上尾市採用の「法務官」に寄せられた市役所内各課からの相談とは?

上尾市役所に「法務官」という職員が置かれていることをご存知ですか?
法曹資格を持つ「法務官」は、総務課に配属され、市役所の各課からの法的な相談事を担当しています(市民相談室の各種相談の担当とは異なります)。
今記事では、昨年度、上尾市役所内のどの課が、どのような相談をしたのか、その件名
について、入手した資料に基づいてお伝えします。

No.277

🔶「法務官」が採用されたのは2020年4月から
上尾市の「法務官」は、以前当ブログNo.116記事でお伝えしましたが、2020(令和2)年度から採用(任用)されています。当初は2年間の「特定任期付職員」でしたが、現在は任期が3年間延長されています。

🔶昨年度の相談は49件
では、どのような相談件名だったのか、「法律相談受付簿」を見てみましょう。
昨年度1年間の相談件数は49件でした。
(PCでご覧の方は、表の下部にズーム機能があります)
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このとおり、ざっと見ただけでも、様々な相談が寄せられているのがわかります。

🔶相談件数が多いのは施設課と環境政策課
全部で25課が法務官に相談していますが、2回以上相談している課を、多い順に並べてみましょう。

施設課    6回
環境政策課  6回
みどり公園課 4回
道路河川課  4回
保育課    3回
下水道施設課 3回
建設管理課  3回
指導課    3
交通防犯課  2回
高齢介護課  2回

施設課の相談件名は「不動産の貸借や売買」が多く、環境政策課の相談は広範囲に及んでいるのがわかります。みどり公園課と道路河川課もそれぞれ4回ずつ相談をしています。

🔶教育委員会事務局からの相談は
指導課・学務課は「学校でのトラブル」について法務官に相談しています。
法律相談受付簿」では、件名のみ記載されていますので、具体的な内容は現時点では把握できませんが、気になる相談ではあります。
また、指導課はALT派遣業務についての相談もしています。ALTを学校に派遣することについては、当ブログNo.275記事でもお伝えしましたが、高額の委託料を払っているのですから、質の高いALTの配置が求められます。

機会があれば、教育委員会事務局関連はどのような相談であったのか、深掘りしてみたいと考えています。

🔶著作権についての相談
「著作権」についての相談も3件ほどありました。
*高齢介護課は「アッピー元気体操の著作権」
*議事調査課は「議員が配布する資料の著作権」
*指導課は「オンライン授業での著作権や肖像権」 についてそれぞれ相談しています。

「著作権」や「肖像権」については、日頃から相当意識していないと、ブログやSNSなどの発信で「深く考えずに使用してしまった」ということになりかねません。
当ブログNo.254記事でもお伝えしたように、著作権について軽く考えるのは禁物です。
とりわけ、署名入りの新聞記事などを丸ごと転載することは、明らかに著作権を侵害することになるので、厳に慎まなけばなりません。

[著作権にかかわるこぼれ話]
上尾市役所HPのトップページ(上部)に使われている写真ですが、「上尾のPR大使」とかいうスポーツ選手の写真が掲載されていることも多いですね。「〇〇選手が何とかの大会で優勝!」など、あたかもスポーツ新聞の見出しのようです。
広報広聴課への情報公開請求で判明したことですが、たとえばある陸上選手が優勝した際に掲載された写真は、その大会に出場した時のものではなく、いわゆる「拾い(=ネットに出ている画像を借用すること)」だということがわかりました。
また、現在市のHPのトップページに掲載されている「みんなでつくる子育て世代が輝くまち あげお」のイメージ写真(赤ちゃんと母親)ですが、出典はこちらになります。
このサイトは、無料会員に登録すれば「写真素材」が使え、有料会員になれば使える素材が増えるというシステムのようですが、市役所として登録するのはどうなのでしょうか。
企業の宣伝に使われるということもあり得ますので、あまりにも安易と言える対応ではないかと思われます。これについても、情報公開請求を通じて調べてみたいと思います。

🔶「マイナンバーカード紛失」についての相談は?
今記事で取り上げたのは、「法務官」に昨年度寄せられた相談です。
では、今年度はどうでしょうか?
やはり気になるのは、例の「マイナンバーカード紛失」事案ですが、現在、上尾市役所のトップページには掲載されていないのです。トップページの上には「マイナンバーカード関連情報」と大きく出ていますが、そこをクリックしても「マイナンバーカード紛失」についての経緯と謝罪についての記載が見当たりません。

そこで、広報広聴課に問い合わせをしたところ、次のような回答が届きました。

お問い合わせの件について、回答いたします。

4月28日に判明いたしました、交付前のマイナンバーカードの紛失につきましては、市民の皆様への周知を図るため5月10日から1週間程度トップページ「重要なお知らせ」に掲載いたしました。
市ホームページコンテンツは随時更新し、最新情報を掲載しておりますので、現在はトップページではなく、市民課の「課からのお知らせ」に掲載をさせていただいておりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

「マイナンバーカード紛失」は大問題にもかかわらず、「重要なお知らせ」に掲載された期間がわずか1週間とは驚きです
まさか「法務官」からのアドバイスではないと思いますが、相談したことは確かでしょう。この問題は、「重要なお知らせの掲載期間」を含めて調べていきたいと思います。

🔶「法務官」だけに頼るのは避けてほしい
上尾市役所内で各課が相談する際、「法務官」の意見のみに依拠するのは避けたほうがよいと思います。「法務官」の意見のみを絶対視せずに、あくまでも「法曹資格者の意見」ということにとどめ、自分たちも行政実例や判例、識者の見解等を調べたうえで、基本的には市民の立場からの対応が求められるのではないでしょうか。