投票は国民の権利であり尊重すべきですが、投票したい人がいない場合は…
11月28日は上尾市長選と市議補選が実施されます。
ですが、正直に言えば、市長選に関しては、積極的に「この人に投票しよう」と思える人がいないのです。また、市議補選に関しては、新聞報道では、2人が立候補の準備をすすめているということです。
今記事では、市長選に関連して思いついたことを書いていきます。
No.193
🔷公職選挙法における「無効投票」の扱い
私は選挙権を得てから、ただの一度も棄権したことはありません。
ただし、誰に投票してよいか選べずに、投票用紙に「該当者なし」と書いたことは今までに2回あります。では、「該当者なし」と記入するとどうなるのか、公職選挙法を見てみましょう。
公職選挙法第68条(無効投票) |
衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については、次の各号のいずれかに該当するものは、無効とする。 |
一 所定の用紙を用いないもの |
二 公職の候補者でない者又は第八十六条の八第一項、(中略)の規定により公職の候補者となることができない者の氏名を記載したもの |
三 (略) |
四 一投票中に二人以上の公職の候補者の氏名を記載したもの |
五 (略) |
六 公職の候補者の氏名のほか、他事を記載したもの。ただし、職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。 |
七 公職の候補者の氏名を自書しないもの |
八 公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの |
※(略)に興味のある方は、e-GOV 法令検索(公職選挙法)をご覧ください。
すなわち、「該当者なし」や「白票」は、公職選挙法第68号の八の「公職の候補者の何人(なんぴと)を記載したかを確認し難いもの」と扱われ、無効票となりますが、投票者総数にはカウントされます。
前々記事で、弁護士の竪十萌子さんの発言「選挙の投票率を上げるには、(政治的判断が出来る)高い国民力が必要」を紹介しました。
それは全くその通りであり、学校でも主権者教育に取り組む必要があると思います。ですが、立候補者の選択肢が狭くなればなるほど、「この候補者しか出ていないのか」と思ってしまうことも否定できません。
選挙で投票するのは国民の権利であり、投票率が今よりももっと高くなっていかなければ、政治は良くならないでしょう。
それには、「この人に投票しよう」と納得させるだけの候補者が出ていることが条件になるのではないか、と考えてしまいます。
🔷候補者の実績や公約を見ると
では、今回の市長選の立候補者の掲げている実績や公約はどうなっているのでしょうか(新聞折込チラシを参照)。
ここでは、私なりの観点、すなわち、情報公開請求から判明した事実等に基づき、特に気になる点を見ていくことにします。
畠山稔候補 |
(新型コロナ実績)県保健所や医療機関との綿密な連携で自宅療養者を支援 |
※県議会でも明らかになっているように、埼玉県の保健所は24保健所4支所から、政令市・中核市を合わせても17か所へと減らされてきました。 上尾でも、以前あった保健所が無くなりました。 畠山候補は県議の時に、この問題に対して質問や提言はしたのでしょうか。 |
(子育て世代が頑張れるまち)小中学校に通う第三子以降の給食費負担軽減 |
※これは9月議会での給食費無料化の請願が可決したことによると思われますが、いつから実施なのかが書かれていません。 先日私が情報公開請求した範囲では、学校保健課に特段の動きは無いことから、「来年度から実施する」など、明言すべき公約です。 |
(誰もが納得できる老朽化する公共施設の再整備)学校施設の更新計画は一旦凍結し、再編案をゼロベースで見直し、良質な教育環境を実現 |
※先日の市議会「調査特別委員会」でも指摘されたように、「一旦凍結」の意味が不明確です。市長選が終わったら「凍結は解除します」という方針になるのではという不安は拭えません。しかも、「老朽化する公共施設の再整備」の項目に入っており、教育問題として捉えるという姿勢は見られません。 |
深山孝候補 |
(チラシ表面)自民党との太いパイプにより国・県との強固な関係を築く。 |
※自民党との太いパイプは、どこにつながっているのでしょうか。許しがたい方言・失言・失政だらけの麻生・安倍・甘利とか?私からすれば真逆の世界です。 |
(チラシ裏面)災害対策、医療の充実で、安心安全な生活を |
※表面にある「新型コロナウイルス対策」が、チラシ裏面にはひと言も書いてありません。保健所の問題やブースター接種などの具体策は? |
(チラシ裏面)情報公開と説明責任の徹底で、市民の理解を促進 |
※「情報公開」については、当ブログで何度も指摘しているとおり、上尾市情報公開条例に基づくべきです。その第1条では、「市民の知る権利を尊重し…市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市政に対する市民の理解と信頼を深め、及び市民による市政の参加の充実を推進し、公正で開かれた市政の発展に寄与することを目的とする」とあります。したがって、「市民の理解を促進」というレベルではなく、市民が市政に参画するための情報公開条例が定められているのです。 |
もうひとつ、私が注目したのは、畠山候補の「活動報告」の「8.スポーツ環境の整備」に記載されている「オリンピック聖火リレーを誘致し、全中学校にトーチの巡回展示」というところです。
このことについては、当ブログでも情報公開請求を通じて、独自に情報を入手し、批判的記事を投稿しました。
それがこちら(記事No.132)⇒「[市内中学校/聖火トーチ弾丸ツアー]言い出しっぺは市長&副市長だった!」
無理やり強行したこの「聖火トーチ弾丸ツアー」、情報公開請求の結果開示された大石中の予定表によれば、「全校生徒が(聖火トーチを)各クラス1分で閲覧」となっていました。各クラス毎にわずか1分(60秒)見せたという事実については、果たして、これが誇るべき活動実績となるのでしょうか。甚だ疑問です。
現在私は、オリンピック関連で上尾市に別途情報公開請求をおこない、入手した資料の検証をしているところですが、市長といい、教育長といい、オリパラ関連イベントには並々ならぬ執着があるようです。
🔷どちらが市長になるにしても
私の場合、投票所に行くことは決まっていますが、投票用紙に何と書くかは、現時点での自分なりの「国民力」に基づき、これから考えます。
その際、畠山候補の公約の一つである「小中学校に通う第三子以降の給食費負担軽減」、「学校施設の更新計画一旦凍結、再編案をゼロベースで見直し、良質な学校環境実現」、あるいは情報開示の結果判明した「無理やり強行された聖火トーチ弾丸ツアー」などのプラス面・マイナス面を考慮することになりますが、今回は3度目の「該当者なし」と記入するようになるかもしれません。
市長選挙の結果がどうあろうと、当ブログでは、おかしいことはおかしいと指摘していきますし、「市民が市政に参画するため(上尾市情報公開条例第1条)」の手段としての情報公開制度を活用していくことには変わりはありません。もちろん、竪十萌子さんが指摘する「国民力」を自分自身もつけていくことは忘れないようにしていくつもりです。