今年度の予算書に掲載された金額から見えてくる《上尾市の教育行政》

上尾市の教育行政のすすめ方を見ていて、私は「この事業の費用はどのくらいかかっているのか?」と疑問に思うことがあります。
今記事では、公表されている今年度の予算書に掲載されている費目や金額などから、上尾市の教育行政について考えていきたいと思います。

No.247

🔷「教育予算」の内訳を見るには
上尾市の予算は、当然ですが公表されています。ネットで検索する場合は、
①上尾市HP → 組織で探す → 財政課 → 今年度予算 でもよいのですが、
②上尾市HP → キーワードで探す(検索窓) → 「予算」と入力 → 今年度予算
のほうが早いかもしれません。

公表されている「令和4年度当初予算」の「予算書/一般会計予算」の内、「教育費」
131頁から154頁まで掲載されています。

では、教育費の内、132頁掲載の費用を見ていきましょう(単位はすべて 千円)。

🔷「有識者講師等謝礼」とは?
予算額はすべて千円単位です。では、30万円の予算が組まれている「有識者講師等謝礼」とはいったい何を指すのでしょうか。項目だけではわからない費用の典型です。

この予算は、11/12に文化センターで開催予定の「新しい時代の学びにふさわしい学校を考える集い」講演者(長澤悟氏)への講師料ではないかと思われます。
また、同じページには、「使用料及び賃借料」として、「学校施設更新計画講演会会場等借上料」122,000円が計上されています(文化センター会場費?)。

長澤悟氏の講演料については、私は以下のとおり情報公開請求している最中です。

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「市教委は、どのような話をしてもらいたくて、長澤氏を講師として選んだのか」
「講師料は適正な額なのか」
「30万円の予算を組んだということは、昨年度から長澤氏を想定していたのか」
などについても、「公開・非公開の処分通知の手交」の際に確認したいと思います。
開示された情報については、後日当ブログでお伝えしていきます。

🔷「点検評価第三者評価者謝礼」とは
この「謝礼金」については、3名に対して、9万円の予算が組まれています。

「点検評価報告」は、12月の市議会に報告する必要があるので、「学識経験者」3名による第三者評価については、現在おこなわれているところだと思われます。
前年度の教育行政事業(約30項目)について、1項目につき数行のコメントを述べる役割ですが、2行ほどの短いコメントも見受けられます。

人選については、教育委員会9月定例会で3名の名前が挙がっています。このうち、「元校長」である堀越洋子氏については当ブログNo.242で以下のとおり指摘しています。

 R2年度およびR3年度に上尾市教育委員会が発行した「教育委員会の事務に関する点検評価報告書」を評価する「学識経験者」である堀越洋子氏と、R2年度から教育総務課長の職にある池田直隆氏とは、H31(R1)年度とR2年度に芝川小学校運営協議会の会長・副会長の関係にあった。

以上のことが明らかになっており、「客観的な視点で評価できる第三者」であるのか、大変疑問です。また、実際に堀越氏がどのようなコメントを述べているかというと、

以上のように記載されています。

この「意見・提言」は、【通学区域検討事業】&【コミュニティ・スクール推進事業】について3名の「学識経験者」が述べたものです。2番目に掲載されているたった2行のコメントが堀越洋子氏のものであることは、コメントの内容からも明らかです。

コメントの最後に、「毎年の成果を積み上げていきたい」との記述がありますが、この文言は第三者としてのコメントというより、主体者(=実際に事業に携わる者)の発言であると言えます。それはそうでしょう、この時は堀越洋子氏は芝川小の学校運営協議会の会長だったのですから。つまり、堀越洋子氏は、この事業については第三者としてのコメントを述べる立場にはないのです。

コメント欄は30項目。これに対する報償費が3万円(つまり、1項目あたり1000円)というのは適正な額と言えるでしょうか。

🔷「学校施設更新計画策定等委託料」は2186万4千円
予算書の同じページには、「委託料」が掲載されており、「学校施設更新計画策定等委託料」として、2186万4千円が計上されています。
これは、市民アンケートに関する業務(アンケート集約やコンサルティングなど)や、「市民ワークショップ」の司会進行などを民間会社である㈱地域総合計画研究所に委託する費用などです。
しかしながら、「市民ワークショップ」のグループ討議の司会進行については、参加した市民から「学校統廃合について何も知らない者が司会進行しているのはどうなのか?」という疑問や批判もあります。「市民から質問が出そうな場面は民間委託で切り抜ける」という態度では、ますます市民の不信を招くでしょう。

🔷他のページにも「よくわからない費用」の計上が
以上のとおり、予算書の1頁だけを見ても、多くの問題点が浮上してきます。
予算書の他のページには、「何?これ?」という費用が計上されています。

(予算書掲載頁)・費目・市側の説明 当ブログによる補足・疑問点等
(P133) 教育指導費/報償費
*CAP研修講師謝礼  70,000円
昨年度の「点検評価報告書」には、CAP研修会とは、「いじめを見抜く能力や組織的に対応すること」を学ぶ研修会とあります。
(P135) 教育センター運営費/報償費
*不登校対策講演会指導者謝礼 20,000円
*スーパーバイザー謝礼    49,000円
現在、不登校の児童・生徒が増加しています。
「どのような指導者を何のために呼ぶのか」について明確にする必要があります。
また、スーパーバイザーの意味がわかりません。
(P142) 社会教育総務費/補助金
*家庭教育推進事業補助金   120,000円
「家庭教育推進事業」とは何かについて確認するために、情報公開請求する必要があります。「点検評価報告書」によると、「上尾市PTA研究大会の中で、『転がる夢、今の私~夢破れてもよい、努力することが大事~』というテーマでオンラインによる配信を行いました」とあります。
(P145) 図書館費/使用料及び賃借料
*上平広場管理委託料       2,266,000円
いまだに上平広場を図書館が管理している意味がわからないことと、管理委託料が多すぎるのではないかとの疑問が生じます。
(P153) 社会体育費/補助金
*上尾シティハーフマラソン実行委員会補助金
34,507,000円
「上尾シティハーフマラソン」の会計処理については、当ブログでは高い関心を寄せています。
左記補助金だけでなく、イベント全体の予算について不可解な点があります。
情報公開請求で入手した資料も含め、後日ブログの記事にする予定です。

 ◎今記事では、今年度の上尾市教育行政の予算書から見えてくる実態や、疑問点などについてお伝えしてきました。これらの中には、さらに情報公開請求をして、詳細について検証する必要がある事業もあります。

今後とも当ブログでは、上尾市の教育行政に関して、「何に、いくら使われているのか」ということに高い関心を寄せていくつもりです。