『広報あげお』掲載の「事実と異なる文言」の「不都合な真実」とは

配布されたばかりの『広報あげお 12月号』。
この中に、明らかに事実と異なる記述があり、そのことを調べていくうちに、市教委事務局(教育総務課)と広報広聴課双方の「不都合な真実」が明らかになりました。
今記事は、『広報あげお』に掲載された「事実と異なる文言」について、なぜそのような事態になったのかについてお伝えします。

No.250

🔷『広報あげお』文言の何が「事実と異なる」のか
まず、『広報あげお 12月号』に掲載された問題の記事を見てみましょう。
(4頁から5頁にかけての記事ですが、見やすいようにまとめてあります)

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この記事では、『「上尾市学校施設更新計画基本計画」を改訂します。このたび、その案がまとまりましたので、市民コメント制度に基づき意見を募集します』とあります。
これは明らかに事実と異なります。「この案がまとまった」と言い切るには、教育委員会定例会での教育委員の「協議」を経る必要があるからです。

🔷発端は9月定例会の教育総務課長の発言から
まず、すでに公表されている上尾市教育委員会9月定例会の会議録を検証しましょう。
「上尾市学校施設更新計画基本計画(骨子案)」に関する池田教育総務課長の発言は、会議録の19ページに掲載されています。
問題の発言(「今後のスケジュール」の説明部分)は以下のとおりです(原文ママ。強調のために色替えあり)。

(教育委員会9月定例会での池田教育総務課長の発言)

最後に、今後のスケジュールをご説明しておきたいと存じます。現在も既に、事務局内では進めておりますが、この骨子案をベースに基本計画書の形となる素案の検討を行っております。
素案の原案については、11月の定例会にお示しをして、協議を行い、12月の定例会では、パブリックコメントを募集する計画案の決定をお願いしたいと考えております。したがいまして、12月下旬には計画書の第一段階での形をお示しする予定でございます。

このとおり、池田教育総務課長は、「(学校施設更新計画)基本計画書」の素案の原案については、11月の定例会で協議を行う」と明言しています。
しかしながら、
「学校施設基本計画」の基本計画書の素案についての協議が行われなかったことは、下記の「11月定例会の概要」を見れば一目瞭然です。
※「協議」がおこなわれた場合、「議案の審議」と「報告事項」の間に記載されます。

11月定例会概要

実は、池田教育総務課長による「虚偽発言」は、少なくとも、今年度2回目となります。
(前回=5月の池田教育総務課長の「虚偽発言」は、当ブログNo.235記事【市民が知らない「上尾市教育委員会定例会の不都合な真実」とは】をお読みください。

しかも、今回は「上尾市学校施設更新計画基本計画(案)」にかかわっての虚偽発言に加えて、教育委員会定例会で協議されていない(案)について、パブリックコメントを募集するという記事が『広報あげお 12月号』に掲載されるという事態になっています。

加えて、教育総務課長の「虚偽発言」を見逃している教育委員たちの責任も問われなければなりません。
普通に考えれば(市民的感覚で考えれば、と言い換えることもできます)、9月定例会の席上で、池田教育総務課長が「素案の原案は、11月の定例会で協議を行う」と明言しているのですから、11月定例会にその「協議」のための議事が提起されなければ、出席している教育委員から「9月定例会での教育総務課長発言はどう扱うのか」と確認する発言がされて然るべきです。
ところが、私が傍聴をしている間、教育委員の誰ひとりとして「11月の定例会で協議すると言っていたが、どうなっていますか?」などの質問や確認は出なかったのです。
これでは、「虚偽発言」を繰り返す教育総務課長と、言わば「同罪」と言えます

当ブログで読者のみなさんに強調したいのは、こうしたことがまかり通っているのが、現在の教育委員たちと市教委事務局である、ということなのです。

🔷広報広聴課・教育総務課への質問とその回答
このような事態は見逃すことができないので、広報広聴課に問い合わせをしました。
そのメールのやりとりは次のとおりです。

広報広聴課への問い合わせ(2022.11.27 メール送信)
『広報あげお 12月号』には、「『上尾市学校施設更新計画基本計画』を改訂します。このたび、その案がまとまりましたので、市民コメント制度に基づき意見を募集します」との記述があります。
このことについての質問です。
①この記述(とりわけ「このたび、その案がまとまりました」ということについて、広報広聴課はいつ、どのように了知したのですか。
②実際には当該「案」は教育委員会11月定例会にもかけられておらず、まとまっていません。すなわち、明らかな事実誤認です。 この記事(記述)は訂正していただけますか?

 これに対し、丸3日後(11/30 夕刻)に届いた「回答」は以下のとおりです。
(儀礼的な文は除いたうえで、強調のため当ブログで色替えしています)

広報広聴課からのメールでの「回答」(2022.11.30 )
広報広聴課では各所属から提出された原稿を基に広報あげおに掲載する記事を作成しております。
「上尾市学校施設更新計画基本計画(案)への意見を募集」に関する記事については、11月14日に最終的な掲載内容について教育総務課に確認を行いました
また、上尾市市民コメント制度要綱では施策等立案の課程においてその施策等の趣旨、内容などを広く公表し、市民などの意見を考慮して意思決定を行うとともに、意見に対する市の考え方を公表する一連の手続きを定義しているものであり、具体的なその施策等立案の意思決定方法まで示したものではないため、教育委員会定例会にかけられていないことで計画案がまとまっていないものとするとは考えておらず、当該記事を訂正する予定はございません。

この回答だと、「教育委員会定例会にかけられていない」ことが「まとまっていない」ことにはならない、ということになります。
しかも、その前段で述べている理屈のようなものも何を言っているのかわかりません。
単に「事実と異なる点」について訂正すれば済む話なのですから。
「自分たちの誤りは絶対に認めない」点はどこかの国の政府と同じようです。
これでは市民への説明になっていないと言わざるを得ません。

広報広聴課には、念のため別途メールを送付し、「教育委員会9月定例会の教育総務課長の発言は了知しているか」と尋ねたところ、全く知らないとのことでした。

この問題に関しては、教育総務課にも以下の質問をしました。

教育総務課への問い合わせ(2022.11.27 メール送信)
(上述の池田教育総務課長の発言を引用した後で、次の2つの質問)
①9月定例会で池田課長が「素案の原案については、11月の定例会にお示しをして、協議を行い」と明言しているにもかかわらず、実際には11月定例会では全く原案も示されず、協議もされませんでした。それはなぜですか
②『広報あげお 12月号』には、「『上尾市学校施設更新計画基本計画』を改訂します。このたび、その案がまとまりましたので、市民コメント制度に基づき意見を募集します」との記述があります。この記述について、いつ、誰が、どのように広報広聴課に連絡したのですか。

 この質問に対する教育総務課からの「回答」は次のとおりです。
(儀礼的な文は除いたうえで、強調のため当ブログで色替えしています)

教育総務課からのメールでの「回答」(2022.11.30 ) ※(新しい学校づくり担当より)
上尾市学校施設更新計画基本計画(素案)につきましては、9月の段階では、11月の定例教育委員会でお示しできればと考えておりました。
しかしながら、アンケート調査結果や市民ワークショップなどでいただいた意見などを参考に基本計画(案)を検討していく中で、11月にはお示しできない状況となったところでございます。
また、広報あげお12月号については、12月の定例教育委員会に素案をお示しした後に、市民コメント制度による意見の募集を実施することとなったことから、11月14日に、教育総務課が、上尾市役所グループウェアの広報広聴課フォルダに原稿データを格納することにより提出いたしました。

つまり、「11月は教育委員が「協議」できる状況ではなかった」ということのようですが、それがなぜなのかについて池田教育総務課長が全く説明していないことについての言及はありません。また、広報広聴課への原稿は、フォルダに入れただけであるということから、広報広聴課の説明「最終的な掲載内容について教育総務課に確認を行いました」とは齟齬が生じています。

🔷事実関係を時系列で整理
9月の池田教育総務課長の「虚偽発言」から現在までの状況を時系列で整理します。

9/29(教育委員会9月定例会=池田教育総務課長)
*(学校施設更新計画)基本計画書素案の原案は、11月の定例会で協議を行うと明言。
 ↓
11/14(教育総務課=新しい学校づくり担当)
*上尾市役所グループウェアの広報広聴課フォルダに原稿データ(つまり、『広報あげお』に掲載された文言)を格納(つまり、フォルダに入れただけ)。
※この時点では、教育委員会11月定例会(11/22)には「協議」がされるものと判断していたと思われます。
 ↓

11/14(広報広聴課)
*最終的な掲載内容について教育総務課に確認(教育総務課の回答と齟齬あり)。
*「9月の教育総務課長の発言については知らない」と回答。

 ↓
11/22(教育委員会11月定例会)
*教育総務課長&教育委員たちの誰ひとりとして「11月に学校更新計画基本計画の素案を協議すること」についての言及無し(無責任極まりない姿勢)。
 ↓
11月27~11/30頃(広報広聴課)
*『広報あげお 12月号』配布&HPで公表。
*上述の「虚偽の文言」が露見。

以上見てきたとおり、9月の池田教育総務課長の発言については、教育総務課(新しい学校づくり担当)も広報広聴課も「完全スルー」。まるで「何もなかった」かのようです。
こうしたことがまかり通れば、もともと薄い教育委員会への信頼はますます無くなっていきます。発言には責任を持って、出来ないときは「すみません、間に合いませんでした」と言えばよいのです。

また、広報広聴課には、現在、さらに別の問題(11/12の「基調講演会」にかかわる市HPへの掲載記事と写真の問題)が浮上していますので、こうした問題について担当課などに質問や情報公開請求などを通じて事実を明らかにしていきます。

🔷意見募集には市民からの多くの意見を
広報広聴課が「文言は訂正しない」と明言したこと自体は大変問題があります。
一方で、「上尾市学校施設更新計画基本計画(案)」に対しては、当ブログで指摘している事実などに基づき、多くの市民から意見を出していく必要があります。
当ブログでは、提出期限である1月末まで、引き続きこれらの問題に強い関心を寄せていきます