市教委指導課による[学校図書館支援員]への《酷すぎる所業》とは?
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昨年12月、上尾市に採用されている[学校図書館支援員]の方から、《指導課に共済加入を強要され、断ったらボーナス無しに》との相談を受けました。
そこで、相談を寄せていただいたAさんと連絡をとりつつ、情報公開請求なども活用しながら調べていったところ、市教委指導課による[学校図書館支援員]への、あまりにも酷い所業が明らかになりました。
今記事では、このことについてお伝えします。
(長めの記事ですが、すべて事実ですので、じっくりとお読みください)
No.313
🔸[学校図書館支援員]とは
[学校図書館支援員]は、上尾市の「会計年度任用職員」として雇用されています。
上尾市内の小中学校に配属され、仕事の内容は「司書教諭または学校図書館業務を担当する教員の職務の補佐」とされ、市内で計26名の方が任用されています。
[学校図書館支援員の勤務条件]
次の資料は、昨年4月1日現在の学校図書館支援員の勤務条件説明書です。
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この勤務条件説明書は、「初めて学校図書館支援員として働き始める」という方の場合の令和5年度の『勤務条件説明書』です(情報公開請求により入手しました)。
勤務する際、令和5年度についてはこの説明書のとおり変更無いと考えるのは当然のことです。とりわけ、基本的な次の事項
*任用期間 : 令和5年4月1日~令和6年3月31日 *勤務時間 : 1日4時間 *勤務日 : 週5日(予定勤務日数 194日) *期末手当 : 支給あり(上の勤務条件説明書では「中略」の部分に記載) *共済組合(健康保険組合) : 加入無し |
これらの事項について、ある日突然「3か月前に遡って社会保険に加入するようになりましたのでよろしく」あるいは「週5日勤務の条件をを週4日にしますから」、さらに「勤務条件説明書では期末手当支給と書きましたが、支給はしません」などと軽々しく変更はできないはずです。
ところが、そのあり得ない話が実際に起こったのです。
🔸市教委(指導課)から伝えられた「酷い話」とは
指導課による「酷い話=条件が無いにもかかわらず、共済組合(社保)への強制加入」を、時系列で整理してみましょう。いずれも、相談者Aさん側から見た事実関係です。
*R5.04.06 「任命書」 & 『勤務条件説明書(上記)』各手交される。
*R5.10.23 「報酬等(=時給)改訂について」文書受領。
※埼玉県の最低賃金引上げによる時給のボトムアップにより、
時給が改訂された旨の連絡(70円プラスされた)。
(勤務条件説明書の報酬部分のみ変更=説明書の差し替え)
*R5.11.24 学校図書館支援員研修会にて、指導課職員からの連絡あり。
「次年度から、月8.8万円を一度でも超えたら扶養を外れる」
*R5.12.12 指導課による市内各学校への訪問開始(校長同席)
指導課の言い分→「社保加入についての不備があった」&
「共済組合&厚生年金加入をR5.10.1に遡って手続きしてほしい」
*R5.12.14 Aさんが勤務している学校=指導課2名来校
(Aさん)「加入要件を満たしていないので社保加入はできない」
=月8.8万円超えず&130万円の壁も超えていない。
以上について説明を求めたが、指導課は「上尾市の決まり」と言うばかり。
それどころか、次のように言い渡されました。
「加入しないなら、10/1から週4日勤務にし、12月の期末手当をカットする」
まさに「酷い話」ですが、さらに続きます。
*R5.12.21 『勤務条件説明書』の差し替えのために指導課職員来校
※『勤務条件説明書』は、どう書き換えられたのでしょうか。
*週5日勤務 → 週4日勤務(年間予定勤務数が消されました) *期末手当支給あり → 期末手当支給なし *雇用保険あり → 雇用保険なし |
(以上の他、指導課職員が持参した文書)
■「令和5年度学校図書館支援員勤務計画 1~3月分」
■「R6.1.23 学校図書館支援員研修会について」文書
(上記文書に《R5.10.23付け『勤務条件説明書』は研修会で回収》との文言有)
※同じく社会保険非加入を選んだ支援員でも、これらの文書をもらっていない方もいる。
→ チグハグな対応に終始。
■結局、R6.1.23の研修会でも納得いく回答は無し。
🔸当ブログへの相談を受けて
相談者のAさんはじめ、学校図書館支援員の方たちに対するこのような指導課の「酷い対応」について、私(当ブログ館主)のできる範囲で「この問題を何とかしたい」と考え、実際におこなったことを挙げてみます。
〇情報公開請求(相談の翌日12/24に市教委宛て請求書提出)
※全2ページあります。改頁&拡大機能あり(最下部)
12-1
〇職員課に問い合わせ
会計年度任用職員の社保加入の件で職員課に問い合わせをしました。
以下、その回答です(12/28付け)。
1.雇用保険への加入判断 次のうち、すべてに該当する場合 ☆ 1週間の勤務時間が20時間以上である。 ☆ 任用期間が31日以上となっている。 (継続して計31日以上任用されることが見込まれるときを含む) |
2.共済組合・厚生年金への加入判断 次のうち、すべてに該当する場合 ☆ 1週間の勤務時間が20時間以上である。 ☆ 学生ではない。 ☆ 任用 期間が2カ月超の予定である。 (通算2カ月超の任期の更新がある場合を含む。) ☆ 1ヶ月あたりの報酬等額は 8.8万円以上 である。 (※賞与や時間外手当、通勤手当は含めません。) |
以上の「情報公開請求」と「職員課への問い合わせ」により、なぜこのような事態となったのかについて、しだいに明らかになってきました。 それは次のように整理できます。
★2022年の10月に〖公立学校共済組合〗から、会計年度任用職員の社会保険加入に関する文書が上尾市に届いていたが、その内容について、担当課である指導課が何らの対応もしなかったこと。
★この問題が露見したのは、職員課が指導課に対し「学校図書館支援員への期末手当支給」について確認をしたことに端を発したものである。つまり、指導課は上記の件も含めて、頭の隅にも無かったことになる。
★年度当初、学校図書館支援員に手交した『勤務条件説明書』の内容について、指導課が自らのミスを取り繕うため、恣意的に変更したこと。
★会計年度任用職員の社保加入に関しては、職員課の説明がすべてであること。
🔸学校図書館支援員を困らせた市教委指導課
以上が昨年秋からの事実関係ですが、指導課による一連の「酷い所業」によって、学校図書館支援員が困ったことを挙げてみます(上述の時系列と重複する事項もあります)。
★社保加入条件(上述の職員課回答)を満たしていないにもかかわらず、指導課は、学校図書館支援員からの質問にも耳を貸さずに「上尾市の決まり」と言うだけであったこと。
★問題が発覚してから1か月以上も経った1/23の研修会の席上でも、指導課は「持ち帰り、確認します」と繰り返すばかりであった。
★社保加入を断れば「週の勤務を5日→4日に変更。12月期末手当無し」にされた。
また、10月に遡って雇用保険の解約も勝手に行われた。
★これらのことから、強制的に差し替えられた10/1付けの『勤務条件説明書』には、10月から3月までは週4日勤務とされてしまった。実際は10月~12月は当初の契約どおり週5日の勤務であったことから、明らかに文書の改ざんだと思われる。
★上記のことを指導課に伝えても「市が決めたこと」「加入できない人の救済措置」などと言うばかりである。
🔸週5日を週4日に変えられて困っていること
今記事の冒頭でもお伝えしましたが、学校図書館支援員は、児童・生徒の授業の一環としての学校図書館利用の支援のために採用されています。
相談者Aさんが勤務日を週5日から週4日に変えられて困っていることを挙げてみます。
🔸学校応援団の図書ボランティアさんの活動日に勤務が無くなり、読み聞かせや掲示物作成をお願いしておきながら、当日は参加できない。多忙な主幹教諭にお願いせざるを得ない。コロナが明け復活した図書ボランティアさんとの大事な時間がなくなった。 |
🔸2月に3学期の図書イベントが控えており、図書委員会さんや司書教諭と準備を進めているが、時間が足りない。 |
🔸今まで月1回さくらメールで発行していた『図書室だより』を発行することができない(時間がない)。 |
🔸現在までの状況
情報公開請求や職員課への問い合わせはしたものの、解決していないため、市議会の議員さんにも間に入ってもらいました。
その結果、Aさんから、2/15に私宛てに次のメールを受け取りました。
しばらくご連絡が出来ず、申し訳ございませんでした。
その節は大変お世話になりました。〇〇様(注:当ブログ館主である私のこと)のご助言のおかげで、私たち支援員は諦めず前を向く力を頂きました。 市長への手紙にも、数日前に返信が届きました。 ちなみに週4日にされ雇用保険を勝手に外され還付金まで出ていましたが、先日ハローワークで確認してきたところ、雇用保険は外されていませんでした。ただの指導課の辻褄合わせだった様。 |
このメールをいただいて、私もひとまず安心しましたが、今回の指導課の対応は疑問点ばかりが目につきます。メールの最後で投げかけられた疑問も、機会を捉えて確認をしていきたいと考えています。なお、文中にある「通知」は以下のとおりです。
(突如通知文に教育総務課長名が載っているのは「?」がつきますが)
また、学校図書館支援員の中で、以下の内容で市長に向けて手紙を出した方もいました。
社会保険加入の要件を満たしていないのに(大宮年金事務所で確認)、今回は「上尾市の運用で行う」という指導課の説明は、意図的に不正を行う行為ではないか。
社会保険料は労使折半のため、加入資格のない職員を加入対象とすることは費用の半分を税金から不正支出することになる。また社会保険や厚生年金による利益を職員に対して不正に与える事になる。非常に不信感を抱いてしまっている。 |
この手紙を受けて、市長からお詫びの手紙が届きました。
「この手紙により市長から返信があり、これも正式な通知につながったと思われます」と相談者のAさんも言います。
🔸残る課題
この問題は、ひとまず解決の方向に向かっているという見方もできますが、課題は依然として残っています。 Aさんは次のように続けます。
今現在、10月に遡って扶養を外れ、共済に加入をした多くの学校図書館支援員が、もう一度共済から外れ、以前の扶養に戻し、4月にあらためて共済加入をする手続きに向かうようです。
どうしてこんな事態になったのか、本当に不思議で仕方ありません。 共済加入を断った支援員には、未払いの賞与の支払いや、保険料を引かれた人への返金を速やかにおこなってほしいと思っています。 |
今回の一連の問題については、「指導課の不作為」と「誤った対応」がその要因であることは明らかですが、市教委指導課の「致命的な誤り」を指摘しておきます。
それは、「社会保険加入」は選択するものではなく、法令にしたがうものである、という点です。
また、指導課が「上尾市の決まり」あるいは「職員課からの指摘」を言い訳にするのであれば、その根拠を明確にするのは当然であり、当事者すべて(学校図書館支援員の家族も含む)の納得が得られるように指導課は対応すべきです。
当ブログは、引き続きこれらの問題に高い関心を寄せていきます。
🔸市民的視座から市政・教育行政を監視する必要があります
前の3記事で、当ブログは主に住民監査請求についてお伝えしてきました。
記事を読んでいただければお分かりのように、住民監査請求に至った要因は、指導課による「不作為」であったことは明らかです。
今記事で取り上げた事実もあり、市教委事務局の指導課への不信感はますます強まったと言えます。これからも、当ブログは市民的視座から市政・教育行政を監視していきます。
なお、ご相談や、市の内部通報等は当ブログの「お問い合わせ」経由でご連絡ください。
数日かかる場合もありますが、必ず返信をいたしますので、よろしくお願いいたします。