図書館行政について ー5/1を休館日にした本当の理由ー
No.14
🔷知る権利
国民にとっての『知る権利』とは、憲法で定める基本的人権のひとつであると言えます。また、一般的に『知る権利』というと、情報公開制度と結び付けて考える場合もありますが、一方では、私たち市民がさまざまな情報や文化的資料等を入手しようとする意味での『知る権利』を行使する際に「図書館」の果たす役割は多大なものがあります。
図書館に関する法律としては「図書館法」があり、その直接の根拠は「社会教育法」第9条に<図書館及び博物館は、社会教育のための機関とする>と定められていることによります。そのため、上尾市教育員会のHPにも「図書館計画」が記載されています。
館の住人(このブログの筆者)も、図書館をよく利用します。そのほとんどは上尾市図書館(本館)か、県立図書館(久喜)です。
上尾市図書館は、市議会でも問題になった「ガラスブロック落下防止工事」の関係でつい先日まで12日間臨時休館でしたが、図書館利用者にとっては「休館日」がいつなのかが気になります。
🔷「休館日」から見えてくる「上尾市図書館の真実」
上尾市図書館は、通常月曜休館で、それ以外(年末年始など)は図書館のHP等で通知されています。その他の理由(上述のような館内工事など)の際は、イレギュラーな形での臨時休館となります。
少し前になりますが、2019.05.01(新天皇即位日)を、上尾図書館は休館日としました。
上尾の図書館だより「はる号(4・5・6月号)」の 「図書館カレンダー」には、「5月1日(水・天皇即位の日)は全館休館します」とだけあり、これが表向きの「理由」のようでした。貸出のカウンターにも同様のメモが置いてあり、係の方からは「5月1日は休館です」と口頭で告げられただけでした。
調べてみると、近隣市町の05.01の開館状況は、さいたま市(改修中1館を除く)、桶川市、伊奈町、川越市、県立図書館(久喜・熊谷)いずれも開館。
「天皇即位日」との理由で休館としたのは、草加市(志木市も休館でしたが、その理由は「館内整理のため」)。つまり、県内の図書館がおしなべて05.01を休館としたのではないのです。
きちんとした理由を知りたいので、情報公開請求により、起案・決裁文書等の開示を求めました。
🔷「本当の理由」は、カウンター業務にあたる職員のシフトの問題
公開された「起案・決裁文書」により、次のような事実が判明しました。
(1)上尾市図書館規則に従えば、2019.4.23から05.12まで連続で20日間開館することになり、今までそのような長期連続開館の前例は無い。
(2)カウンターの業務は「上尾市都市開発株式会社」と委託契約を締結し、同社スタッフ(全員女性)が従事している。図書館に勤務の傍ら、育児や介護にあたる者が少なくない。
(3)05.01を休日とする法律の付帯決議に、「当該期間中の長時間労働の抑制」が言及されている。
(4)連休中は帰省等によりシフト勤務できるスタッフ数が限られる。
(5)「上尾市都市開発株式会社」からは、当該期間中の勤務ローテーションを組むには困難な部分がある旨、相談が寄せられている。
以上のことから、05.01は「天皇即位の日」だから休館にしたわけではなく、カウンター業務にあたるスタッフの勤務シフトの問題であったのです。
ここには、≪上尾市図書館が非正規のスタッフに頼らざるを得ない≫という、図書館利用者には見えにくい「上尾市図書館の真実」が見えてきます。
🔷市教委は、非正規職員に依拠しなければならない実態を検証すべき
上尾市図書館規則で「(図書館長は、特別の事情があるときは)臨時に休館日を定めることができる」とされていることから、今年の長期連休については、4/30と5/7を休館にすべきであったのではないでしょうか(今さら遅いですが)。
上尾市図書館を、利用者のためにこれからどのようにしていったらよいのかを考えるとき、職員や現場スタッフの問題を抜きにして図書館のあり方を論じることはできないと思われます。
そのためには、市民のための社会教育を担う役割がある上尾市教育委員会は、現在のような非正規職員に依拠せざるを得ない実態をすぐにでも検証すべきであり、市民の目線に立った図書館にしていくための努力をすべきです。
利用者が情報や文化的資料、様々な文献等を入手しようとするときに、知の集積としての「図書館」の果たす役割は重要です。
実は、上尾市図書館には、今回触れた「休館日」以外の問題や課題も多々あります(たとえば、「レファレンス・サービス」の問題や、図書館非正規スタッフを束ねている「上尾市都市開発株式会社」にまつわる問題など)。それらのことについては別の稿で指摘し、問題提起していきたいと考えています。
加えて、「非正規スタッフに依拠している」実態は、図書館に限ったことではなく、上尾市立学校の現場でも同様なことが起こっています。県費負担の教職員(正規職員)ばかりでなく、市費の臨時的職員や支援員(非正規職員)が今の学校を支えていると言っても過言ではありません。そのことについても後日お伝えしたいと思います。
お世話になりましてありがとうございます。
図書館本館は、わたし的には青春の思い出の建物なのです。
ご利用者ですからこその問題点、ご教示いただきまして、ありがとうございます。
ご訪問、ありがとうございます。
休館日ひとつ取り上げてみても、県内には月に1回しか休館日が無い図書館もあります。
見たい本を提案してもらえるはずの「レファレンス・サービス」も、本館のカウンター脇に
場所はあるようですが、機能していない実態です。
利用者にとって最善の図書館になるよう、相当な努力が必要ですね。