「給食費無料化」の具体化に言及しない教育委員&市教委事務局

今記事では、10月の教育委員会定例会を傍聴して私が気づいたことをお伝えします。なお、前記事で予告した「小中一貫校の視察」の問題については、字数の関係もあり、次回以降に掲載します。

No.190

🔷市民からの請願についての報告は?
10月定例会の概要はこちら(「会議録」は来月公開されます)。
上尾市議会9月定例会については、相変わらず教育総務部長と学校教育部長が恣意的に選んだ一般質問と答弁の資料を棒読みするだけでした。

市民からの請願については、「図書館における無線LAN設置に関する請願」と「小中学校給食費無料化に関する請願」がそれぞれ採択された旨教育総務部次長から報告がされました。しかしながら、請願の趣旨に沿って、実際にどのようにすすめていくのか、あるいは、どのように検討していくのかについては、担当課である図書館や学校保健課からは全く言及がありませんでした。

🔷質問ひとつしない教育委員たち
可決された請願、とりわけ「小中学校給食費無料化に関する請願」について、「具体的にどのようにすすめていくのか」「今後の見通しはどう考えているのか」などの質問が教育委員からあってもよさそうなものです
が、そうした類の質問は皆無でした。

このような、言わば市民にとって「普通の考え」が通用しないのが今の教育委員たちの実態なのです。
私は近年ほぼ毎回教育委員会の会議を傍聴してきて、明確になった事実があります。それは、[上尾市の教育委員会(定例会)は、事務局からの提案を追認するだけの装置である]ということです。
(ただし、「今のところ」だと思いたいです。人が変わり、教育委員会のシステムが変われば、現状のようなことは解消されるはずです。)

給食費の無料化については、担当課(おそらく学校保健課)で検討し、原案を作成し、形になってから初めて教育委員が「当たり障りのない」質問をして、追認するというパターンになるでしょう。
肝心なことは、「いつまで検討を続けるのか」「どこまで無料化とするのか」などの具体策ですが、そうしたことは担当課に委ねられることになります。今の状況では、教育委員会のたびに「給食費無料化の進捗状況はどうなっているのか」などと教育委員たちが自ら質問することは、残念ながら期待できません。

🔷では、どうするか - 市民的視座から開示請求を
おそらく、教育委員会事務局(学校保健課)は、給食費の公会計化も併せて検討に着手すると思われます。ただし、ほおっておけば、検討に入る時期すらわかりません。

私が市民として出来るのは、「給食費無料化の進捗状況について、定期的に情報開示を求めていく」ということです。
すでに10月28日付けで「給食費無料化への対応について」の情報公開請求を電子申請しました。その請求内容を次に示します。

(1)9月30日に「小中学校給食費無料化に関する請願」が上尾市議会で可決されてから、本情報公開請求書が受理されるまでの約1か月の間に、この請願についてどのように対応するのか、上尾市教育委員会で検討したことが判別できる文書・資料等。
(2)請求人は10月21日の教育委員会定例会を傍聴しましたが、この請願が可決したということは教育総務部次長から報告がされましたが、実際にどう対応するかについては誰からも言及がありませんでした。そこで、なぜ教育総務部長や次長、あるいは担当課である学校保健課から、この請願に関しての今後の対応について教育委員会10月定例会で報告されなかったのかが判別できる文書・資料等。
(3)今後、この請願についてどう対応していくのかが判別できる文書・資料等。

この情報公開(=行政文書公開請求)については、11月11日頃までに公開・非公開の決定(「処分」と言います)がされる予定です。
その通知書は面談のうえ、私に手渡されます。
もしも「文書不存在により非公開処分」となった場合も含めて、進捗状況を確認することができますが、行政側の動きが具体的に見えてくるまで、1~2か月に一度くらいずつ、定期的に情報開示を求めていくことが必要であると私は考えています。

コロナ対策の際、学校現場の教職員が校内を消毒しなければならない事態が発生しました。私は情報公開請求を通じて、専門の業者に頼むべきであると主張しました。珍しく教育委員からも同趣旨の発言が教育委員会定例会であったにもかかわらず、学校保健課は具体的に対応することはしませんでした。つまり、「学校保健課は、あてにならない」ということからも、継続して進捗状況を確認していく必要があるのです。

🔷教育委員の「変化の兆し」?
10月の教育委員会を傍聴して、「あれ?」と思ったことがあります。
それは、「上尾市学校施設更新計画基本計画調査特別委員会」に出席した内田みどり教育委員の発言です。それは次のようなものでした。

(調査特別委員会に出席しての感想を含めての内田教育委員の意見)
*更新計画については、5人の教育委員の中での話し合いが必要であると感じました。また、教職員から多くの意見を聞かせていただきたいとも思いました。

この発言を聞いて、私は「教育委員の間で議論が無いことが、やっと分かったのですか」と思いました。議員からの質問にまともに答えることもできず、たとえば小中一貫教育についてお互いに話し合うことすらしていないという現実を「初めて」認識したということなのでしょう。
それに加えて、私が9月議会に提出した陳情書(記事No.180参照)の中で、次のように述べていることも少なからず影響しているでしょう。
なお、この陳情書については、教育総務課職員経由で、親展の封書にして教育長と各教育委員には渡してあります。

 「上尾市教育委員会の委員の定数を定める条例」により、上尾市の教育委員は現在5名となっています。
けれども、実態としては、教育委員会の会議においては、教育委員同士による「議論」は皆無であり、事務局から提案された事項について一言二言質問やコメントをするのみであって、提案された事項を追認するという状況が少なくともここ20年にわたり続いています。上尾市の教育に責任を持つ教育委員であれば、教育委員同士での教育論議があってしかるべきだと思われることから、教育委員会会議での活発な議論を喚起する一つの方法として、教育委員の定数増員を求めるものです。なお、それにともなう教育委員報酬については、条例改正を経て、総額での減額を求めます。

 内田教育委員が遅ればせながら自分たちの現状に気づき、態度や姿勢を変化させていくというのであれば、今後は、本気になって教育委員同士の議論を深めることです。
何よりも、「20年間全員一致・異議なし」という事実は極めて異常な事態であるということを認識することから始めなければなりません

それに加えて、次の点も重要であると私は考えます。
今回の「給食費無料化に関する請願」に代表される、市民から出され、市議会で採択されたた請願について深い関心を寄せたうえで、その進捗状況や今後の見通しなどについて、教育委員会定例会の席上で質問するくらいの最低限の見識は教育委員として当然必要であることを自覚することです。