情報公開請求を契機にして、上尾市の行政に少しだけ「改善の兆し」が

私が市に情報公開請求をおこなう理由は、上尾市行政や教育行政について「これはおかしいな」「本当のことが知りたい」と考えるからです。そして、このことは「ひとりの市民として」許された合法的かつ民主的な権利(=知る権利)を行使することでもあります。

もともと、「情報公開請求をせずとも、市の大半の情報を閲覧することができる」のが行政のあるべき姿であると言えるのですが、上尾市ではそうした「行政のあるべき姿」からは程遠く、むしろ「文書・資料の私物化=情報公開への消極的な姿勢」とさえ言えるような状況が温存されています。

情報公開請求についての手続きですが、通常は、情報公開請求を申請してから15日以内に「処分通知の手交」という段取りになります。ここで「通常」と書いたのは、開示文書等の量が多い場合や、何らかの理由で手間取った場合は、行政側は延長することが可能だからです(でも、めったにそういうことはありません。大抵は15日以内で公開・非公開の結論が出されます)。
「処分通知の手交」というと大げさに聞こえますが、「処分」とは行政用語で、端的に言えば、「開示・非開示の決定通知」を渡してもらうということです。
先方(行政の担当者)も、いきなり押しかけては仕事の都合もあるでしょうから、当然のことですが、日程を調整してから面談し、決定通知書が渡されます。その際、疑問があれば口頭で聞くことは可能ですし、要望があれば伝えることもできます。
なお、郵送での通知書の受領も可能ですが、コピー代を支払ったことが確認できしだい、文書等の写しが送付されることになります。

今記事では、そうした情報公開請求のプロセスの中で、私が要望し、改善の方向に向かっている具体例についてお伝えします。

No.227

🔶「上平地区複合施設検討委員」を報酬条例から削除
「高すぎる教育委員の報酬」については、当ブログで何度か指摘してきました。
その報酬の根拠となっているのが「上尾市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」です。

私が「これはおかしいな」と考えたのは、教育委員の報酬以外にもあります
それは「上平地区複合施設検討委員会」の委員への報酬です。

「上尾市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」より引用

このことについて、私は以下の内容で情報公開請求しました。

地方自治法第203条の2第5項の規定に基づき定められている「上尾市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(最終改正:令和4年3月30日条例第8号)、以下「条例」」には、(1)教育委員会委員~(58)児童発達支援センター嘱託医までの報酬に関して、別表で日額・月額・年額・その他が定められています。このことに関しての情報の開示を求めます。
(1)~(3)略(教育委員に対する報酬の算定基礎についての情報公開請求)
(4)「条例」第1条の2の(13)の4 上平地区複合施設検討委員会委員」については、市長の発言等からその役割は終了していると考えられます。にもかかわらず、現在もなお「条例」に残っていることについて、市民に対して合理的に説明できる文書・資料等。

上記請求書の中の「市長の発言」とは以下のとおりです(上尾市HPより引用)

上平地区複合施設につきましては、平成30年6月に一時中止となっておりました新図書館複合施設整備事業の見直しを表明して以降、上尾市上平地区複合施設検討委員会をはじめとする多くの市民の皆さまにご協力をいただき、令和3年3月に「上平地区複合施設基本構想」の策定に至りました。基本構想策定にご尽力いただきました皆さまに対し、まずもってお礼を申し上げます。

「上平地区複合施設基本構想」に基づき、令和3年度当初予算案に基本設計委託料を計上いたしましたが、市議会からは「上平地区複合施設に配置される各機能を再度見直すことを求める決議」により、基本設計委託料を除く形で令和3年度当初予算が可決されました。

市議会からの決議を重く受け止め、私は上尾市個別施設管理基本計画等評価委員会作業部会を組織させ、検討を進めるよう指示するとともに、昨年11月の市長選挙の際には公約として「23万市民のための上平複合施設構想の見直しを実施」を掲げたところでございます。

その結果、次の3点を上平地区複合施設の事業方針といたします。

1点目といたしまして、購入した土地につきましては、地権者の方々にご理解をいただき過去に取得したものであることから、有効活用することといたします。当面の間は上平広場としての利用を継続することといたします。

次に、2点目といたしまして、複合施設建設事業につきましては、市議会からの決議書にもありますとおり、コロナ禍における社会情勢や財政状況を総合的に判断した結果、今後は西貝塚環境センターの基幹改良工事など、既に事業化が決定しております財政負担の大きい公共施設の改修が控えていることから、これらの事業を優先することとし、誠に苦渋の決断ではありますが、複合施設建設事業は凍結することといたします。

最後に3点目といたしまして、同じく公約であります「誰もが納得できる老朽化する公共施設の再整備」に掲げるように、他の公共施設マネジメントとの整合性を図ることを優先し、図書館分館機能を含む複合施設とする案は撤回いたします。なお、再検討を始める際には改めて市民の皆さまの意見を伺いながら検討していきたいと考えております。

以上を上平地区複合施設の事業方針とし、引き続き、「みんなでつくる みんなが輝くまち あげお」の実現に向け、全力を挙げて市政運営に取り組んでまいります。

令和4年2月10日 上尾市長 畠山 稔

この市長の発言から考えれば、いまだに「上平地区複合施設検討委員会」の委員への報酬についての記載が条例に残存していること自体、おかしな話です。

それについて指摘すると、上尾市当局(担当=施設課)は、私の情報公開請求を契機に、この条例から「上平地区複合施設検討委員」について削除すると明言しました。
条例を変更するので、実際に削除されるのは秋くらいになるかもしれませんが、少しだけ改善の方向に向かったことになります。

ただ、依然として「上平広場」の使用手続きは図書館が担当していますので、これについても情報公開請求等を通じて、市役所内の担当替えの必要性を指摘していくつもりです。

🔶電子申請の「申請先」が簡略化へ
情報公開請求の手続きは、「紙」でもできますが、私はもっぱら電子申請を使います。
webで進んでいくと、「宛先」に行き当たります。

このように、宛先がたくさんあることがわかります。
ところが、実際のところは、開示請求の「宛先」が市長なのか教育委員会なのか、双方への請求が混在するなど、はっきりしないことがあります。
私は以前から宛先は「上尾市」に一本化すべきである、と要望してきました。
先日、その要望が受け入れられ、宛先は「上尾市」になるとの連絡を受けました。
6月23日現在、まだ画面は以前のままですが、近いうちに変わるはずです。
このことも、情報公開請求を通じて行政が改善された例と言えます。


◎今記事では、2つの具体例を示したうえで、「情報公開請求を契機に、市の行政や手続きが改善された実例」を見てきました。

他にも情報公開請求を契機にして改善の方向に向かった例としては、当ブログの以前の記事でお伝えした《”家族の世話もダメ!?” 上尾小学校の「在宅勤務要綱」》、あるいは学校のHPにメニューはあるものの、なぜか公開されていない状態が続いていたものについて指摘したところ、改善に向かった例などがあります(これについては、機会を見てお伝えしていく予定です)。