市内小中学校の修学旅行について「費用」の面から検証してみました

前記事では、上尾市教育委員会（事務局）が昨年度実施した「学校再編検討対象校に係るアンケート調査」についてお伝えしました。とりわけ、「子供たちの学びに望ましい学校について（自由記述）」の中の「修学旅行」に関する記述の信憑性について、教育委員会（事務局）として事実確認をしていないことも明らかにしました。
今記事では、昨年度の上尾市内各小・中学校の「修学旅行」について、アンケートに書かれていた費用面などについて、私（当ブログ館主）が情報公開請求で入手した資料等に基づいてお伝えします。

No.332

🔸アンケートの記述を検証しました
前記事で紹介したアンケートの記述をもう一度見てみましょう。
アンケートには次のように書かれていました。
「修学旅行について、人数が少ないため１人あたりの金額が割高　なのに　宿舎はランク・規模が他校より低い旅館で、従業員が少ないためか質素な食事メニューで、中規模・大規模校とはあまりにも違い、機会の平等性に欠けているのが実情だと感じた。」

では、このアンケート記述の信憑性を検証していきましょう。

🔸小規模校は修学旅行の費用が高いのでしょうか？
以下は、情報公開請求で入手した資料です（実際にはすべて公開されていますが、今記事では学校名と旅行業者名はアルファベットで表示してあります）。

（小学校）

（中学校）

【小規模校は、児童・生徒の人数が少ないため１人あたりの金額が割高】なの？
公表されているとおり、「学校再編検討対象校に係るアンケート調査」でアンケートの対象校としたのは　尾山台小・平方北小・大石南中学校です。

公開された昨年度の修学旅行一覧表から、次のことが分かります。

［小学校］
＊行き先は鎌倉（江ノ島・箱根）方面が３校・日光方面が１９校。
＊鎌倉方面と日光方面の費用については有意な差は無い。
＊アンケート対象校の平均は22,907円であり、全体の平均23,203円よりも低い。
＊費用額の最高額と最低額の差は7,538円（ともに日光方面）であった。

［中学校］
＊行き先は京都・奈良が１０校。広島・京都が１校。
＊京都・奈良方面と広島・京都方面との費用面の差は無い。
＊アンケート対象校の費用は、平均額とほとんど変わらない。
＊費用額の最高額と最低額の差は16,201円（ともに京都・奈良）であった。

以上のことから、当ブログでは、次の結論を得ました。
【小規模校は、児童・生徒の人数が少ないため１人あたりの金額が割高】とは一概に言えず、アンケートの記述は正確ではない、と結論付けられます。

🔸小規模校の修旅の食事メニューは平等性に欠けている？
この比較・検証は難しいですが、次のような情報公開請求をしました。

 以上のことについての情報公開請求に対して、下記の情報が開示されました。

アンケート対象校の３校以外の学校は、教育委員会事務局の判断により開示されました。
すなわち、児童・生徒1人当たりの宿泊費が最も高額であった小学校および中学校は、
鴨川小・原市小・原市南小・大石北小　＆　瓦葺中　ということになります。

私は、市教委事務局から示された、これらの学校の修学旅行の際の食事メニューを見てみました。次の画像は、上記の内、小・中学校１校ずつの食事メニューです（画像の✖印は原本のまま。宿泊施設名は消してあります）。


他の学校のメニューも見ましたが、私は、正直に言って「食事のメニューについて、それほどの差は認められない」と思いました。
そこで、【宿舎はランク・規模が他校より低い旅館で、従業員が少ないためか質素な食事メニューで、中規模・大規模校とはあまりにも違い、機会の平等性に欠けている】との記述は、そこまで断定できないのではないかと考えられます。

🔸検証を終えて
今記事では、前記事でお伝えした上尾市教育委員会（事務局）が昨年度実施した「学校再編検討対象校に係るアンケート調査」についての自由記述の中で、疑問が生じた記述について検証をしました。
「自由記述に書かれていた修学旅行に関する意見は必ずしも正確ではない」というのが当ブログの結論ですが、調べていく中で、とりわけ中学校で、学校によって16,201円もの差が生じていることがわかりました。
上の一覧表のとおり、修学旅行の費用は、小学校で２万数千円、中学校で６～７万円かかり、保護者にとっては大変な負担です。
学校によって、修学旅行の費用になぜ大きな差があるのかということも含め、当ブログでは引き続き情報公開請求等に基づいて、検証をしていきます。