上尾市図書館に「学校統廃合」関連の蔵書・資料はありますか?

今記事では、「私がどのようなレファレンスサービスをお願いしたのか」と、その理由について、また、上尾市図書館の現状についてお伝えします。
そのキーワードは「学校統廃合に関する蔵書・資料」です。

No.210

🔶私がお願いした「レファレンス相談」の中身とは
前記事では、以下のことについてお伝えしました。
〇上尾市図書館が『第3次サービス計画』の中で「レファレンスサービスを今後の図書館の中心的サービスと位置づけている」こと。
〇11月から「平日(火曜日)の午前中に相談デスクに人を配置している」が、レファレンス相談は現在まで0件であること。
〇実際に上尾市図書館に足を運ぶと、2/22(火)の午前中には相談席にスタッフは不在であったこと。
〇仕方ないので、担当者を呼びだしてもらい、レファレンス相談(つまり、上尾市図書館としては、初めての面談レファレンス)をお願いしたこと。

私がお願いしたレファレンス相談は、以下の内容です(下部にズーム機能あり)。

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このレファレンス相談事項を手渡してから1週間ほど経過した後、上尾市図書館からメールが届きました。もしかしたら、「上尾市図書館として初めての面談レファレンス相談」であったため、図書館として慎重に対応しようとしているのかもしれません。

このたびはレファレンスサービスをご利用いただき、ありがとうございます。
レファレンスに対応させていただくにあたり、より正確なサービス提供をさせていただくために、以下の点についてお教えいただけると幸いです。
Q. ご質問全般について、すでにご本人でお調べになっている文献、URLなどについてお教えください。

この他にも「4館の範囲でよいか」つまり、私が所有している利用者カードの範囲(上尾市・桶川市・さいたま市・県立各図書館)だけでなく、国立国会図書館や大学図書館の蔵書も含めるのか、あるいは、いつ頃までに回答すればよいのか、などの質問でした。
これらに関しては、広域の相互貸借ではなく、自分で借り受けに行ける範囲の4館のみでよいことや、おおむね3月末くらいまでに調べていただければ、と回答しました。
以前、私が別のことでメールレファレンスを申し込んだところ、ほぼゼロ回答であったことを考えれば、かなり丁寧な対応になったとも言えます。

🔶肝心な資料がほとんど無い?上尾市図書館
上尾市図書館への私の「回答」の概要は以下のとおりです。

入手(借受)済み 文献
月刊『住民と自治  2022年2月号』※特集「学校が消えるとどうなる?」
※上尾・桶川・さいたま市各図書館とも蔵書無し。県立図書館には蔵書あるが、レファレンス申込時点では「禁帯出」。 ∴個人で購入。
朝岡幸彦・山本由美編著『「学び」をとめない自治体の教育行政』自治体研究所,2021年
※上尾市図書館に蔵書無し。 ∴個人で購入。
田中孝彦・山本由美・東久留米の教育を考える会編著『地域が子どもを守る』ケイ・アイ・メディア,2007年    ※上尾市図書館に蔵書無し。 ∴さいたま市図書館にて借受。
安達智則・山本由美編『学校が消える!公共施設の縮小に立ち向かう』旬報社,2018年
※上尾市図書館に蔵書無し。   ∴県立図書館にて借受
山本由美編著『小中一貫・学校統廃合を止める-市民が学校を守った』新日本出版社,2019年
※上尾市図書館に蔵書無し。   ∴県立図書館にて借受
南学編著『ポストコロナ社会の公共施設マネジメント』学陽書房,2021年
※上尾市図書館にて借受

上の一覧のとおり、読みたい資料について、「上尾市図書館に蔵書無し」が目立ちます。

閲覧済みサイト ※青字をクリックすると、そのサイトに飛びます。
学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(第17回) 議事要旨:文部科学省 (mext.go.jp)
学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(第18回) 議事要旨:文部科学省 (mext.go.jp)
学校施設と他の公共施設等との複合化検討部会(第4回) 議事要旨:文部科学省 (mext.go.jp)
〇総務省「小中高等学校の統廃合の現状と課題(文科省資料)」 000638148.pdf (soumu.go.jp)
総務省|報道資料|学校施設の長寿命化計画の策定に関する実態調査 <結果に基づく勧告> (soumu.go.jp)
入手済み 資料
上尾市教育委員会定例会 配布資料「上尾市学校施設更新計画基本計画関連資料」
※今年度の上尾市教育委員会定例会は毎回傍聴しており,配布資料は入手済みです。

私の上尾市図書館への「回答」は以上です。
これらを踏まえて、どのようなレファレンスサービスを提供してくれるでしょうか。

🔶現状の「選書」に問題があるのでは?
以上見てきたとおり、上尾市図書館には「学校統廃合」関連、とりわけ山本由美氏の著書がありません。これはどういうわけなのでしょう。もしかしたら「選書」に問題があるのではないでしょうか。

当ブログでは以前から「職名としての司書・司書補がいない」ことが上尾市図書館の問題点のひとつである、と指摘してきました。本来であれば、利用者の声を聞きながら、司書(専門職としての司書。単に司書有資格者を指すのではありません)が中心になって選書にかかわるべきであると私は考えています。

現場に立ち会ったわけではありませんが、上尾市図書館の「選書」は、「見計らい方式」でおこなわれている可能性があります(「見計らい方式」については下記参照)。

「見計らい方式」『図書館情報学用語辞典 第5版』丸善出版,2020年
出版情報などをチェックしてから発注するという手間を省くため、収書方針などに照らして、あらかじめ書店に一定の範囲を示し、納品された資料をチェックして採否を決定する資料購入方法。
書店側は、その図書館の収集方針や資料の範囲、内容の程度などをよく理解する必要がある。書店が一時選択をすることになるので、受入担当者は、出版情報の内容をよく把握し、漏れのないように留意することが求められる。

 🔶上尾市図書館の「資料収集方針」とは?
では、上尾市図書館の選書方針 = 資料収集方針はどうなっているのでしょうか?
『上尾市図書館要覧 令和3年度』の45~47頁に「上尾市図書館資料収集方針」が掲載されており、次のように方針が示されています。

1.目的
上尾市図書館は市民の「知る自由」を保障する機関の一つとして、図書館法に基づき、市民の知的関心や興味、好奇心を満たす資料を幅広く収集する。(以下略)
2.基本方針
上尾市図書館は、図書館が本と人とが出会う魅力的な空間、知識の宝庫、地域における情報の拠点となるよう、社会の動向や潜在的要求、将来予測されるものも含めた市民の要望を反映させた資料を収集する。(以下略)

果たして、上尾市図書館は、この基本方針にあるように、「社会の動向や潜在的要求、将来予測されるものも含めた市民の要望を反映させた資料を収集」しているでしょうか?

現在、上尾市でも問題となっている「学校統廃合」の動き、あるいは「水泳授業の民間委託化」などについて、関連する文献や資料を収集し、市民が手に取ることができるようにするのが、教育施設としての上尾市図書館の責務ではないでしょうか。

従来、上尾市図書館に関しては、上平新図書館建設問題など「場所やその旗振り役の問題」が中心であったと思われます。
そうした問題も確かに大事ですが、今回当ブログで指摘した「図書館におけるレファレンスサービス」や「選書」あるいはそれらを含む「図書館運営の問題」についての市民的議論を深めること、あるいは、図書館利用者(市民)がいかに「情報リテラシー」を獲得していくかが今後は重要であると私は考えます。
上尾市図書館をめぐる問題は「これでおしまい」ということにはなりません。
5月頃には、上尾市図書館による「利用者モニタリング調査」も予定されているようです(図書館協議会での話。資料無し)。

当ブログでは、引き続き上尾市図書館の抱える問題と課題についてお伝えしていきます。