西倉教育長は「いじめ重大事態」の被害者に直接謝罪をしてください

2022(令和4)年に市内A中学校で起きた「いじめ重大事態」。
この問題については、市教育委員会が設置した調査委員会の報告書が不充分であったことから、市民の議会請願によって「上尾市いじめ問題再調査委員会」(今記事では「再調査委員会」)が、それまでのメンバーを総入れ替えして立ち上げられました。
その結果、14回にわたる「再調査委員会」による会議を経て、先月(10月27日)、60頁におよぶ『調査報告書』(=『再調査報告書』)が公表されました。
しかしながら、『再調査報告書』を公表するにあたり、極めて重大な問題にもかかわらず、上尾市HPの「片隅」での公表に留まっていること、あるいは、新聞記事の「市教委はHPに公表した」という記述についての疑問も生じています。
今記事では、再調査報告書』と、被害者のご両親による『上尾市いじめ問題再調査委員会による調査結果に関する所見』(=『所見』)に関連してお伝えします。
※リンク先にも目を通すと長めの記事となりますが、最後までお読みいただければ、今記事のタイトルの意味がお分かりいただけると思いますので、じっくりとお読みください。

No.379

🔸疑問が生じる、市の『調査報告書』公表のしかた
冒頭で述べたとおり、「再調査委員会」による『調査報告書』については、極めて重大な報告であるにもかかわらず、市の公表のしかたに疑問が生じます。
第14回までの「再調査委員会」の会議結果については、市のHPのトップページ左側のメニューにある「上尾市の基本情報」から情報公開・会議の公開に進むと閲覧できましたが、肝心の『再調査報告書』がそのメニューに掲載されていないのです。

では、市HPのどの場所で公表されているのでしょうか。

上尾市HP(トップページ)→ 組織でさがす → 総務部総務課 → 上尾市いじめ問題再調査委員会報告書(10月30日更新)に進むか、あるいは検索窓で「いじめ問題再調査委員会報告書」と入力するしかありません。また、教育委員会のページにも掲載されていません

現在、「総務課のページ」で公表されているのは、調査報告書(公表版)と、被害者のご両親から市長に宛てた上尾市いじめ問題再調査委員会による調査結果に関する所見です。

市は、今までの「再調査委員会」の会議結果と同様に、「情報公開・会議の公開」メニューに掲載するべきではないでしょうか。

🔸埼玉・読売の各新聞には掲載されましたが、教委の対応は?
『再調査報告書』が公表されたことについては、10/28付埼玉新聞と10/30付読売新聞に掲載されています。埼玉新聞について見てみましょう。
(埼玉新聞)

上の画像は埼玉新聞の記事の一部です。著作権の問題があり、全文掲載はしていません。
新聞記事のタイトルにある、[上尾いじめ「非常に悪い」「不適切」]というのは、いじめ重大事態認定後の学校による保護者への対応や面談方法についての「再調査委員会」による評価のことです。
新聞記事では、「市教委は同日、市ホームページで公表した」と書かれていますが、これは誤りです。2025年10月27日前後の市教委のページ「新着更新情報」には『再調査報告書』のことについては、ひと言も記載されていません。なぜこのような新聞記事の記述
になったのかについては、資料を示したうえで、現在情報公開請求しています。

(毎日新聞ではweb版に掲載)
毎日新聞のweb版にも掲載されました(11/12付け)ので、リンク先を紹介します。
毎日新聞web版 「埼玉・上尾の中学いじめ報告書、再調査委「事実と異なる」と問題視」 

🔸[学校によるずさんな対応]と[教育長の無責任かつ冷たい態度]
公表された上尾市いじめ問題再調査委員会による調査結果に関する所見(青字クリックで全文読めます)を読み込むと、被害者生徒と保護者の心情が伝わってきます。
とりわけ、A中学校の違法な対応に加え、いまだに西倉教育長から被害者側への直接の謝罪が無い、あるいは関係職員の処分もいまだにされていないこと等への保護者の憤りが伝わってくる『所見』であると言えます。

今回、『再調査報告書』により、A中学校の「調査報告書」なるものについては捏造であることが明らかになっています。

『所見』では[再調査への要望に対する評価]として、4点にわたり検証をしていますが、ここでは、
[上尾市立A中学校の調査報告書はどこの確認も受けていない偽造文書である]
という事実関係について見ていきます。

[学校によるずさんな対応]
まず、2012年に定められた「いじめ防止対策推進法」の条文を確認します。

【法律】いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)
(いじめに対する措置)
第23条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。

この条文と、それに関連したA中学校の対応について、『再調査報告書』では次のように指摘しています(p22~23)。

いじめ防止対策推進法は、いじめの早期発見、早期対応を目的にしているが、これは、いじめ被害が継続的に発生しているような場合には、早期に発見、対応を行うことで、次なる被害の発生を止め、いじめの深刻化を防ぐことができるからである。(中略)
学校の特定の教職員が、いじめに係る情報を抱え込み、学校いじめ対策組織に報告を行わないことは、法第23条第1項の規定に違反し得る(A中学校の基本方針7~8ページ)と記載されている。

つまり、『上尾市立A中学校 いじめの防止基本方針』で、「いじめに係る情報を抱え込み、学校内のいじめ対策組織に報告を行わないことは、法第23条第1項の規定に違反し得る」と記載されていることがわかります。

『再調査報告書』では次のとおり事実関係について言及しています。

ところが、本件については、そもそもA中学校が認知してから聴取するまでの間、1週間もの期間が経過しており、いじめの早期発見・早期対応がされたとはいえない状況であった。その間、当該いじめの案件について、いじめ対策組織に報告されることもなかった。
(この期間に限らず、A中学校において、本件について、いじめ問題対策支援チームが実質的な活動を行なったことはなかったため、全期間を通じて当該機関に報告されたことはない)。

こうした事実だけ見ても、いかにA中学校の対応が杜撰なものであるかがわかります。

さらに『再調査報告書』は次のように指摘しています。

A中学校のいじめ調査報告書は、A中学校の校長が会議を経ることなく、主体的に作成したと認められる。ところが、報告書の記載を見ると、「3 調査の概要 (2) 調査組織及び構成員」として、「いじめ調査委員会」が記載され、構成員もスクールカウンセラーを始め多数の教員において行われた旨記載されている。実際には調査組織自体立ち上げていないのであるから、このような調査報告書の記載は、事実と異なる記載である。

『所見』では、この指摘に加え、次の事実についても言及しています。

(調査報告書の)P30 第8,6項記載の通り調査組織自体立ち上げていないことが明確に示された。
一方、🔲🔲校長が主体的に作成したA中学校の調査報告書には、実際には存在しない学校調査委員会の調査委員の名前が記されている。
🔲🔲校長含め数名の職員が、組織すらされていない いじめ調査報告書を捏造したことが明確となった。 

『再調査報告書』『所見』によって、A中学校では、校長を中心に違法な対応がまかりとおり、しかも作成された調査報告書も捏造であるという事実があらためて明らかにされたことは、私(当ブログ館主)にとっても驚きであると同時に、憤りを禁じ得ません。

『所見』のP2には、次のように記されています。

(調査報告書の)P18以降第6においてA中学校の対応が記されている。令和4年7月19日にいじめ重大事態となっていることを市教育委員会に報告していたが、当方へは何ら連絡がなく同年10月17日にその事実が伝えられた。この時に初めて校長が作成したいじめ調査報告書が提示された。本調査報告書でP30 第8,6項(5)記載の通り、調査実体のない虚偽の内容が記載された報告書が捏造された。

また、この記述のすぐ下には、刑法156条の条文が示されています。


この条文からも、A中学校の対応が違法であることは明白です。

[教育長の無責任かつ冷たい態度]

『所見』では、「上尾市教育委員会について」と題して次の記述がされています(文中の「注」と色替え強調は当ブログ館主によります)。

(調査報告書の)P39第9以降に記載されているが、いじめ重大事態に対して市教育委員会として中学校側に連絡をするよう助言をしていた形跡はあるものの、市教育委員会と中学校との連絡がうまく取れておらず状況を放置したことが記載されている。また、同2項では上尾市教育委員会が上尾市長宛(令和4年7月29日付)及び埼玉県教育局南部教育事務所長宛(令和4年8月31日付)で報告した文書では、いじめの場所が実際には下校途中の通学路であるにもかかわらず、教室前廊下及び校舎内廊下と記載されており、明らかに誤った内容が市長、県教育局に報告されている。
本来決して間違えてはならない内容を、上尾市教育委員会は事実確認も十分にせずに杜撰な対応をしていたことが明らかにされた。原調査委員会(注:再調査委員会の前の「いじめ問題調査委員会」)においても、学校側の数多くの不適切な点が指摘されたが、それに対して上尾市教育長からの謝罪は一切ない

『所見』のこの指摘にあるとおり、西倉上尾市教育委員会教育長から被害者側に対する謝罪は全く無いのです。西倉教育長は2022(令和4)年の4月から現在まで教育長であることから、このいじめ重大事態については、最初からの経緯を(A中学校のずさんな対応などを含めて)知っているはずです。それだけに、

西倉教育長の態度は到底許されないものであり、すぐに被害者本人やご両親に直接(面と向かって)謝罪すべきです。

🔸いまだに処分がされていないという事実
さらに『所見』では、次のとおり指摘がされています。

法、ガイドライン、基本方針に対する数々の違反については原調査委員会(注:再調査委員会の前の「いじめ問題調査委員会」)においても、再調査委員会においても指摘されている。
原調査委員会の調査報告書に伴う当方の所見において、上尾市教育委員会ならびに当該職員(🔲🔲校長、🔲🔲教頭、🔲🔲教頭、🔲🔲担任)の処分を求めたが未だに処分は下されていない。
今回再調査委員会においても明確な法令違反、不適切な対応が数多く指摘されている。調査実体のない虚偽の内容の報告書を捏造した当該職員(🔲🔲校長、🔲🔲教頭、🔲🔲教頭、🔲🔲担任)並びに統括する立場のある上尾市教育長の処分を改めて強く求める。

上記の関連で『所見』では、具体的に「埼玉県懲戒処分の基準」も示されています。

当ブログは、この『所見』で述べられた被害者側の考えに全面的に賛成します。
時間も経過していることから、A中学校の関係者が他の学校に異動していることや、場合によってはすでに退職してしていることも考えられます。しかしながら、違法な対応をしたという事実は消えるものではありません。

🔸引き続きこの問題について強い関心を寄せていきます
この「いじめ重大事態」の問題については、当ブログ以前の記事でも取り上げてきました
No.288記事No.289記事No.305記事No.310記事など)。
当ブログをお読みの方には、ぜひ以前の記事にも目を通していただき、上尾市の教育行政の実態に目を向けていただきたいと考えています。

また、冒頭で紹介した埼玉新聞記事では、畠山市長が「答申いただいた報告書と、保護者の所見をよく精査して対応したい」と述べたことが紹介されています。
11月末の市長選の結果がどうなろうと、現市長のこの発言を受けて、今後どう対応していくのかについて監視していく必要があります

今記事では、2022(令和4)年に起きた「いじめ重大事態」について『再調査委員会』からの『再調査報告書』と被害者のご両親による『所見』が公表されたことを受けて、市HPでの扱い、新聞発表などの事実関係に言及しました。さらに、A中学校、上尾市教育委員会、教育長による許しがたい対応などについてもお伝えしてきました。
『再調査報告書』『所見』が公表されたことで、市教育委員会と教育長が今後どのような対応をするのかについては、随時情報公開請求等をおこない、事実関係等を明らかにしていきます。

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