜその事業が対象事業となったのか」についての理由や経緯が判別できる文書・資料等。
(教育委員会あて)
上尾市HPの行政経営課のページに2023年5月29日更新として、「上尾市企業版ふるさと納税について」という記事が掲載されています。この中の「連絡先 教育総務課」に関連して、以下の情報の開示を求めます。
「令和5年度上尾市企業版ふるさと納税対象事業一覧」の内
⑥ 民間スイミングスクールを活用した水泳授業モデル事業  
⑦ 中学校特別教室冷風機設置事業
以上について、なぜ教育総務課としてその事業を企業版ふるさと納税対象事業としたのか、その理由や経緯が判別できる文書・資料等。

これらの情報公開請求については、行政経営課&市教委からの「処分(=結果)」が出されしだい、当ブログでお伝えしていきます。

🔶6月議会の一般質問でも「ふるさと納税」が取り上げられます
現在開会中の上尾市議会。
6月20日一般質問の項目を見ると、お二人の議員が「ふるさと納税」について取り上げる予定になっています。
当ブログでは、とりわけ 池田達生議員 の一般質問に注目しています。


今記事では「企業版ふるさと納税」について、他にも事業はあるにもかかわらず「なぜ教育総務課長は専決処分で2つの事業を選んだのか」という疑問についてお伝えしました。

この疑問の「その後の状況」については、上述の議会答弁や、情報公開請求の結果等も含めて、後日当ブログでお伝えしていきます。