「市長への政策提言回答集」が公開されましたが、その回答とは…
上尾市の広報広聴課から「皆さまから寄せられた市長への政策提言回答集」(クリックで回答集が記載されている頁に飛びます。以下、今記事では「回答集」と略記)がHPで公開されました。ですが、公開されたものの、HPへの更新日の「記載の誤り」、回答の件数と肝心の回答内容の問題など、多くの疑念が生じるものとなっています。
今記事では、このことについてお伝えします。
No.238
🔷HP更新日の「記載誤り」は意図的でしょうか?
昨年(令和3年度)分の「市長への政策提言回答集」がなかなか公開されないという問題については、市民のブログでは「順次公開の文言が消えた」との指摘がされています。
広報広聴課の頁を見ると、HP更新日が8月30日となっています。
私は上述の市民ブログに「順次公開の文言が消えたのは、公開するというサインではないか」とのコメントを投稿しました。そうした経緯もあったことから、コメント投稿の時点(8月24日)以降毎日、広報広聴課のこのページを閲覧しています。
断言しますが、「回答集」が広報広聴課のHPに掲載されたのは9月9日の午前中であり、昨日(9月8日)の時点では掲載されていませんでした。
システム上の問題なのか、それとも意図的なのかは現時点ではわかりませんが、10日以上も前の日付をなぜ更新日としているのかについては、市のHP経由で広報広聴課に問い合わせています。
🔷「政策提言」の件数は、わずか7件?
6月議会での海老原議員の一般質問(会議録の中ほど)も「市民からの政策提言と問い合わせの扱い」についての質問が出されています(下記参照)。
6月議会/海老原直矢議員の一般質問より(概要) 回答者は市長政策室長 |
Q. 公表までの期間を短縮することについて |
A. 令和3年度分は現在(注:6月17日)準備中。今年度分は公表までの期間短縮を検討する。 |
Q. 市の振り分けを見ると、政策提言が7件、問い合わせが 1,004 件となっている。従前の「市長へのハガキ」の時は800件来ていた。つまり市長が目を通すのは、800件が7件になったのでは? |
A. 市政への問い合わせ制度では、回答する部署が投書を特に重要であると判断した場合、市長が決裁を行うこととしている。また、市政への問い合わせ制度における受付状況は、市長への政策提言制度と併せて令和3年度の1年間分を市HPなどで公表することを予定している。 |
「政策提言」の数がわずかに7件ということ、また、市長が実際に目を通すのは、この7件と「回答部署が特に重要であると判断した場合」ということです。まさに「激減」と言ってよいでしょう。
🔷回答集(7件)への回答は…?
では、本日(9月9日)公開された「回答集」の中身を見てみましょう。
概略を整理すると、次のようになります(下線部クリックで原文が閲覧できます)。
市長への政策提言(題目) | 政策提言への回答 |
1.生理用品の無償提供について | *今後の市民ニーズを踏まえて研究していく。 |
2.コロナワクチン予防接種の副反応による休業助成金について | *労働者の生活を守る観点から、感染状況や経済情勢等を踏まえ、研究していく。 |
3.上尾市内のドッグランについて | *他自治体での事例等を参考に研究していく。 |
4.上尾市の粗大ゴミ回収受付について | *現在、できる限り早期の改善が図られるよう課題を整理しながら検討している。 |
5.ゴミの有料化及び分別について | *伊奈町と共同で進める新しいごみ処理施設の建設に向け、プラスチックごみの分別収集とごみ袋の有料化は重要な課題であることから、今後も検討していく。 |
6.保育所の連絡網アプリ導入について | *災害時の情報伝達等が円滑にできるツールとなり得るのか、調査研究していく。 |
7.上尾市役所の駐車場、一部利用者有料化と警備員の安全確保について | *駐車場を有料化して市役所以外の利用者に開放することについては、満車の頻度が増える可能性もあることから、その影響について慎重に検討する必要がある。また、文化センターなどの駐車場が不足した際の開放や、災害時における一時的な避難場所としても活用していることを考慮する必要もある。 このような状況から、直ちに対応することは困難な状況ではあるが、収入面での効果も見込まれることから、調査研究に努めたい。 |
「政策提言」の内容については、「?」のつくものもありますが、市民からの提言なので、ここでは市側の回答に注目すると、市の姿勢が見えてきます。
🔷上尾市では「研究する」は、「すぐには対応しない」ということ
役所の議会答弁について、岐阜県中津川市発行の『「お役所言葉」改善の手引き』を目にしたことがあります。そこには、以下のように書かれています(抜粋)。
一番上にある「前向きに検討します」は、「できるだけ使わないようにする」とされています。おそらく、中津川市では、様々な経緯があり、「検討します」という答弁は説得力が無く、誠実さに欠けると判断した結果でしょう。
そういった視点から、市長への政策提言への上尾市の回答を見るとどうでしょう。
7件ある回答では、「研究」や「検討」の文言ばかりであることが分かります。
「研究していく」=3件
「検討している」=1件
「検討していく」=1件
「調査研究していく」=1件
「調査研究に努めたい」=1件
この中で「最も実現に近い」のはどれでしょう?
反対に、「最も実現から遠い」のはどれでしょう?
私の印象では、「検討している」と回答した、
4.上尾市の粗大ゴミ回収受付について が「最も実現に近い」かもしれません。
また、
7.上尾市役所の駐車場、一部利用者有料化と警備員の安全確保について
が「最も実現に遠い」と考えられますが、回答の中に「(駐車場の有料化は)収入面での効果も見込まれる」という文言が含まれているのが気になるところです。
◎今記事では、やっと公開された「市長への政策提言回答集」に関連してお伝えしました。前半で述べたとおり、現在よりもなぜ10日以上前の日付を更新日としているのかについての問い合わせ結果は、届き次第当ブログでお伝えしていきます。