「市民ワークショップ」に参加して残った「疑念」&「モヤモヤ感」
10/10の午前中に文化センターでおこなわれた「新しい時代の学びにふさわしい学校づくり」市民ワークショップに参加しました。
参加しての感想ですが、簡単に言えば「疑念(とりわけ、数字の信憑性への疑念)」&「結局、市教委事務局はワークショップで何をやりたかったの?」という「モヤモヤ感」が残りました。
今記事では、「市民ワークショップ」の様子と、市教委の動きに対する、市民に広がる活動の一端をお伝えします。
No.243
🔷「市民ワークショップ」進行への「モヤモヤ感」
私が参加した回の「市民ワークショップ」の参加者は16名でした。
このワークショップは傍聴が可能で、日程は市教委HPに掲載されています。
(すでに終了した大谷地区では、午前中8名・午後3名ということです)
当日の「次第」は以下のとおりです。
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開始にあたって、市教委事務局から「司会進行は(委託会社である)㈱地域総合計画研究所がおこなう」旨伝えられました。
参加者はあらかじめ決められた4つのグループのいずれかに分けられ、私は委託会社内部のリーダーらしき司会進行者がいるグループに割り振られました。
会が進む中で明らかになるのですが、委託会社の進行者は、①学校や市教委の現状について全く理解していないこと ②参加者の発言を平気で遮ること などの点から「モヤモヤ感」が残りました。
🔷「質問は個別・途中休憩なし」は意図的ではないか
委託会社のスタッフからは、「全体にかかると思われる質問以外は、個別に市教委担当者を呼ぶ」との説明がありました。つまり、グループ別の「協議」の中で出た質問については、市教委事務局職員を呼ぶというのですが、後述する私の質問にはまともに回答がありませんでした。
また、次第を見ればお分かりのように、開始(9時半)から、閉会(12時予定だが実際には10分超過)の間、全く休憩時間が設定されていないのです。
これでは、アンケートを書く時間もありません(仕方なく、閉会してからチョチョっと書きました)。さらに、私の推測ですが、「休憩が無い」というのは、グループの参加者同士(4名)の交流をさせない意図があると思われます。
もし、短時間でも参加者同士の話ができれば、お互いに「ここは変だ」「ここがわからない」という率直な意見交換が可能となり、後半の協議にも生かせるはずです。
おそらく、委託会社は、「参加者同士が話をする時間を与えないほうが、協議が主催者側のペースで運ぶ」という経験値を得ており、今回の対応になったのではないでしょうか。
🔷教育委員会担当課で異なる数字への「疑念」
私が質問したのは、まず、配布された資料「上尾市学校施設更新計画基本計画(骨子案)」に掲載されている児童・生徒数の見込み数です。
これが、8月3日に「書面審査」された「上尾市立小・中学校通学区域審議会」配布の資料と異なるのです。
R9年度 児童・生徒数の見込み数
「基本計画骨子案」(教育総務課)=15,129人
「通学区域審議会」(学務課担当)=15,414人
「なぜ数字が異なるの」という質問に対しては、進行係(委託会社)はむろん、市教委事務局も答えられませんでした。
同じ教育委員会事務局でありながら、数字が違うのは解せません。児童・生徒数の見込み数は計画の基本ですから、根拠を示し、統一してもらいたいものです。
🔷学級数の見込みが発行物により異なる不可解さ
全体的に何を言いたいのかわからない説明でしたが、唯一、今後の統廃合についての方針が示されている記述があります。それが以下の内容です。
「子供たちの学びに望ましい学校規模の維持」(学校規模の適正化方針) |
*住民基本台帳を踏まえた児童生徒数・学級数の見込みにより、小学校においては、全ての学年で1学級(全体で6学級[特別支援学級を除く])の状態が5年以上継続することが見込まれる学校の統廃合を検討します。
*中学校においては、教科担任の配置が困難となる8学級以下の状態が5年以上継続することが見込まれる学校の統廃合を検討します。 |
どの学校が今後該当する見込みなのか、ということは市民の強い関心を呼ぶと思いますが、具体的な話は出されませんでした。
上尾市教育委員会発行の刊行物で「児童・生徒数・学級数の見込み」の記載があるのは、『令和3年度 上尾の教育』と、上述の「通学区域審議会資料」があり、どちらも、今後の児童・生徒数と学級数の年度推移の見込みには特別支援学級を含んでいるのです。
※『上尾の教育』冊子は容量が大きいのでリンクを貼っていません。ご覧になりたい方は、市教委HPの左側下部にあるメニューから閲覧を(学級数の推計は「資料編」の P124・P125)。
以下は、『上尾の教育』記載の学級数の推計です(小学校)。
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※学級数の推計は通学区域審議会資料でも同様です。
この学級数の推計から、「全体で6学級が5年間継続」とした場合、特別支援学級を入れるか入れないかで、該当する学校の数が変わってきます。特別支援学級を入れた場合だと、現状ではどの小学校も統廃合の検討対象とならないことになるのです。
ワークショップ席上、私からの「なぜ特別支援学級を含まないのか」という質問に、市教委事務局からは明確な回答はなく、強い疑念が生じました。
🔷参加者からは数々の疑問や意見が
「ワークショップ」の最後に出された、各グループからの質問や意見は次のとおりです。
*上尾市独自の少人数学級は考えないのか?
→必要な教員の数が集まらないので考えていない(なぜ教員が集まらないのかについては言及無し)。
*市民アンケートの回収率が低い(34.7%)のではないか?
→配布対象者に高齢者が多かったので、(自分には関係ないと思い)回答が少なかった。
*11/12「考える集い」講演の講師(長澤悟氏)をなぜ選んだのか?
→文科省の「学校施設検討部会長」だから。
*骨子の説明がよくわからなかった。
*説明が長い。
*ハード(施設)の説明が多く、ソフトの視点が見えてこない。
*複合化のメリットはあるのか。
*小中一貫教育がよくわからない。
*子ども食堂との連携が必要。
*特別教室にエアコンが設置されていないことの説明がない。
*充電するためにだけPCタブレットを持ち帰っている現状。
*アンケートがどう生かされるのかが疑問。
*オンライン授業がすべて出来ているわけではない。
*「モデル校」が先行してしまうのではないか。
*今日の資料だけでは目的が明確でない。
etc.
まだまだありましたが、「骨子案」への肯定的な意見は少なく、むしろ問題点が多く出されたように思われます。
さらに、アンケートの速報版に掲載されている「学校再編の是非」については、議会の調査特別委員会においても「誘導質問ではないか」との疑義が出されているものです。
それにもかかわらず、アンケート結果として独り歩きさせようとする市教委の姿勢は看過できません。
🔷市民の統廃合問題への関心が広まりつつあります
このような「不可解」とも言える市教委の動きに対しては、地域での「学校統廃合」についての関心が広まりつつあります。
上尾市の学校統廃合を考える地域の会(準備会)が行なった「学校統廃合について西宮下住民の声を聴きました」というチラシを見てみましょう。
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このように、教育委員会の動きに対して疑問を持ち、地域の市民とともにこれからの教育のあり方を「市民目線で」考えていく活動はとても大切です。
当ブログでは、引き続き「学校統廃合」「小中一貫教育」「水泳授業の民間委託化」などの問題に強い関心を寄せ、情報公開請求などで入手した資料等に基づき、多くの市民に上尾市教育委員会の「不都合な真実」をお伝えしていきます。