住民監査請求(家庭教育支援員の報酬等の一部返還)が受理されました

上尾市の「会計年度任用職員」は、職種・職名が多岐にわたっています。その中の「家庭教育支援員」は、職の設置や任用までの経緯が極めて不可解かつ不透明であることを、当ブログのNo.269記事No.270記事でお伝えしました。
記事では「家庭教育支援員は退職校長用に上尾市教委が置いた職である」という仮説の検証を前・後編に分けておこない、その仮説は正しいとの結論を導きました。

一方、私(当ブログ館主)がさらに調べたところ、家庭教育支援員の「報酬の格付け」が通常より4号給も高いことが発覚しました。
これはどう考えてもおかしなことであり、証拠書類とともに「住民監査請求=上尾市職員措置請求書」を監査委員あてに提出したところ、受理されました。
今記事では、提出した「住民監査請求=上尾市職員措置請求」の中身と、関連事項についてお伝えします。

No.279

🔶住民監査請求受理文書と「陳述日程」
以下は、提出した住民監査請求=上尾市職員措置請求書が受理されたことを示す文書と、請求人である私が陳述をおこなう日程を示したものです。
なお、すでに上尾市のHPには、請求人の陳述日程について公表されています。

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監査委員事務局による請求の要旨は、「家庭教育支援員の報酬および期末手当の一部返還に関する措置請求」となっています。
この問題に関心のある方は、ぜひ足を運んでいただき、傍聴をお願いします

以下の(1)~(6)は、今回の「住民監査請求=上尾市職員措置請求書」の中身です。
文中の(事実証明書①)等については、実際には証拠書類等を添付してありますが、ここでは略してあります。また、職員名はイニシャルとなっていますが、原本では実名を記載しています(ここでは強調のため色替えと太書きをしている部分があります)。

(1)教育委員会定例会での教育総務課長の説明

(1)上尾市における会計年度任用職員制度は令和2年度から開始されましたが、教育委員会令和3年2月定例会において、令和3年度から会計年度任用職員としての「家庭教育支援員」の設置が決定されました。
 このことに関して、同定例会の席上、教育委員から「家庭教育支援員とはどのような仕事を担うのか」との質問に対して、教育総務課長は「新たな職というよりも,社会教育指導員のうち、PTAの関係に携わっている方については家庭教育支援員に職名を変更するものです」と述べています(別紙事実証明書①・②)。 この説明から、「家庭教育支援員」と「社会教育指導員」とは、同等の職員であると考えられます。

この中の「令和3年2月定例会での教育総務課長の説明」は、今回の住民監査の中で重要なポイントであることから、会議録の中の発言を以下に転記します。

(2)市P連事務局職員は規約上「社会教育指導員」であること

(2)請求人が上記の事実関係を把握する契機となったのは、「上尾市役所第3別館内の上尾市PTA連合会(市P連)事務局とされるスペースについての使用状況等」について情報公開請求をおこなったことによります。 開示された市P連の規約には「事務局員は上尾市教育委員会内の社会教育指導員がこれにあたり庶務会計をおこなう」とあります(別紙事実証明書③)。その一方で、「令和4年度 上尾市PTA連合会本部役員」には「事務局員 O・A 家庭教育指導員」と記載されていることから、「社会教育指導員」であろうが「家庭教育指導員」であろうが、市P連事務局としては差異が無いことが読み取れます(別紙事実証明書④)。

(3)どちらの職でも格付けに影響を与えるものではない

(3)上尾市教育委員会が「家庭教育支援員」に対して示している「勤務条件説明書」は、令和5年4月1日から「勤務先:生涯学習課(上尾市PTA連合会事務局)」と記載されるようになりました(別紙事実証明書⑤)。
(※令和2~4年度の勤務条件説明書は、別紙事実証明書⑥~⑧)
 この記載は明らかに市P連の規約とは齟齬が生じていますが、上記(2)で述べたように、市P連の事務局で勤務する職員は「社会教育指導員」か「家庭教育支援員」のいずれかであること、つまり,どちらの職であろうとも、「勤務条件説明書」における報酬の格付に影響を与えるものではないと考えられます。

(4)4号給上位に格付けするのは不当

(4)会計年度任用職員制度が開始された令和2年度以降、M・M氏およびO・A氏が「社会教育指導員」または「家庭教育支援員」として任用されています。
しかしながら、両氏にかかる報酬等の基礎となる号給は、任命権者である上尾市教育委員会の過誤により,本来の格付とは異なる号給が発令されたものであると、相当な確実さをもって予測されます。すなわち、家庭教育支援員について社会教育指導員よりも4号給上位に格付けするのは不当であると言えます(別紙事実証明書⑨)。

(5)情報公開請求の処分結果は「文書不存在」

(5)請求人は、上記(4)のうち、「家庭教育支援員」として任用されたO・A氏について、「社会教育指導員の報酬が2級5号給であるにもかかわらず、家庭教育支援員の報酬が2級9号給とされた合理的な理由が判別できる文書・資料等」の開示を求めましたが、「文書不存在により非公開」の処分が下されました。この処分に関しては、生涯学習課職員からは口頭での説明もありませんでした(別紙事実証明書⑩)。

(6)不当な公金の支出については、1年以上遡及しての監査を。

(6)以上の事実関係等に基づき、本請求書では、令和4年度・令和5年度に「家庭教育支援員」として任用されたO・A氏に対してすでに支払われた過去1年分の報酬および期末手当の内、過払い分(本来の格付との差額)である42,238円については、地方自治法第242条第1項に定められた「不当な公金の支出」にあたることから、返還措置を求めるものです(別紙⑪ O・A職員にかかる過去1年間の報酬・期末手当支給状況および過払額内訳書)。
 なお、「家庭教育支援員」の任用が開始された令和3年度に遡及して報酬および期末手当の過払い分の返還措置を求めることも可能かと思われますが、令和3年4月分から令和4年5月分までの「不当な公金の支出」については、すでに1年以上経過しており、遡及して返還措置を求める正当な理由、すなわち「請求の対象となる行為が秘密裡に行われたものであること」「その行為を相当な注意力をもって調査しても,客観的にみて知ることができなかったといえること」に該当するか否かについては、請求人が判断することは困難です。
 したがって、今回の請求では過去1年間についての「不当な公金の支出」についての返還措置請求となりますが、上述のとおり、「家庭教育支援員」に対して支払う報酬の格付については明確な瑕疵が認められることから、監査委員におかれましては、出来る限り遡及したうえでの厳正な監査をお願いするものです。同時に、「家庭教育支援員」にかかる現行の報酬の格付が適正であるかの監査もお願いいたします。

🔶行政による「おかしなこと」に対して市民ができること
今回の住民監査請求については、請求人の陳述日程が定められたことから、すでに監査は始まっていると考えられます。なぜなら、監査委員は、請求を受理してから60日以内に結論(棄却・勧告)を出さなければならないからです。

しかしながら、全国的に見ると、監査委員により「勧告」が出されるのは、以下のとおり非常に低率となっています(総務省調査)。

*2018年度~2020年度(3年間)
 住民監査請求の件数(全国)725件 勧告件数 18件 ∴勧告率= 2.5%
(勧告に至る率が、わずか 2.5% しかないことに驚愕します)

当ブログで再三指摘しているとおり、上尾市の行政、とりわけ教育行政のあり方については、「これはおかしいな」ということが随所に見られます。
それに対して、市民が今回のような住民監査請求などを起こしていくことは、たとえ監査委員による勧告の率が極めて低いという実態はあるものの、行政を改善していくための有効な手段の一つであることは間違いないでしょう。
事実、私が以前教育長の給与の一部返還を求めておこなった住民監査請求を契機に、教育委員会規則が変更されました。

🔶教育委員会も陳述をすべきです
住民監査請求の過程では、請求人だけではなく、実施機関(今回は上尾市教育委員会)にも陳述の機会が保証されています。今回の私の請求内容について異論があるならば、教育委員会は正々堂々と反論すべきです。とりわけ、上記(1)で示した教育委員会定例会での池田教育総務課長の発言によって、今回の住民監査請求に繋がったのですから、なぜあのような発言となったのかを明らかにすべきであると考えます。

今回の住民監査請求に関しては、結論が出された後も、どのような監査がおこなわれたのかについて情報公開請求をしていきます。その結果等については、当ブログで記事にしていく予定です。

“住民監査請求(家庭教育支援員の報酬等の一部返還)が受理されました” への2件の返信

  1. いつも読むたびに、感心しています。6月26日は傍聴したいと思います。また多くの人に関心を持ってもらえるように、このことを広めます。

    1. コメント、ありがとうございます(実名でのコメントでしたが、イニシャルにさせていただきました)。

      6月26日の傍聴と拡散の件、お世話になりますが、よろしくお願いします。

      定例教育委員会で教育総務課長が「職名を家庭教育支援員に変更するもの」と明言しています。
      それにもかかわらず、4号給も上位に格付けするのは教育委員会として説明が必要でしょう。
      今回はたまたま私が発見しましたが、同じようなことがおこなわれているのかもしれませんね。

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