[市長への政策提言]について、市長はどのように回答するのでしょうか?
市長は、市議会答弁で「(市民と直接語り合うタウンミーテイングの代わりに)[市長への政策提言]や[市政への問い合わせ]制度で市民の声を聞いている」と述べています。
ですが、残念ながら市民が提出する[市長への政策提言]の件数は、令和3年度よりも前の制度であった[市長へのハガキ]よりも圧倒的に少ないという現状があります。
そんな中、8月に私(当ブログ館主)は4件の[市長への政策提言]を提出しました。
今記事では、私が提出した[市長への政策提言]についてお伝えします。
※今回は(も?)長い記事になっています。何度かに分けて読んでいただければ幸いです。
No.400
🔶[市長への政策提言]とは?
「おさらい」になりますが、あらためて[市長への政策提言]について確認します。
上尾市のHP(トップページ「市民の声」)に、[市長への政策提言制度]についての説明があります。➡ 市長への政策提言制度運用要領
この運用要領には、[市長への政策提言]として次のように定義されています。
| 市が取り組む施策の参考にするための、市政に関する提言又は提案等(以下、「提言」という。)を受ける仕組みを「市長への政策提言制度」という。 この要領において「市政」とは、市の執行機関が行う施策や事業などの行政活動をいう。 また、「提言」とは、市政に関し、課題の解決、施策又は事業の改善、新たな取組など、政策的観点から意見又は提案を示すものをいう。 |
また、提言の受付方法については次のとおり示されています。
| 提言は、以下の方法によって直接、受け付ける。 ①「市長への政策提言・問い合わせはがき」による投書(提言に関するもの) ②市ホームページに掲載する「市長への政策提言・問い合わせ」の入力フォーム ③任意様式による投書 |
今年度の[市長への政策提言]は、7月末現在、市内全体でわずか8件です。
少ないですね。
🔶私が提出した『提言』とは
では、今月私が提出した[市長への政策提言]の中身をお伝えします。
(4件:日付順)
| ① |
| (2026/08/05提出) 件名: 『上尾市立小・中学校の教育職員に関する業務量管理・健康確保措置実施計画』の本文に法的根拠等を明文化すること |
| (提言の趣旨・理由) 市の行政(教育行政を含む)が策定する各種計画等は、その法的根拠や計画に至る背景等を市民に向けて明確にするのは当然です。しかしながら、上尾市教育委員会が策定した、令和8年4月『上尾市立小・中学校の教育職員に関する業務量管理・健康確保措置実施計画』(以下『実施計画』)は、以下の点で不備があると考えられます。 |
| 1.『実施計画』本文には次の法的根拠が示されていません。 ■公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)第8条(計画策定義務) ■給特法第7条(指針に即した策定義務) ■文部科学省指針の名称・公布日 ■総合教育会議への報告義務 |
| 2.行政文書としても不備があります。 行政計画は次の事項を明記するのが通例だと考えられます。 ■根拠法令 ■根拠通知・指針 ■計画の法的位置づけ ■計画の対象期間・義務内容実際には、『実施計画』はこれらを欠いており、法的根拠等が示されていないため、市の計画という行政文書としての適正性を欠くのではないでしょうか。 |
| 3.法的整合性の観点から、以下の指摘をいたします。 (1) 法的根拠の欠落 ■法的計画にもかかわらず、『実施計画』に根拠法令を明記しないことは、行政文書として重大な不備と言えます。 (2) 「指針」との整合性の不明確さ ■給特法第7条は「指針に即して策定する」義務を課しています。しかし計画本文には「指針」の名称・公布日・参照条項がないため、市民として「指針」との整合性が検証できません。 (3) 総合教育会議への報告義務の不記載 ■給特法第8条は、計画の実施状況を総合教育会議に報告する義務を規定していますが、『実施計画』にはこの義務が記載されていません。 (4) 計画の法的位置づけが市民・教職員に伝わりません。 ■『実施計画』に法的根拠が明文化されていないことから、『実施計画』が「市独自の政策」なのか「法定計画」なのかが本文から判別できません。これは行政の説明責任回避とも言えます。 |
| 教育委員会令和8年2月定例会の席上、「給特法」改正により『実施計画』を提案すると事務局から口頭でごく簡単に説明がされましたが、傍聴者や後日教育委員会の会議録を見た者でない限り、大半の市民はそのことを知りません。 したがって、上述のとおり『実施計画』本文に法的根拠等を明示しないのは、教育行政として明らかに不備であることは明らかです。何よりも市民への説明責任を果たすという観点から、『実施計画』は提言者が指摘した点を明確にしたうえで、早急に本文に法的根拠等を明文化することを提言します。 |
教育委員会が策定した『上尾市立小・中学校の教育職員に関する業務量管理・健康確保措置実施計画』は、この『提言』で述べたとおり、極めて不備があります。
このことに関連して、2026(令和8)年2月の教育委員会定例会において、「上尾市学校運営協議会規則」が次のように改正されました。

このとおり、各学校の校長は、「業務量管理および健康確保措置の実施に関すること」の基本方針を作成したうえで、学校運営協議会の承認を得なければなりません。
ところが、情報公開請求の結果、市内のどこの学校も基本方針を作成しておらず、せいぜい「学校経営方針」を示してお茶を濁している現状があります。
これらは、いかに教職員の「業務量管理および健康確保措置」を軽く考えているかの証左となっているのです。
| ② |
| (2026/08/12提出) 件名: 来年度以降の平和学習中学生派遣事業の取り組みについて、市長判断でおこなうことを提言します。 |
| (提言の趣旨・理由) 上尾市では、「被爆地での平和学習のための中学生派遣事業」の取り組みが行われていません。このことについて、市議会の令和7年9月における一般質問に対する学校教育部長答弁によれば、平和学習中学生派遣事業の取り組みを行わない理由は、 (1)式典の開催時期や開催場所、 (2)各中学校では「授業において平和に関する学習を実施している」ことなどから、 (3)市民生活部と検討した結果、(被爆地への中学生派遣は)現時点では予定していない、 とのことですが、この学校教育部長の答弁は以下のとおり矛盾しているか、他の事業との整合性がありません。 |
| (1)他の自治体(さいたま市や杉並区など)では平和学習中学生派遣事業を広島や長崎における平和祈念式典の時期に実施しており、派遣しない理由として「式典の開催時期や開催場所」を挙げている学校教育部長の市議会答弁は整合性が無く、妥当性を欠いています。 |
| (2)上尾市の各中学校では、極めて多額の予算(3年間で約5億円)により業務委託したALTを活用して「授業において英語教育を実施している」ことに加えて、毎年「中学生海外派遣研修」が多額の予算(2400万円以上)が投じられ実施されています。したがって、同じ論理を被爆地へ中学生を派遣する平和学習に適用していないため、政策目的の整合性を欠いています(被爆地へ中学生を派遣するほうが、中学生海外派遣より格段に少額の予算で対応できます)。 |
| (3)「市民生活部と検討した」中身が市民にはまったく公表されていないことから、行政としての説明責任が果たされていません。 |
| 以上の事実関係や、昨今の世界情勢を考えれば、今こそ平和学習が必要なことは明らかです。 そこで、来年度以降の平和学習中学生派遣事業の取り組みについて、安易に教育委員会に全面的に依拠するのではなく、市長判断でおこなうことを提言します。 |
この提言は、当ブログの前記事【杉並区[平和学習中学生派遣事業]から「杉並区と上尾市との違い」を考える】でも発信したとおり、現在「中学生海外派遣研修事業」を2400万円もの多額の予算をかけて実施しているのであればで、平和学習として中学生を被爆地に派遣できるのではないかという趣旨で提出したものです。
| ③ |
| (2026/08/16提出) 件名: 教育委員と教委事務局は「情報公開制度の目的と意義」を認識すべきです |
| (提言の趣旨と理由) 教育委員会6月定例会で「情報公開請求の状況」について、教育委員から「業務が増えるのではないか」との質問に対して、教育総務課長は「件数が多い所属に関しては、それ相応の事務負担となっている」旨回答しています。これは教委定例会という公的な場での発言であり、当然個人の見解ではなく、責任ある発言であると解されますが、情報公開制度の趣旨や目的、市民の権利については一切言及されませんでした。 |
| 教育委員会6月定例会で「情報公開請求の状況」について、教育委員から「業務が増えるのではないか」との質問に対して、教育総務課長は「件数が多い所属に関しては、それ相応の事務負担となっている」旨回答しています。これは教委定例会という公的な場での発言であり、当然個人の見解ではなく、責任ある発言であると解されますが、情報公開制度の趣旨や目的、市民の権利については一切言及されませんでした。 |
| 以上の事実関係から、教育委員や教育総務課長(教委事務局職員)は「情報公開制度の目的と意義」をあらためて認識すべきであると考えます。 具体的には、「上尾市情報公開条例」は市民の知る権利や実施機関の努力義務について定めた基本的な例規であることから、教育委員就任の際には上尾市の情報公開制度についてレクチャーすること、また、教育総務課長を含めた教育委員会事務局職員は情報公開制度について研修することを提言します。 |
ここで注目すべきは、教育委員と教育総務課長との間で、市民からの情報公開請求への対応について、あたかも「通常の業務外である」ようなやり取りがされていることです。
その後の調べで、教育委員は就任の前後で情報公開制度について何らのレクチャーも受けていないこと、また、教育総務課長自身も研修を受けた痕跡が無いことが発覚しました。
この提言について、市長は何と言ってくるでしょうか。
| ④ |
| (2026/08/24提出) 件名: [市長への政策提言]への回答の進捗状況等を明らかにしてください |
| 市長は市議会で「(市民と直接市政について語り合うタウンミーティングの代わりに)[市長への政策提言制度]や[市政への問い合わせ制度]により市民の声を聞いている」と答弁しています。 |
| この答弁に関連して、令和6年度(=経過期間から考えて、回答について一定の結論が出ていると思われます)の[市長への政策提言]において「県へ働きかけていく」「必要に応じて国や県へ要望を行う」と回答した2課(いずれもこども未来部)について、どのような働きかけをおこなったのか調べたところ、どちらの課も「(当該)要望は内部審査で不採択になったので県(国)への要望は見送りとなった」ことが判明しました。つまり、[市長への政策提言]の回答とは明らかに異なる対応になっていることになります。 |
| 一方、上述の[市長への政策提言]をおこなった市民の方は、今でも「上尾市として県(国)に要望してくれるはず」と期待を寄せていると思われます。 |
| こうしたことを避けるためにも、[市長への政策提言]に対して「検討する」「県や国に働きかけていく」などと回答した場合には、少なくとも当該年度末か次年度当初に進捗状況をHP上で公表するなど、市民に明らかにすることを提言します。 |
せっかく市民が考えたうえで[市長への政策提言]を提出したにもかかわらず、その回答が「検討します」や「県や国に働きかけていきます」というものであることが多いです。
それに加えて、実際には検討すらしていなかったり、あるいは、「県や国に働きかけます」と言いながら、「内部審査」なるものに引っ掛かり、結局は働きかけができなかった事案が判明しました。それらのことも含めて、進捗状況や「どのように市政や教育行政に反映させたか」については、明らかにすべきではないでしょうか。
なお、提言の中で「要回答」を選択した場合、どのくらい待てば市からの回答が来るのかは、『要領』では以下のとおりとなっています。
| (回答期限の目安) 市長への政策提言制度運用要領より
受付日の翌日から起算して10日以内(土日・祝日・年末年始を除く)を目安に回答するものとする。 |
今記事の最初にお伝えした私の提言は、すでに実質10日を過ぎています。はたして、どのような回答が戻ってくるのでしょうか。結果については当ブログでお伝えいたします。
🔶おかげさまで今回で400記事
今記事で、No.400 となりました。
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今後とも、当ブログは、「市民的視座から市政・教育行政を考えよう」をコンセプトに、様々なテーマを深掘りしてお伝えしていきます。