「いじめ問題」上尾市教育委員会は被害者側の要望に沿った対応をせよ
市内中学校で起きた「いじめ問題」。
新聞各社は、上尾市の「いじめ問題調査委員会」が公表した資料等に基づき、この問題を一斉に報道しました。加害側の行為は明らかに犯罪であり、「学校と市教委が被害者生徒と保護者の意向に沿う対応をしたのか」を検証していかなければなりません。
今記事では、事実関係を時系列で整理したうえで、被害者側の要望に沿うためにはどうしたらよいかを考えていきます。
※記事中、「事実関係の時系列での整理」の表があります。じっくりとお読みください。
No.288
🔷事実関係についての時系列での整理
当ブログでは、従前から「いじめ問題調査委員会」のあり方に関心を寄せており、とりわけ「いじめ問題調査委員の人選」に関しての記事を投稿してきました(No.266・No.260・No.253・No.130・No.40 各参照)。
各記事で言及したとおり、上尾市の「いじめ問題調査委員会」は、《調査委員の人選の不明瞭さ》という弱点を内包しています。
しかしながら、今回、「調査委員会」としては初めて「いじめ行為」について調査をしたわけですが、その報告書は弁護士である委員長を中心に、基本的には被害者の意向に沿ったものとなっています(一部、元校長である委員の発言に疑問符は付きますが)。
当ブログでは、今回の問題の事実関係を「調査委員会の報告書」、「被害者側の所見」、さらに情報公開請求で入手した資料に基づき、次のとおり時系列に整理しました。
※PDFファイルで全部で6ページあり、PC画面・スマホ画面ともにページ下部に「改ページ機能」があります(矢印をクリックすると次のページが表示されます)。
なお、スマホ画面で見ている方のために、下部の余白が多めになっています。
いじめ問題時系列での整理 原本
🔷市教委HPの記述の「欺瞞性」
上尾市教育委員会のHPに「上尾市いじめ問題調査委員会の調査報告書の公表について」が掲載されています(同頁の下部に以下のファイルが添付されています)。
調査報告書 [PDFファイル/1.78MB]
別紙 [PDFファイル/51KB]
保護者からの所見 [PDFファイル/239KB]
上尾市教委が示したこのページの文章自体は、多くの方はサッと目を通すだけなのではないかと思われます(SNSでもブログでもここに書かれている内容を検証している投稿は無いようです)が、果たして本当のことが書かれているでしょうか。
実は学校や教育委員会を擁護する中身になっているのではないでしょうか。
以下、具体的に見ていきます。
この短い文章の中に「対応してきました」が3か所も出てきます。では、この中の
該当中学校では、令和4年5月にいじめを認知し、解消に向けて対応してきました。
は本当でしょうか? 「調査報告書」の記述にある事実関係は次のとおりです。
*2022.06.09に「いじめ行為」が✖✖中学校の「生徒指導委員会」で報告され、学校側に認知されるが、これ以降、「いじめ問題対策チーム」の会議が開催されることはなかった。 |
*管理職は、本件いじめ行為の内容についての調査は完了したものと認識し、その後、本件いじめ行為の内容に関する調査は行っていない。 |
*夏休み前の最後の生徒指導委員会は7/4に開催されたが、その後本件いじめ行為について議論されたのは、夏休み明けの最初の生徒指導委員会が開催された8/29になってからであった。 |
*加害側の犯罪と認識しておきながら警察との連携を行っていない。 |
*校長名による「上尾市立✖✖中学校におけるいじめ重大事態に関する調査報告書」が被害生徒保護者に提示されたが、この報告書作成にあたって「上尾市立✖✖中学校いじめ調査委員会」を開催して内容を議論したことはなく、管理職以外のメンバーに内容の確認もしていない。しかも、教育長宛になっているにもかかわらず、提出されていない。 |
→ これでも学校側が「対応した」と言えるのでしょうか? 「対応した」とは真逆で、「不作為」と言うべきです。市教委による記述の欺瞞性が問われなければなりません。
次に、「2 対応」と「3 再発防止策」には何と書かれているでしょうか。
このとおり、「対応」として
「上尾市いじめ問題調査委員会」からの提言内容を具体的に取り組んでまいります。
とありますが、調査委員会からの提言は、「今後の再発防止」についてなのです。
上記の市教委の記述は、裏を返せば、今回のいじめ行為についての検証と関係者の処分等には触れずに、今後の取り組みを「再発防止策」のみに限定してしまうのではないかとの危惧が生じます。
市教委が「対応」と言うのであれば、次に挙げる「被害者の側からの要望」を第一に考えるべきなのです。
🔷被害者の側からの要望
被害者側から示された「上尾市いじめ問題調査委員会による調査結果に関する所見」で被害者の側が述べている要望は次のとおりです。
2 被害者の側から
これらは、いずれも被害者の側から出された、非常に重要な要望です。
要望のそれぞれについての進捗状況、すなわち「現在までにどのようになっているのか」について、当ブログでも高い関心を寄せていきたいと考えています。
🔷市長や教育長は直接被害者に謝罪をしているのか?
市教委は「再発防止のために」を強調するかもしれませんが、再発防止のために取り組みをするのは、言わば当然のことなのです。
重要なのは、被害を受けた方に対して、市教委や関係者はどう責任を取るのかなのです。
あらためて今回の「調査報告書」と市教委の対外的な公表の関係を見ると、
5月10日:最終の「いじめ問題調査委員会」開催
7月27日:「調査報告書」を市教委に提出
8月23日:市教委が「調査報告書」を公表
以上のような時系列になります。
最終の調査委員会から、かなり間が空いていますが、字句や表現の最終校正をおこなっていたと推測します(ただし、毎回市教委事務局が3~4名同席していますので、内容については教育長は把握していたはずです)。
また、市教委が「調査報告書」を公表した日は、市議会一般質問の通告日の前日です。
これでは、市議会の一般質問の項目にするには時間が無いでしょう。
「なぜ市教委の公表日が8月23日となったのか?」
「市長や教育長、教育委員は被害者に直接謝罪をしたのか?」
「市教委や関係者の処分は?」
当ブログでは、これらの疑問について《今回の「いじめ問題」で、上尾市教育委員会は被害者側の要望に沿った対応をせよ》という観点から、情報公開請求等を通じて明らかにしていきます。
①
報告書10ページ
市長は令和4年7月29日にいじめの重大事態の報告を受けたとあります。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一条の四で、総合教育会議でいじめの重大事態を市長と教育委員会は協議することと定めています。
しかし総合教育会議では、この件について全く協議されておらず、法律に沿った運用がされていません。
②
15ページ
当委員会としても・・必ずしも本件いじめ行為に関して警察署と緊急に連携を図らなければならない状況にあったと思わない。
しかしながら○○中学校は、本件いじめ行為が犯罪行為であると認識・・・
文部科学省2023年2月7日通知
「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について」
通知で、「犯罪行為として取扱われるべきいじめなどを生徒指導の範囲として学校で対応しようとする考え方を改め、速やかに警察に通報すること」を求めています。
上尾市いじめ問題調査委員会自体が、文科省通知と異なる考え方であり、上尾市教育委員会も重大事態について警察との連携を否定しているように感じられます。
同通知では、犯罪行為として取扱われるべきいじめは、警察に通報することを保護者にあらかじめ伝えることを学校に求めています。
これも守られていないようです。
コメント、ありがとうございます。
ご指摘のとおり、今回のいじめ問題に関しては、法令に抵触していると思われる事実が多々あります。
昨年度、総合教育会議は 2022.11.22 と 2023.01.25 に開催されており、会議録も公開されています。
K.Kさんがおっしゃるとおり、議題となっていません。
また、警察との連携に関する文科省の通知も上尾市教委は無視しています。
被害者側も、今回の「いじめ行為」とそれに対する学校側の対応が「いじめ対策推進法」に則っていないこと、また、市教委から市長への報告に2週間も要していることが「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」とは異なる対応であることを指摘しています。
これらの法令やガイドラインを無視した対応については、情報公開請求等により、明らかにしていかなければならないと考えています。
上尾市コンプライアンスハンドブックの冒頭で、市長は西貝塚環境センターの不正入札、元市長の土地のブロック塀などを公費で撤去・新設した2件の不祥事を謝罪しています。
その上で「こうした事実を厳正に受け止め、今後二度とこのようなことを起こさないよう、日頃から、職員の綱紀保持の周知徹底を図るとともに、職員の不祥事等を未然に防止するための再発防止策として、職員のコンプライアンス意識の徹底や要望の記録・保存などを盛り込んだ、「上尾市職員倫理条例」を本年3月に制定いたしました」と説明しています。
しかしこの趣旨が理解されず、市長を含め市職員のコンプライアンス意識は向上していないと感じています。
更なる追及をよろしくお願い致します。
コメント、ありがとうございます。
被害者側への心からの謝罪を含めた対応が求められる中、市長・教育長・教育委員・学校(校長)それぞれが謝罪したという話は伝わってきません。
とりわけ、「再発防止」で逃げおおせようとしている教育委員会については、とことんまで追求していくつもりです。
今後とも、情報の共有等、よろしくお願いします。
何故こうも不合理や理不尽にまともな対応が出来ないのか?憤りが募ります。
個々の面では館の主人が指摘されていますので、おおむね理解できます、丸一年余りが過ぎて被害を受けた生徒がどのように傷つき、中学という青春の真っただ中をどのような気持ちで過ごさざるを得なかったかと思うと、管理者の責任のいい加減さを呪いたくなります。
繰り返しますが、被害者本人そしてその家族、更に言えば加害者としても大事な発達期において、管理者の対応のいい加減さに、両者ともやりきれない思いを生涯しょって生きることに繋がることになるのではと思うとやり切れません。
当事者として、なにをしなければならないのか、その自浄能力が鋭く問われていることをどうか自覚してくれるよう、追求しなければなりません。
NUM 様
コメント、ありがとうございます。
NUM 様
コメント、ありがとうございます。
被害生徒やご両親の心情を考えると、やりきれないのと同時に、管理者側に対して強い憤りを覚えます。
今回のいじめ事案について、被害者側に真剣に向き合っているのかどうか、甚だ疑問です。
市長・教育長・教育委員・市教委事務局・校長教頭らは被害者側に心からの謝罪をしたのか、する予定なのか。
被害者側からの要望にどう対応するのか。それらについての情報公開請求をおこない、本日受理されました。
行政側は、「これからの再発防止策をどうするか」に話を持って行きたいのでしょうが、今回のいじめ事案については、まだ終わっているわけではありません。
これからも、私は情報公開請求等を通じて、行政側や管理者側の責任を追及していくつもりです。