上尾市教育委員会の不都合な真実 ー監査意見を受けての市教委の態度ー

記事No.11

■住民監査請求の結果を受けての市教委の対応
前記事でお伝えした「監査結果」を受け、池野教育長と市教委(事務局)はどう対応したのでしょうか。2019.04.19に「監査結果」が公表され、≪池野教育長は、時給4,520円×10時間分=45,420円を上尾市に返納すべきである≫という措置請求の結果は「棄却」でしたが、教育長も市教委事務局もこれほど厳しい意見を突き付けられた経験は無かったと思われます。
 「レイマンコントロール」が全く機能していない「お飾り」の教育委員が、教育長の行状についてcheck するとは全く考えられませんし、教育長周辺に監査が入ることさえ今までは皆無だったでしょう。

■唐突な「研修会報告」にビックリ! 
教育長と市教委事務局による最初の対応は、4月の教育委員会定例会でした。
「平成30年度全国都市教育長協議会並びに関東地区都市教育長協議会の出席報告について」という「報告事項」が議題とされたのです。
 公表されている会議録(全文はこちら。11頁参照)には、次のようにあります。

 「平成30年度に、全国都市教育長協議会並びに関東地区都市教育長協議会の総会並びに研究大会に、池野教育長が出席されましたので報告いたします。始めに「関東地区都市教育長協議会総会」でございますが、平成30年5月10日、11日に横浜市を会場市に開催されました。(中略)次に、「全国都市教育長協議会定期総会並びに研究大会」でございますが、5月17日、18日に岩手県一関市を会場市に開催されました。(中略)また、今大会で池野教育長は、16日に一関市に入り、研究大会での視察研修が予定されていた「世界遺産平泉見学コース」の中尊寺等を視察し、また、文化財の保護、活用の参考にするため、刀剣の収蔵に定評のある一関市博物館を、視察しております。報告は以上でございます」

 長い引用になりましたが、このこと自体大変異例なことに加え、非常に違和感を覚えます。それは、

①昨年5月の研修会について、約1年後に「報告」していること。
②『研究大会での視察研修が予定されていた「世界遺産平泉見学コース」の中尊寺等を視察し…』とあるのは、なんのことはない、研究大会運営側が、大会終了後に予定していた「オプショナルツアー」に池野教育長は参加しないので、自分勝手に「個人的オプショナルツアー」に行ったというのが真相です。
「刀剣の収蔵云々」は前記事のとおりで、自らの言い訳を正当化するためなのか、生涯学習課による刀剣講座の企画を監査結果が出てから起案・決裁していることが、決裁文書から明らかになっています。
③この唐突な「報告」を聞いた教育委員のお歴々がなぜ1年も前の報告を今になってするのですか?という質問を全くしていないこと

以上について少し説明を加えると、

①については、明らかに住民監査請求の影響です。
裏を返せば、今までは「県外の研修会に行っても何らの報告もせずに済んでいた」ということの証左です。
②日程を見ると、会合は(2018年)5/17(木)・5/18(金)であり、オプショナルツアーは金曜午後の企画となっており、平泉見学コースの他、観光スポット「猊鼻渓(げいびけい)」に行くコースも用意されていました。
少し脱線しますが、こういった教育長や校長向けの「○○研究大会」というのは、大抵「木曜・金曜」に日程が組まれています。理由は次の日から土曜・日曜になるからであり、このときも翌土曜日には別のオプショナルツアーが組まれていました。
③については、「お飾り」教育委員の面目躍如というところです。教育長が何をやっても口を挟まないということを示すひとつの例です。後日、生涯学習課長に「傍聴していて、誰も何も言わないのは、非常に違和感を持ちました」と伝えたところ、「実は私も、随分唐突だなと思いましたよ」と言っていましたが、黙っていて何も言わないのは件の課長も「御同類」です。

■市民から指摘されなければ変わらない市教委
 その後の情報公開請求により、多少変化が生じたこととしては、池野教育長が「年休簿」を使い始めたこと(就任4年目にして初めて)、関東・全国教育長会議について市教委事務局内で「報告」するようになったこと、などがあります。
しかしながら、今年5月に松本市で開かれた「関東教育長協議会」に、公用車で行っていることが判明しました。どのように公用車を使ったのか、現在情報公開請求をおこなっているところです。使用方法や費用の面等で不自然な点が判明したら、このブログで市民の方にお伝えします。

■「自主返納を求める」と勧告すべきでした
 前記事でも少し触れましたが、全国的に見た場合、住民監査請求に対する監査委員の「勧告」(=今回のケースで言えば、請求人の主張を全面的に認め、給与返還を求める勧告をすること)は、2014・2015年度の統計で、監査請求件数1,461件中、「勧告」されたのは43件、率にすると3%にも満たない状況となっています。
これでは、「監査委員は悪行をなす各執行機関の防壁にすぎない」(田中孝男『住民監査請求制度がよくわかる本』公人の友社, 2017年, 53頁)と言われても仕方ありません。今回の請求で言えば、監査委員は「関係職員の説明をそのまま肯定することができるような直接の証拠は乏しい」とまで述べていることや、証拠書類は27種類も出揃っているのですから、教育長の「悪行」は明らかであり、「自主返納を求める」と勧告すべきであったと考えます。
おそらく池野教育長はこのブログを見ていると思いますので、何らかの形で(自主返納など)今からでも上尾市に返還してはどうでしょうか。