誘導質問によって作られた《素案》の「学校再編は必要」は信頼性無し

1月14日に上尾公民館でおこなわれた「上尾市学校施設更新計画基本計画《素案》に関する地域公聴会」(以下、公聴会)に公述人として参加しました。
公述人としての発言時間は「
わずか5分」。この制限時間では、考えていることの全部を述べることは難しいですが、《素案》の問題点は項目ごとに指摘したつもりです。
中でも、「学校規模の適正化」という名目での「学校再編=統廃合化」についての市教委のすすめ方については、市民側でも相当注意していないと、「いつの間にか学校が潰されてしまった」ということになりかねません。
今記事では、「公聴会」で私が述べた意見の中でも、とりわけ「学校再編」をめぐる問題を中心にお伝えします。

No.257

🔶「公聴会」での私の意見 ー《素案》には問題点多数あり
上尾公民館で「公聴会」で意見を述べたのは8人。市民の中で最も早く「公述申出書」を提出したことから、私は最初に意見を述べることになりました。
その「読み原稿」は以下のとおりです全2頁。最下部に改ページ機能あり

01.14 公聴会原稿

公述に要した時間は5分20秒ほどでした。市教委事務局が恣意的に決めた制限時間であり、しかも「あと1分」&「5分」のところでチャイムを鳴らすというスタイルでした。
同じ上尾市で、都市計画の公述人募集の際、公述時間が「おおむね10分」とされていたのに比べると、半分の時間しかありません。なお、公聴会冒頭の事務局からの説明には制限時間は設けられていませんでした。

🔶議会「調特」での議論は無視できません
私が公述した意見は、大きく言うと9項目あります。ここでは、読み原稿の2ページ目の最初の項目について解説します。

 「学校再編は必要か」というアンケートの説明「法律に定める標準程度」は、法律ではないことから誤りです 。この設問に対して、議会「調特(調査特別委員会)」で多くの議員から「誘導質問ではないか」との指摘を受けた際、池田課長は、「アンケート用紙はもう印刷してしまったので修正できない」 という、信じ難い発言をしています。
 「アンケートでは約7割の人が学校規模の適正化は必要と回答(※)」という結果は誘導質問によるものであり、撤回すべきです。アンケートの結果として「ひとり歩き」させてはならないと考えます。

上記(※)の文言アンケートでは約7割の人が学校規模の適正化は必要と回答について設問と経緯について確認してみましょう。
もともと、市民アンケート問2-1とは、「学校の再編についてお聞きします」という設問でした。しかしながら、《素案》では「学校規模の適正化」が前面に出されています。

この設問が明らかに誘導質問であることは明らかです。まず、「学校再編」とは「通学区域の見直し」や「学校統廃合」との説明がされていますが、《素案》に「通学区域の見直し」をどうすすめるのかについての言及はありません。また、「法律に定める標準程度」とありますが、法律であれば法律名を示すべきですし、そもそも法律が根拠となっているわけではないので、誤りです。

この設問については、議会「調査特別委員会」(調特)でも多くの議員から疑義が出されています(No.242記事〖上尾市教育総務課長の発言や姿勢から「不都合な真実」を検証する〗参照)。この記事の一部を再掲します。

*市民アンケート《問2-1》は市議会6/23の「調査特別委員会」(調特)でも次のような指摘がされています(この時の会議録は公開されています)。

*「まるでひっかけ問題みたいな印象を受ける」(津田委員)
*「行政の人が書くとこうなってしまうのかと思う」(荒川委員)
*「非常に曖昧な聞き方の設問から得られた結果というものには、疑義が生じる」(海老原委員)
*「このアンケートの制作過程が、きちっと議論しているとは思えない」
「(アンケートの)全てが誘導」(以上 井上委員)
*「誘導的な、こういう形で進めていきたいというような書き方である」
「信用できないアンケート結果になるのではないか」(以上 平田委員)

言うまでもなく、議員は市民の代表ですから、これらの意見はすなわち市民からの声ということになります。アンケート結果について言及する際には、こうした議会調特での議論を無視できないのは当然です。

🔶教育長職務代理者は議会調特での議論を知らない?
教育委員である大塚教育長職務代理者は、教育委員会9月定例会で次のように発言しています(公表済みの会議録23頁によります)。

(大塚崇行 教育長職務代理者)
アンケートに関して、2万件近い方の市民のご意見をいただいた
ということで、大変貴重なご意見としてのアンケート結果であると思っております。その上で、学校規模の適正化に対して「必要である」「どちらかと言うと必要である」というのが全体的には7割以上の方々が必要というように捉えているということでした。子供達に対して、施設に関してもそうですし、中身に関しても教育環境を整えていき、より良い教育環境にしていくということを望んでいるというのは当たり前のことではありますが、そういった数字が出てきているというところであったというように思っていますので、このご意見は本当に貴重な意見ということで捉えていただきたいと思います。

お読みになれば分かりますが、大塚教育長職務代理者は、この「アンケート結果」を全面的に受け入れているようです。議会調特での議論を知っていたら、市教委事務局の案について、ここまで「ベタ褒め」はしないでしょう。
このようにして、誘導質問によって導かれたアンケート結果が「ひとり歩き」していくということが、この会議録からも分かります。

以上のとおり、誘導質問によって作られた《素案》の「学校再編は必要」という記述は信頼性が無いことは明らかです。

🔶公述人から「意見交流をしてはどうか」との提案が
公聴会での8人からの「公述」は、賛成意見は一つも無く、全員の公述が終わった時点で、閉会予定の12時まで20分少しありました。
その時、公述人の一人の方から、「皆さん、せっかく来ていただいたのだから、意見交流をしてはどうですか?」との発言がありました。
すぐに会場から「賛成!」の声があがり、市教委事務局も「市民の意見を聞く」と言っていた手前、断れない流れとなりました。

🔶「教育委員はなぜ顔を見せない?」との市民からの指摘
残り時間で、公述人からは言い足りなかったことや、傍聴人からの意見が様々出される中、「教育委員に来てもらいたい。教育委員会として決めるのだから」「以前の説明会でも指摘したが、今回も教育委員の誰も来ていない。責任は持てるのか」という発言が複数の方からありました。市民に学校の統廃合を含めた《素案》について意見を聴取するのであれば、5人の教育委員が地域を分担して参加するのは当然だと考えます。

教育委員会12月定例会の席上、教育委員は「20歳のつどい」への参加確認がされています。おそらく、教育委員全員が文化センターへと足を運んだことでしょう。
「20歳のつどい」には出席して、公聴会には出ないのはなぜなのでしょうか。

🔶《素案》には多様な意見を
《素案》に対する意見募集期間は1月30日までとなっています。
詳しくは市のHP「市民コメント制度」または市教委HP「上尾市施設更新計画基本計画(素案)に対する意見募集」に掲載されています。

学校施設の問題は、見直しの過程で「経費35%削減の枠にとらわれない」こと、また、「学校再編案はゼロベースで見直す」とされています。
しかしながら、公聴会の当日配布された資料には、《素案》には見当たらない文言が加えられるなど、市教委のすすめ方には疑問が生じています。
それらの問題を含め、当ブログでは、次回以降、意見提出の参考としての私の見解をお伝えします。