<独断専行>に走る市教委事務局 & それを許している教育委員たち

現在、上尾市教委HPに掲載されている「教育行政重点施策」。
実は、この「重点施策」の中に、市教委事務局の<独断専行>とも言える内容が含まれています。また、学校の働き方改革基本方針に関し、学校教育部長は信じ難い市議会答弁をしています.

これらのことについて、上尾市の教育委員たちはどのような姿勢で、どのような発言をしているのでしょうか(あるいは全く発言していないのか)。

今記事では、こうした市教委事務局の<独断専行>の実態と、結局はそのことを許してしまっている教育委員の姿勢についてお伝えします。

No.216

🔶「教育行政重点施策」の問題の箇所とは
教育委員会3月定例会で「承認」され、現在は上尾市教育委員会HPのメニューとして掲載されている「令和4年度 上尾市教育行政重点施策」。
この8頁に、次の記述があります。

上尾市教育委員会として「私立幼稚園に研究委嘱します」というこの記述は、そんな権限が無いことから、どう見てもおかしいので、次の内容で情報公開請求をしました。

(1) 「上尾市私立幼稚園等」の「等」が何を指すのかが判別できる文書・資料等。
(2)「上尾市私立幼稚園等に特色ある幼児教育や幼少の接続に係る研究などを委嘱します」とありますが、上尾市教育委員会が私立幼稚園に「研究などを委嘱」することが可能となる権限等の法的根拠が判別できる文書・資料等。

その結果は、(1)・(2)ともに「非公開処分(文書不存在のため)」でした。
つまり、当然のことですが、「上尾市教育委員会が私立幼稚園に研究委嘱する(できる)」権限など、どこを探しても無い、ということになります。
担当の指導課職員も、「この記述は特に(教育委員に)指摘されていないが、書き方としては適切ではないかもしれない」と述べていました。
なお、
(1)の「等」は「認定こども園」を指すという口頭での説明がありました。

「上尾市教育委員会が私立幼稚園に研究委嘱する」などということを「教育行政重点施策」に掲載するという態度(「研究委嘱依存症」とでも言い換えられます)は、上尾市教育委員会事務局の本質が露見したと言えるでしょう。

🔶教育委員の誰ひとりとして「これはおかしい」と思わないのか
さらに問題なのは、この「教育行政重点施策」が教育委員会定例会の議案として示されたにもかかわらず、「私立幼稚園に研究委嘱するというのは、おかしいのでは?」と指摘する教育委員がひとりもいなかったという事実です。
この議案は教育委員には事前に配布されており、他の重点施策(不登校対策や業務改善支援など)についての発言は散見されるにもかかわらず、私立幼稚園への研究委嘱などという方針はスルー(つまり黙認)されています。

情報公開請求の処分通知書の手交の際、担当の指導課職員には、「4月の定例教育委員会でぜひ文言を訂正してほしい」旨私のほうから伝えたので、市教委事務局がどう対応するか、注意して見ていく必要があります。

🔶「基本方針」すべてを教育委員会の議題としているわけではない?
もうひとつの疑問は、上尾市議会3月議会での池田達生議員の一般質問に対する学校教育部長の信じ難い答弁です

池田議員の質問とは、いつのまにか市教委HPに掲載されてしまった「
上尾市立小・中学校における働き方改革基本方針」が、何故に教育委員会の議案とならなかったのか(=教育委員に知らされることなく基本方針としてまかり通っているのか)というものです。
情報公開請求の結果開示されたのがこちらの答弁書です。
IMG_20220410_0004

この学校教育部長の答弁は実に奇妙です。
なぜならば、上尾市教育委員会HPでは「教育委員会のあらまし」として、次のように教育委員会を定義しているからです(強調のため色替えしています)

上尾市教育委員会は教育長と5人の委員により組織され、教育、学術および文化に関する事項について大所高所からその基本的な方針などを決定します

このとおり、「上尾市教育委員会は…基本的な方針などを決定します」と記述されていることから、「基本的な方針」は、組織された「教育長と5人の委員」が決定するのです。
ですから、市教委事務局が作成した「基本的な方針」を教育委員会の議題(議案や報告事項)としないことなど、あり得ないことなのです。

このような態度では、市教委事務局の<独断専行>と指摘されてもしかたないでしょう。

🔶もう少し深掘りが必要では? 教育委員の質問を聞いての感想
「上尾市教育行政重点施策」の中には、上述の「学校の働き方改革」に関連して、次の記述があります。

このことに関して、3月の教育委員会定例会では、小池教育委員から「委嘱研究への懸念」が示されました。すなわち、「委嘱研究に時間を取られてしまっているのではないか」「もっとやり方を研究したらどうか」というものです。これに対して、市教委事務局(指導課)は、「ICTを活用し、(研究集録等を)電子データで提出してもらうようにしている」などと説明していますが、根本的な解決策になっていないことは明らかです。

おそらく、小池教育委員は、池田議員の市議会質問を聞いたか、あるいは当ブログを見たかしたので、「委嘱研究のあり方」に疑問を持ったのでしょう。このやり取りを傍聴していた私は、「もう少し深掘りすればいいのに」と思いました。本質的なことについて質問しているのですから、「強制的に委嘱研究する必要があるのか」といった質問をすべきではないかと思います。

◎今記事では、「教育行政重点施策」に掲載されている「とんでもない施策」や、学校教育部長の答弁についてお伝えしました。
4月の教育委員会定例会で、果たして市教委事務局はこの「重点施策」を訂正するのか。
そこのところも含めて、当ブログでは引き続き、教育委員会事務局の対応や、教育委員会定例会等での教育委員の発言などに注目していきます。